第5話 山チーム

「んー自然の空気が美味しいですわ!新鮮な気持ちになれますわね!」

「うん!きららちゃんはやっぱりこういう所は初めて?」

「えぇ、そうね。ほとんど学校と習い事ばかりだから山へくるのは初めてだわ。」

2人は山の青々しい木々達を眺めながら、ゆっくりと散策をしていた。


太陽の光に照らされ、木々がキラキラと輝く。

そして小鳥の囀りも聞こえてくる。


しばらくしてきららは立ち止まると、大きく深呼吸をして自然を取り込んでいるようだった。


「ったく…呑気にしてると日が暮れるぞ。」

「分かったよ、きららちゃん行こう!」

「えぇ。」

そんな彼女達をよそに、真祐はどんどんと先へ歩みを進めていく。

2人は彼に声をかけられ、少し残念そうにその場を離れた。


それから3人は地図通り頂上を目指して進むが、途中で真祐は困った表情をして立ち止まった。


神野かみの、どうかした?」

「見ろよ。木が倒れてる。」

「あら、困りましたわね。」

「別のルート探して迂回するか。」


どうやら彼らは倒木のせいで、前に進めなくなっているようだ。

彼は辺りを見回しながら少し考えると、仕方なく整備されてない道を指さした。


「あ、あの坂を登るの?」

「しょうがねぇだろ、他に登れそうな道がねぇし。」

「…そうだけど、きららちゃんは大丈夫?」

わたくしは大丈夫ですわ!皆様行きましょう!」

結愛は真祐の指した方向を見ると、あまりにも急勾配の為不安そうに2人へ問いかける。

そんな彼女をよそにきららは、皆を鼓舞するように明るく発言をした。

そして、先陣を切って歩き出す。


「おい、ちょっと待て。俺が先に行って道を確かめるから。」

「あら、そうですの?わかりましたわ。」

「うん。じゃあそのあとをついて行けばいいんだよね。」

先に行こうとする彼女を急いで止めると、彼は前に出て2人を先導するようだ。


真祐は一歩ずつしっかり踏みしめて歩くと、安全な歩行経路を後ろの彼女達に伝える。

しかし半分くらい登ったところで、突如大きな悲鳴が聞こえた。


一体なにが起きたのだろうか。

周りの登山客の声なのかそれとも…

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