くだんの赤子

早河縁

本文

 春の日差しがあたたかい。今日は四月一日。

旧暦の四月一日は衣替えのために綿入れの綿を抜く日だったそうだな。わたぬき、と読むんだっけか、しがつついたちという苗字は。そんなことを思い出しながら、俺は間抜け面を浮かべ、日課である境内の掃除をしていた。毎朝思うことではあるが、早朝から掃除というのはまったくもって苦痛だ。

「なんでじいさんの跡なんか継いじゃったかな」

俺がこの神社を継いだのは、神道の学科のある大学を卒業した八年も前のことで、今更すぎる後悔なのだが、毎朝三時に起きて境内の掃き掃除をしているときばっかりは、後悔の念も抱かざるを得ないというものだ。なんと言っても俺はもともと早起きが苦手なのだ。目覚まし時計が鳴るたびに勘弁してくれと布団に潜ってしまう。

こんな田舎も田舎にあるじんじゃなんて誰も参拝しにこないだろ、と言いたいところではあるが、実際のところはそうでもないのだ。とあるインフルエンサーがネットにこの神社のことを投稿したとかで、ここ数年の間に知名度がどんどん上がってしまい、さらには根拠も由来もくそもない『すごいお祓いをしてくれる神主がいる』なんて噂まで広まっている始末だ。

なんだよすごいお祓いって。そんなの出来ないよ俺は。その噂に乗っかって俺の姿を盗撮して勝手にネットの海にばらまいたやつは、どこの誰かは知らないけど絶対許さないからな。ネットリテラシーがなってなさすぎる。肖像権の侵害だ。

なんて騒いでやりたいところだが、そんなに気にならないというのが本音だ。なぜなら、参拝客が増えたのは確かな事実で現実問題神社は儲かっているからだ。騒いで炎上してこの儲けがなくなったら生活していけなくなってしまう。愛車を手放すなんて絶対に嫌だぞ、俺は。

 掃き掃除はたった一人で行うことなので、暇ゆえに、毎日こんな具合に脳内で独り言を垂れ流しながら掃除をしている。田舎なので無駄に敷地は広く、掃除だけでも結構な労力を使うので、ただでさえ眠たい中での作業だからか、終わったころにはあくび三昧だ。

 もう終わったし、いったん裏の家に戻って朝食を摂ろう。そう思い物置に箒を片付けると、境内に続く石階段を昇ってくる人影が見えた。

こんな早朝から客か。参拝熱心なことだ。

気づかなかったふりをしてさっさと家に帰ろうと踵を返したとき、その人影の正体である人物は、あろうことか俺に向かって話しかけてきた。

「あのう、あなたが神主さんの、桜井さんでしょうか」

 女性の、鈴の音が鳴るような美しい声だった。俺は思わず振り向いてしまった。否、呼びかけられたのだから、振り向かないわけにはいかなかったのだが。

「はい、私が櫻井ですが」

 そう答えると、女性は安どの表情を浮かべて胸を撫でおろした。なにか困りごとがあるのだろう。ネット上でこの神社と俺のことが噂されてから、そういう参拝客……というよりも、相談者は多くいる。

 その女性は長身痩躯で整った顔立ちをしているが、どこかやつれたように目元は陰り、頬は少しだけこけていた。相当参っているのだろう。

 俺には『すごいお祓い』なんて出来ないし、霊感なんてものはない。けれど、困っている人を見捨てるほど人間をやめているつもりもない。

「なにかあったのですか。よければ、奥で話を聞きますよ」

 そう呟いた女性の腹は、よく見ると少しだけ膨らんでいるように見えた。えらく痩せているから、なおさら目立つ。階段で転びでもしたら危ないと思い、俺は「立ち話もなんだから」声をかけて家の中へ案内した。

女性はすみません、とだけ謝ったきり、口をきかなかった。

 茶をいれて、ようかんと一緒にちゃぶ台に置く。先ほど女性は、悩みから解放されたように安堵の表情を浮かべはしたが、居間の表情を見るに、眉尻を下げて目を伏せているためか、なんだか申し訳ないとでも思っているように見えた。

