第9話 自業自得(3)

真中達に呼ばれて来た店の名前は《大風屋》

確か、最近できたお店のはずだ。

ガラッ

店のトビラをあけ、どんどん中に入っていく。

真中達はどこだ……

「あっ先輩!」

「ここにいたのか」

「はい!先輩が遅かったので先に皆で始めてました。」

確かにもう酔ってる奴が何人かいんな。

「それと先輩の分も注文しておきました。」

なんか…コイツが頼むとなると心配になんのは俺だけか?

まともなもんが来るといいんだが……



「美味しいですね〜鯛めし。これに日本酒。

 クゥーっ最高です。」

確かに美味い…出汁とと鯛と米がとても美味い。

酒と箸が進む。

ピロン

スマホから音が鳴った。

一体誰からだ?俺はメールは登録してねぇが……

‘’送り主不明‘’

余計怪しい。しかし気になった俺はメールを開いた。

【初めまして。もしよかったらメル友になってください。】

ずいぶん丁寧な文だな……悪りぃやつではないのか?

少しコイツに興味を持った俺は返信しだした。

【こちらこそよろしく】 

無難で良いだろこんなの。

腹もいっぱいで酔いもまわってきた。

このままだと潰れてしまう。

「真中先かえんぞ。」

「はい……さようなら乃木先輩」


店を出ていつもの見慣れた道を歩き出す。違和感を感じる。

所々何か違うような……

街灯が壊れてる……前から壊れそうとは思っていたがついに壊れたか。街灯がないとさらにこの小道は暗くなる。

「こぇな」

ピロン

スマホからだ。

また、メールか?

嫌な考えが頭にふとよぎった。

今の状況……動画と同じじゃねぇか?

所々違う箇所があるがタイミングといい出来事と言いとても似ている。

……もし違って俺の妄想だったらすごい偶然だ。

確か動画なら……

そう思いながら俺はメールを開いた。

【ではこれから少しずつ質問をしていきたいと思います。】

やはり…俺の勘違いじゃないようだ。

俺は相手がどう来るのか気になった為メールを放置した。

【アイドルは好きですか?】

動画なら好きと言っていた……だったら逆に……

【嫌いだ】 

本当は好きな方だが……

違う質問をしたらどうなるのか気になって仕方がない。

普通ならこの時点で怖がる所だが何故か、怖いどころか好奇心が高まるばかりだ。

ピロン

動画で見た時より早くメールが来た。

【僕は貴方と友達になりたいので正直に答えて下さね。

 友達とは苦しみやしあわせを分かちあうものですから。】

まさか……嘘をついたのがバレた?

俺は辺りを見渡した。

人一人いない。いつも通りの真っ暗な小道。

(見られているわけではない……)

ピロン

またメールが来た。

【次の質問です。一カ月前動画にコメントしましたか?】

確か動画の男は返信しなかった。

だったら

【コメントした。】

さっきの質問といい何の意味があるのだろうか。




メールが来るのを待ちながら歩いていたら家に着いた。

メールはまだ来てない。

玄関ポストに何か入っていたが気にしないで部屋に入った。

こないなら先に風呂に入った方がいいだろう。

スマホを置き風呂に入ろうとした、その時


ザッザッザッガァー

スマホの画面が真っ暗になりノイズが発生した。

バグか?ついにスマホいかれたか? 

そう思いスマホを叩こうとした瞬間

何故か《如月》の動画に繋がった。

俺はその動画を見た。

前回と同じ白い服装……何か意味があんのか……

『こんばんは、如月です。

 今回は貴方の為に続きを語ってあげようと思います。


 確かに俺はコメントをした。

 【コメントした】

 そう送った。

 ピロン

 早い……すぐに返信が来た。

 俺はメールの中身を確認しようとした次の瞬間

 ガシッ

 頭を何者かにつかまれた。』

まて、もし動画と同じ事が本当に起きているのなら

俺はスマホを投げた。できるだけ、自分から遠くに……

これなら、何があっても大丈夫だろう。

そんな考えはすぐ消された。 

ピロン

……スマホから音が鳴った。

多分メールだろう。

動画の話もメールが関係している。

メールを開かなければ良いだろう。

そう思い放置した

“が”

ピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロン

音がけたたましく鳴り出した。

何だ、頭がっ…

この音をやますにはメールを開かなければいけない。

しかし……こちらも色々限界に近かったので俺はメールを開けてしまった。

書かれていた事は一つ。

シンプルなものだった





【人殺し】

その一文のみだった。

ハハッ……そうかコイツは知ってて……

送り主は如月か?

