第5話 恐怖

エミリーはベッドに潜り込み、怯えていた。フィニーはエミリーの背中を摩り、リリは結界魔法を使ってエミリーの部屋に結界をはっていた。部屋の前には兵が立っていて、護衛が強化されていた。

「大丈夫ですか?お嬢様」

「私…あの時死んでた……このピアスが無かったら……これから何度もあんなことが起こるの?……もう…嫌だ……」

エミリーは顔を真っ青に死のことだけを必死に考えていた。

「お嬢様、結界がはれましたので、もう大丈夫ですよ」

リリもエミリーに寄り添った。

「ごめんなさい、私のために……」

「いえ、お嬢様の命のためですから」

リリは優しく笑った。


とある部屋ではルーカスが統治するルテギア王国、そして隣国のエルベミエル魔道帝国の長、リアム・ペルトナとが面をむかい座りあっていた。

「率直に話そう、エミリーを渡してはくれまいか。私達エルフの国であるエルベミエルの王族の血縁者が途絶えている。だが見つかった。渡してくれたらムダな争いはよそう」

リアムは白い髭をモゴモゴ動かして話した。ルーカスを見る目線は鋭い刃物のようだった

「それは出来ません。エミリーは私の国の第二王女であるのです。隣国の王女を養子として出すような真似出来きません」

ルーカスもまた弱ることなく言った。

「アンナはおまえのせいで死んだんだぞ。わしの国の大切な家族をまた殺す気か!!そしてアンナが死んだ日言ったはずだ。埋め合わせはしてもらうと!」

ルーカスは眉間に皺を寄せ、黙り込んだ。

「今がその時だ!いままでワシらはいい関係を保ってきだろ!それを今壊す気か!!」

リアムは激怒し、ルーカスに当たり散らした。

「……ハーフエルフの平均年齢は300歳ほど、エミリーの50年、いや30年でいい私にください。その間はわたしの国においてほしいのです」

ルーカスは頭を深く下げた。

「私の愛する娘なんです。絶対に守ります」

リアムは不満そうな顔で考え込んだ。そして人差し指と中指を立てた。

「20年だ。その代わり、エルベミエルのエルフをエミリーにつける。教師、従者、もろもろ」

「ありがとうございます」

ルーカスは深く頭を下げた。

「今日エミリーに矢を打ってきた敵は捕まったか」

「はい、レイとノアが捕まえ、禁錮に入れてあります」


「そうだ、私がつよくなればいいんだ」

エミリーは布団から頭をあげ、手をぎゅっと握っていた。

「お嬢様!?お嬢様のことは衛兵達が命をかけて守りますから大丈夫ですよ」

フィニーはエミリーをなだめるように言った。

「ダメよ。それに私が強くなれば万事解決なんだから、きっとお母様も強かったはず」













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農民だった私が王宮に入る話 ニチカ @Kotomi336

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