「それで、ご用件は?」

 そう訊ねると、女性はやっと口を開いた。

「はい……ああ、まずは、名前をお伝えしていませんでしたよね。失礼しました。私は、菊池和子と申します。本日は、桜井さんにある相談があってお会いしに来ました」

 案の定、という感じだった。最近は俺にわざわざ会いに来たという客は大抵なにかしらの困りごとがあって、相談にくるのだ。

「相談というと?」

 とにもかくにも、内容を詳しく聞かなs=ければアドバイスのひとつもしようがないので、俺は事情を聞きだすことにした。

「ええ。あの、馬鹿馬鹿しいとおっしゃるかもしれませんが、なんだか私、おかしなものに取り憑かれているかもしれないのです」

 おかしなものに取り憑かれている――女性、菊池さんはそう言った。幽霊だなんだと言うつもりだろうか。

 何度でも言ってやりたいが、俺には『すごいお祓い』なんて出来っこないし、霊感なんてものは一ミリたりとも持ち合わせていないのだ。幽霊になにかされていて、なんて相談をよく受けるが、なにも出来ないから、抵当に話を聞いて相談者に寄り添いつつ現実的なアドバイスをしたうえで、お札やらお守りやらを渡してあげることくらいしか出来ないのが現実だ。

 ちなみに、俺がこの神社を跡を継ごうと思った理由は、なんとなくということではない。

 罹患なんてものはなくとも、神主をしているというだけで、こうして俺を頼ってくる人がいるから、そういう人たちの助けになることが出来るためだ。

他人からは善良ぶって見えるかもしれないし、俺の外面だけ見ているようなやつは意外だとかなんだとか言うかもしれない。しかし、俺は人の役に立つことは好きなのだ。

正確に言えば、人の役に立ったときに「ありがとう」と言われることが好きなんだ。

 はじめのころはこうやって訪ねてくる人はいなかった。たまに家を建てる土地のお祓いなんかをしたり、仕事と言えばそんなくらいのものだった。霊感なんてこれっぽちもなく、そもそも俺は幽霊なんて存在は信じていない。

しかし、なぜだか知らないが、そのお祓いが効果があるということで、このせまい田舎で俺はあっという間に有名人になった。

 それもあってか、例のインフルエンサーがインターネットに書きこんだのだろう。

 それから彼女のように俺を頼ってくる人が時々訪れるようになったのだ。

「おかしなものとは?」

 俺が訊ねると、彼女は一つの小さな封筒を差し出してきた。

 一見、ただの封筒に見える。俺はどうせ中に心霊写真でも入っているのだろうと高をくくってその封筒を受け取った。

 菊池さんは、俺の問いに少しだけ震えながら小さな声で答えた。

「私は、妖怪を産んでしまったのかもしれません」

 妖怪を産んだ。

彼女は確かにそう言った。

ということは、彼女はもうすでに一人子供を産んだことがあるのか。じゃあ、いま腹にいるのは、少なくとも二人目以降の子ということになる。

一人目を産んだのがいつだかは知らないが、先に産まれた我が子を妖怪扱いか。

馬鹿げてる。

妖怪なんているわけがないし、たとえそんなものが現実にいたとして、常識的に考えて人間が妖怪を産むわけがないだろう。

「その封筒を開けてみてください」

 彼女に促されるまま封筒を開けてみると、中には一枚の写真が入っていた。

 彼女の表情は不安と恐怖が入り乱れたような、なんとも暗い表情になっていた。

 俺は写真に目線を落とす。

 妖怪。俺は写真を見て、思わず彼女が言った言葉を反芻した。

 その写真には、彼女が産んだという奇妙な『なにか』が写っていた。

 ひづめのような指の無い手足、赤子であるというのに背筋は伸びていて、不安に思えるほど腹が出ている。顔は一応、人間の形をしているが、目は変に離れており、耳は普通よりも上の方についている。絵具で塗りつぶしたかのような黒目が厭に目立ち、髪は極めて薄い。