動画といい今の現状といいリンクしすぎてる。

あいつが犯人なら今すぐ住所を突き止めて“消さないとな”

そう考えると俺はすぐに準備をしようとしたがそれは出来なかった。なぜなら手をつかまれたからだ。

部屋には俺以外誰もいない。

手を掴んでいるのは“スマホから伸びている手からだ”。

「ひっ!」

慌てた俺はその手を振り払おうとしたが…その手の掴む力はとても強く、振り払えなかった。

「くそっ」

ザッザッガァー

またスマホからノイズがなる。

『どうですか?気分は【乃木 洋太】さん?』

画面に映る如月は笑顔だが……どこか不気味だ。

やっぱりコイツが何かしてんのか!!

「おい、どういうことだ!俺に何をしやがった!!」

『そうですね。質問に答えてあげましょう。

 “僕”は何もしてないですよ。』   

「はぁ?嘘つくんじゃねぇ!お前以外誰ができる!!」

『乃木さん、僕はいいましたよね?

 最初にある人からの依頼だって。』

「まさか!!」

『さすがにここまで来ればわかりますか』  

「嘘だ!あいつは死んだはず」

『そうですね、“死んでますね”

 ただ、貴方に対して恨みを持って死にましたけどね。


 そうですよね、ユーチャバーさん

……‥いや【比戸 敦】さん』

【比戸 敦】?昨日ニュースで言っていた行方不明の……

『如月さん、ありがとう。後は……』

 画面に見たことのある男が出てきた。

この男……前に俺がコメントしたユーチューバーの野郎だ。

『どうぞご自由に僕は手伝ってあげただけ……

あとは本人とごゆっくり』

そう言うと如月は去っていった。

『どうも初めまして。比戸 敦だ。 

 こう言えばわかるかな?お前のストレス発散するために

 送られてきた悪質なコメントで死んだユーチューバーと』

「こんな事になってんのはお前のせいか!!!」

『そうだよ……お前の言葉のせいで……根も葉もない情報が

できて、噂され……

……お前のせいで俺は死んだ……』

「死んだのはお前の勝手だろ!!!

 俺の人生好きにさせろ!!!」

『好きに……ねぇ。だからあのコメント【死ね】とか送っていいんだ?顔が分からないからって……

 ねぇ、知ってた?君に恨みを持っている人多いんだよ。』

『それがどうし……た』

『そんなに、人の事を苦しめるのが好きなら‘’僕達‘’が苦しませてあげるよ。』

パソコンの画面から無数の手が伸びてくる。

逃げる暇もなく俺はいとも簡単に捕まってしまった。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

これはヤバぇ絶対死ぬ!!

死にたくねえ

『何言ってんの?僕達は助けを求めても誰にも助けてもらえなかったんだよ。これくらい何ともないよね……君にとっては。大丈夫、僕達友達だからずっといっしょだよ。

 ほら、【苦しみや“死合わせ”を分かちあるそれが友達】

ってメールで言ったでしょ?僕達は死んだ。

 だから……次は君の番だよ。大丈夫殺しはしないよ。

 ずっと苦しむだけだから』

「待ってくれ!そんなつもりはなかったんだ!

 だから許してくれ!!」

『いーよ……罪を償ってくれたらな。

 まっ、一生無理だどな』

画面から出る手の力が更に強くなる。俺は抵抗しているがどんどん引きずり込まれる。

「助け…っ」

そして俺は画面の中に完全に引きずり込まれた。

「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーー」

ザッザッガァー

そしてスマホの画面は暗くなった。






「はい、こんばんは。如月です。

 今日の語りは《見るな》です。

 最近新しくできた怪談のようです。

 この怪談の提供ありがとうございます。

 では…どうぞ……」

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如月さんの一人語り 鬼灯 @Hiizumi

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