第6話 滑落

「きゃあああ!」

大きな声に2人が振り返ると、後ろを歩いていたきららが滑落していくのが見えた。


「きららちゃん!」

「おい!お前も滑落したらどーすんだ!俺が様子見てくるから、ここで待ってろ。」

「ご、ごめん!神野かみのも気をつけて。」

咄嗟に彼女の元へ駆け出そうとした結愛の腕を掴んで止めると、近くの木の側で待機するように話す。


真祐は慎重に彼女の元まで下っていくと、怪我をしている可能性を考えゆっくりときららを起こす。

「…神野、さん?」

「おい、どこか怪我してるとことかねぇか。」

「うぅ…」

かろうじて意識があった彼女に彼は痛み等の状況を聞こうとするも、すぐに苦しそうな表情で目を閉じてしまった。


「雅!しっかりしろ!」

「ねぇ、きららちゃんどうかしたの!?」

真祐はぐったりとした彼女に声をかけるも返答はない。

彼女へ呼びかける大きな声に不安になった結愛は心配そうに彼へ状況を訊ねると、気を失ってるだけと返答があった。


「へ?嘘!きららちゃん助かるよね!?」

「おい、落ち着け!脈はあるから大丈夫だ。」

「で、でもきららちゃんにもしものことがあったら私…」

状況を聞いた結愛は今にも泣き出しそうな表情で相手へ問いかける。

きららのことがよほど心配なのだろう。


「とりあえずここまで降りてこい、早く下山するぞ。」

「う、うん。」

彼女は言われた通りゆっくりと急な坂を下る。

彼はその様子を心配そうに見ているようだ。


「きららちゃん、死んじゃやだよ。」

「あー泣くなって、ほら大丈夫だろ?」

結愛は彼らの元へたどり着くと、彼女を見るなり大粒の涙を流す。

真祐は急に泣き始めた姿に戸惑うも、脈があることを彼女に確認させるとほんの少しだけ安心したようだった。


「ほら下山するぞ。」

「ぐす…うん。」

彼はきららを背負うと、泣き続ける結愛に声をかけ歩き出す。

早く背負った人物を麓まで送り届けたいのだろう。


彼女はまだ不安な気持ちでいっぱいなのか涙があとからこぼれ落ちる。

しかし戻らなければきららを助けることもできないと思い、真祐の服の袖を掴み後ろをついて行った。






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