そんな『なにか』が、写真越しにこちらを見ている。

 こんな生き物、見たことがない。

 俺は想定していなかったありえない『なにか』をまじまじと見てしまったことで、少々吐き気を催していた。

 それくらい、この『なにか』は不気味な容貌をしていた。

「これは……」

 途切れる言葉で問うことが精いっぱいだった。

 手足だけが突き出されたそのさまは、まるで『けだもの」のように見えてならなかった。人間の赤ん坊というには、あまりにも奇妙だ。

俺はなにものにもたとえがたい感情を覚えた。大学を出ているとはいえ、教養なんて大層なものは持ち合わせていないので、この感覚を上手く誰かに説明しろと言われたら、きっと出来ない。

しかし、おそらくこれは、生理的な『嫌悪』なのだと思う。

 人間、だれだってよくわからないものは怖くて、いやなものだ。ほかの動物だってそうだ。知らないものは怖くて、自分と違うものはいやなものなんだ。

それは生物としての本能だ。

彼女は相当追い詰められているのか、俺の問いを無視して、震える声で語る。

「次の子もこうだったらと思うと、私は……私は……」

 とうとう泣き出してしまった彼女に対し、どう声をかけていいかわからず戸惑ってしまう。

 この『なにか』が本当に彼女が産んだ赤子だというのなら、泣きたくもなるだろう。それは当然のことだ。

 訊いてもいいものか悪いものか、はかりかねるが……俺は、最も気になることを彼女に訊ねてみることにした。

「この子は今、どうしているんですか?」

 そうすると彼女は小さな声で、

「亡くなりました」

とだけ答えた。話によると、その子は予定日の二ヶ月前に生まれた未熟児の女の子で、生まれたその日の晩に亡くなってしまったのだという。

 にしたって、これは俺が担当すべき分野の案件ではない。

彼女は母親として相当ショックを受けているだろうし、奇妙に思えるのもわかる。けど、なんだって俺を頼ってきたのだろうか。

こういうことは、医学に精通する者が担当すべきことだ。いや、医者だって神じゃない。産まれてしまったものはどうすることもできないし、死んでしまったのならなおさら、手助けなんて出来やしない。

だけど、なぜこんな子になってしまったのか、医学的側面から見て推測的でもいいから、説明をすることくらいは出来るだろう。

 それにしても彼女は、さっき、確かにおかしなものに取り憑かれている、と言っていたな。

「あの、申し訳ないけれど、この子についてなにかお困りなら、どっちかっていうと、お医者に聞くかどうかした方が良いかと。私は神主をやっていますから、こういったふうに産まれた子供について、なにも根拠のある説明が出来ません」

 俺がそう言うと、彼女は顔を真っ赤にしてちゃぶ台を叩いてその場に立ち上がった。

「違います! 違うんです! この子は、この子は……」

 まるでなにかをためらうように、語尾を濁して、数秒の間を開けたのちに、言い放った。

「この子は――妖怪なんです」

 またそれか。正直な感想として、俺は彼女に呆れてしまった。

何度だって言ってやりたいよ。人間が妖怪なんてものを産むわけがない。妖怪なんてものはこの世に存在しない。そんなのは、この世の道理に反している。昔から語られてきた噂や伝承でしかないんだよ。

それに、たしかに異様な容貌をしていたとはいえ、仮にも自分で産んだ子供だっていうのに、妖怪扱いするだなんて。そのあまりにも酷い物言いに、折れた少々腹を立てた。

「いや……いくらなんでも、そんな言い方はないんじゃないですか? 自分の子供でしょう?」

 しかし彼女は納得も理解も示さない。

 必死になって、俺に我が子が妖怪であると何度も訴え続ける。

「違うんです、違う。この子は本当に、本当に妖怪なんです! 間違いありません。私、知ってるんです」

 なにを知っているというのか。

 それはさておき、俺は今更になって彼女を招いたことを後悔していた。そして、我が子を妖怪だと形容し続ける彼女に対し、相変わらず怒りは消えなかった。

 そもそも、たとえ本当に妖怪だったとして、だからなんだっていうんだ?

 すでに亡くなっているなら、その赤子がなにかしでかすわけでもあるまい。恐れる必要なんてどこにもないじゃないか。

 なんだか話にならない。

 とにかく俺は彼女に今日のところはお引き取り願いたく思い、彼女に『俺にはなにも出来ないのだ「ということを伝えることにした。

「あのね、菊池さん。俺は宮司であって医者じゃないし、神様でもない。だからこの子がどうしてこんなふうに産まれてきたのかなんてわかりやしない。あなたはそう望んでいるか知らないけど、生き返らせることだって出来ないんだよ」

「生き返らせてほしいだなんて、言ってません、私」

 口酸っぱく伝えたつもりだが、彼女は半分すねたようにして反論するだけで、その場に座り直してしまった。

「じゃあ、いったいあなたはなにが望みだって言うんですか? 私のところに相談にきたってことは、私に手伝えることがあるからでしょう。写真をお炊き上げしてほしいとか、次の子が健康に産まれるように祈祷してほしいとか、産まれた子の供養をしてほしいとか、いろいろあるでしょう。私はてっきり、そういう相談があるんだと思ったんですがね」

 俺の言葉に、彼女はここにあがったときのように申し訳なさそうな表情を浮かべて、自らの腹をさすりながら、ようやく相談の内容を詳細に話し始めた。

「桜井さんが今おっしゃられた中で言うなら、ご祈祷をしてほしい、というのが近いです。お祓いが必要ならそうしてください。お金ならちゃんと感謝料として払います。私のおなかが大きいのは、見てわかりますでしょう。私が恐れているのは、次の、このおなかにいる子もまた同じような子だったときのことなんです」

 彼女はそう言って、愛おしそうに、そして心配そうに腹を撫でながら、静かに涙を流した。

しかし、やはりこれは俺が口を出せる問題ではないと思ったのが正直なところだ。

「それならやっぱり、このことは医者の担当ですよ。どうしてそんなふうにその子が産まれてきてしまったのか、私にはわからない。だから、相談なら医者に……」

 俺が伝えている途中で、彼女は泣きながら口をはさんできた。

「それは出来ないんです」

 これじゃあ堂々巡りだ。きっと片意地をはっているだけだろう。我が子が妖怪だと信じきっているから、医者じゃなくてそういったものが専門分野だとされている宮司の俺に相談を持ちかけてきたのだろう。

 ついに呆れ果てて俺がそう言うと、彼女はいやに冷静な声音で言った。

「以前からずっと私を診てくださっていたお医者様は、亡くなりました」

「亡くなった?」

「ええ、赤ちゃんが産まれた晩に」

 だからなんだという話だ。

「なんだってまた。原因は?」

「原因はよく知りません。聞かされていないので」

「まあ、偶然でしょう。あまり気にすることでもないと思いますけどね」

 確かにこの写真の子がちゃんとした『普通の形』で産まれてこられなくて、生きてゆけなくて、ずっと診てくれていた医者が亡くなってしまったというのは気の毒だけれど、それとこれとは、なんの関係もないだろう。

 ショックな出来事が重なったからそれとこれとを無理矢理結び付けて考えてしまっているに過ぎない。

 彼女の話は、彼女が自称した通りの、本当に馬鹿馬鹿しいものだった。

「偶然なんかじゃありません。私、この耳で聞いたんです」

 彼女は俺の言葉を否定して反論してくる。

「聞いた? なにをですか」

 話が読めないので訊ねると、彼女は恐ろしそうな表情を浮かべて語りだす。

「この赤ちゃんは、予定日よりもずいぶん早くに産まれたんですけれど、産まれたとき、看護師さんに抱かれたこの子が、お医者様の方をしっかり見て、お医者様が亡くなるということを喋ったんです」

 馬鹿馬鹿しい。

「ほお、ちなみにその子はなんて?」

 産まれてすぐの赤ん坊が、喋るわけがないだろう。

 そう思ったが、俺は興味半分からかい半分で、茶化すように訊いた。

しかし、彼女は真剣な面差しで一言。

「『お前は今晩死ぬ』」

 一瞬、不覚にも背筋がぞくりと粟立った。

 それは――確かに少々、不気味な出来事かもしれない。

 本当に写真の赤子がそんなことを言ったなら、の話だけれど。

「お医者さんはどうして亡くなったのか、本当に菊池さんはご存じないんですか」

「はい、詳しくはわかりません。でも、確かに亡くなったということは聞きました」

 つまり話をまとめるとこうだ。

 彼女は身ごもったが早産で、産んだ子がたまたま奇形児だった。そして、たまたま分娩を担当した医者が死んだことに驚き、気が触れてしまった。

その結果として、起きた出来事のどれもこれもを無理矢理結び付けて考えてしまっている。

彼女が取り憑かれているのは妖怪などではない。

妄想に取り憑かれているのだ。

 これは、そういう物語だ。

「あのね、菊池さん。大変失礼だけれど、私にはあなたが少しおかしくなってしまっているようにしか見えないよ。起きた出来事のすべて、ひとつひとつが相当ショックだったのだろう。でもね……」

 正直な考えを伝えようとすると、彼女は俺の話をさえぎって、また妄言を述べた。

「でも、いるでしょう、そういう妖怪が」

「はあ……なんのことですかな」

 俺が問い返すと、彼女は震える声で言った。

「くだん、っていうんでしょう」

 俺はその瞬間に、彼女が言いたいことの意図をすべて察した。

「くだんですか」

 正直な話をすると、先ほどから思い当たるところはあった。しかし俺は、あえてその名を口にしなかったのだ。

 妖怪だなんてものの存在を認めてはいけないからだ。信じてはいけないからだ。

 そういった『怪異』は、人の信仰によって存在を明確化するものだから。

 俺が否定をする間も与えず、彼女は話を続ける。

「宮司さんであるあなたなら知っているでしょう? とぼけないでください。くだんは、なにか不吉な予言して、死んでしまう妖怪なんでしょう。私、聞いたことがあります。人間からも産まれるんでしょう、くだんは。他の神社やお寺も訪ねましたが、駄目だったのです。皆様、同じようなことを言われるんですもの。私は毎度、泣く泣く帰らざるを得ず、そうしているうちに、こんなにおなかが大きくなって……」

 そうして言葉を途切れさせた彼女はさめざめと泣きだしてしまい、俺に向けて頭を下げ、懇願してきた。

「次の子が、ああなってしまわないように、どうか、どうにかしてください。どうかどうか、お願いいたします」

 どうすべきか、迷った。

 もしここで、俺がくだんの存在を認めてしまったときの弊害を考えたのだ。

彼女の言う通り、そういった妖怪は、昔からこの世に存在するとされてきた。

しかし母体である彼女に対して今更お祓いをしたところで、どうなるわけでもない。俺に対処できないということに変わりはない。

 それに妖怪の存在を認めるわけにはいかないし、俺は信じたくない、信じていない。否定していたい。いてほしくない。

 だって、そんなものが本当に存在してしまっていたら、心の底から恐ろしいから。

 俺が『怪異』に対して否定的な意見を抱いているのは、そういった理由からだった。

 別に、彼女が嘘を吐いていると言っているわけじゃない。現にこの写真に写っている赤子は、こういう形で産まれてきてしまって、そのうえ亡くなってしまったのは本当なんだ。少なくとも、そこに嘘はないはずだ。それに、母親としての心境を考えたら、こんな出来事はひどく悲くて、苦しいことだろう。

彼女はかわいそうな人であって、加害者か被害者だの二択で言えば間違いなく後者だ。

 あまりにも哀れに思えてきたので、俺は彼女の望みを承諾することにした。

「わかりました。じゃあ、お祓いに移りましょう。あちらにどうぞ」

 俺は形だけのお祓いを行うことにした。効果のほどは保証しない。しかし、時にはそういう対処をした方がいいケースもある。もちろんそう判断をした時は、謝礼なんて受け取らない。ただ俺の一日の時間が少し短くなるだけだから、なんの問題もない。

 それでも彼女は涙をほろほろこぼして、

「ありがとうございます、ありがとうございます」

と泣いてお礼を言っていた。

俺はなんだか少々の罪悪感に苛まれたが、これはこれでいいのだ。それで彼女の気が少しでも落ち着くならば。

 彼女は帰り際までずっと泣きっぱなしだった。謝礼は断ったが、どうしてもと意固地になって引かないので、らちがあかず受け取った。

 線の細い彼女の背が小さくなるまで、俺は見届けた。そしてふと思う。

 でも、もし。もしも。

 今日話してくれた彼女の話が、一から十まで事実だったなら――


「くだん、だな」


     ○


 あれから三ヶ月が経った。暑い日が続く中、今日は朝からいやに冷える。あれを最後に、彼女が俺のもとを訪れてくることはなかった。

きっとお祓いをしたことで、満足してくれたのだろう。

 それでも、俺は時々彼女のことを思い出す。

 あり得ない――

頭でそう思ってはいても、あの写真の赤子の姿や言動は、言い得て妙だった。

 一度思い付いたら思考が止まらなかった。

くだん。

あの子は……あれは、くだんに似ている。

古くからの言い伝えだ。体は牛で、顔は人。またはその逆。産まれてすぐに人語で災いを予言して死ぬという。あの、くだんという妖怪に。

 あの子のけだものに似た体つきは、言い伝え通りの件によく似ていた。いや、似すぎているくらいだった。

 医者の死を予言したという彼女の証言が、まごうことなき事実ならば、あの子は――

 ……いや、なにを考えているんだ。

 ただの偶然の折り重なり。すべては彼女の妄想。

それでもやはり、あの子がちゃんと産まれてこられなかったということは、なにものにも変わらない事実だ。月並みな感想だが、かわいそうだと思っている。

そんなことを考えながら、毎朝の日課である境内の掃き掃除をしていると、聴き覚えのある、透き通るような女性の声が俺の名を呼んだ。

「あのう、桜井さんですよね」

 背後からの声に俺は振り返る。

「はい」

 そこには、おなかが小さくなった、あの日とはまるで違う表情を浮かべた彼女が立っていた。

 細い腕に、おくるみに包まれた赤子らしきものを抱いて。

 ああ、そうか。

 そういうことか。

「無事に産まれたんですか。おめでとうございます」

 俺がそう言うと、彼女の顔は陰り、うがあて黙りこむと、泣き出してしまった。

そして彼女は、そのおくるみを俺の方に差し出すようにして、赤子の顔がこちらに見えるようにしてきた。

その中身は間違いなく赤子だった。

だが、なにか、おかしい。

 ――ああ、なんてことだ。

 蹄のような、指のない手先。いやに黒目の目立つ、離れた目。頭の上側に付いた耳に、やたらと薄い髪。

 そして、おでこの骨が小さな角のように出っ張っている。

 これは。この姿は。

「なんで、どうして? 私はあの日、きちんとお祓いをしてもらったのに」

 彼女は赤ん坊を抱いたまま、膝から崩れ落ちるようにして涙をほろほろとこぼす。

 まさか、そんな。

こんなことが、本当に……

「この子はまた、予言をしたんですか」

 そうすると、彼女は頭を横に振った。

ああ、なんだ、驚いた。それであれば、たまたま次の子も少し変わった形で産まれてしまっただけだろう。俺は安堵した。

にどの出産に及び、奇形の赤子を産んでしまった彼女のことを考えると、気の毒ではあるが。

 でも、それでも、産まれてしまったものに対して、少なくとも俺にはなんの手も施すことはできない。

 彼女は泣き崩れて地面に膝をついたまま、俺に問うてきた。

「私……私は、これからどうしたら……」

 俺は正しい答えとはなにかと言葉選びに迷ったが、宮司としてではなく、一人の人間として、まっとうとされるであろう価値観のもと、彼女に助言をすることにした。

「……菊池さん、お気の毒に思いますがね、あなたはもう子供を一人亡くしているんだ。この子が先に亡くなった子の分まで、懸命に生きられるよう、育ててやらなくちゃならないのは事実なんです。それが、人の親になったあなたの義務だ。私は人の親じゃないから、あまり説得力がないように聞こえるかもしれないけどね……その子を精一杯育ててあげるのが、親としての務めってものなんだよ」

「でも、でも……」

「なにも私はあなたに冷たくしたいわけじゃない。だけど、俺には、産まれてしまった子に対してなにかをしてあげることはできないんですよ。本当に、申し訳ないんだけど」

 そう。なにも俺は、彼女に冷たく当たっているわけじゃない。これでも気遣っているつもりではある。出来るだけ当たり障りのないように、真実を伝えているのだ。自分にどうすることも出来ないのに適当なことを言って、また期待させたって、かえって彼女がかわいそうなだけだ。

 以前はそうした俺の行いで変に望みを抱かせてしまったから、彼女は結果的になおさらショックを受けたことだろう。それは申し訳なく思っている。

 彼女は、

「そうですよね、ごめんなさい」

と謝って、その場にうずくまりながら泣き腫らしている。

心底哀れに思ったが、俺にはなにもできやしない。

 これでいいのだ。

俺は俺自身に言い聞かせる意味もこめて、そう考えることにした。

変に希望を持たせてはいけない。こればっかりは……産まれてしまったからには、どうしようもない。どうにかしてあげたいと思っても、俺が担当すべきことではない。

 彼女は赤子を大事そうに抱えたまま、ゆっくり立ち上がる。そして、その忌々しい形の頭部を愛おしそうに撫でた。

 いまだ、赤子はおくるみの中からこちらを見つめている。

 ああ、本当に、哀れだ。

 俺が、哀れみを感じたその瞬間のことだった。

彼女の腕の中で――

赤子は、言った。


「お前は今晩、死ぬ」


 赤ん坊の口は動いていないし、当然彼女の腕に抱かれたままだ。それなのに、耳元で直接ささやくように、いやに低い声で、赤子は確かにそう言った。まるで直接脳内に語りかけてくるみたいな。なんとも例えがたい感覚に、君の悪さを覚えた。

 ――お前は今晩、死ぬ。

 ああ……俺にも、聴こえてしまったのか。

「今、なんて」

「え? ごめんなさい、と」

「違う。そうじゃなくて」

 俺が否定すると、彼女は少し驚いたような表情を浮かべたあと、困惑したのか、

「では」

と一言述べると軽く会釈し、涙を流したまま境内をあとにした。

第二のくだんを抱いて。

線の細い彼女の背中が、小さくなってゆく。

 一体どういうことだ。彼女は赤子をしっかりと抱いていたはずなのに、あれが聞こえなかったのか。あの迷うような困り顔は、きっとそういうことなのだろう。

「そんな、まさかな」

 口でそう言ってはいても、頭ではそう思っていても、不安を拭いきれない。

なぜなら、すでに彼女の子は一度、災いを予言し的中させてしまったという事実があるのだから。

 ふと足元を見ると、一つの紙切れが落ちていることに気がついた。それは、先ほど見た赤子の写真だった。あの生理的な嫌悪感が俺を襲う。背中が粟立つような感覚。

 携帯電話で写真を撮って、友人に電話をかけよう。あいつか、こいつか。そんなことはどうでもいい。誰でもよかった。

いま俺が体験したこの事実を、あの赤子のおぞましさを、誰かと共有したいだけなんだ。

「ああ、もしもし、俺だ。桜井だ」

 一人だけ、電話に出た。

「どうしたんだ、急に電話なんてかけてきて。今日は休日じゃあないんだぞ。こっちの都合も考えろ、私はまだ仕事中で……」

 何人かに絞って電話をかけると、その中でも最も信頼のできる頭がいいやつが出てくれた。

「いや、急ぎの用なんだ。お前じゃなきゃ頼れない、出てくれて心底良かったよ。とりあえず写真を送るから、ちょっとこれを見てくれ」

 あんなものを見たら、大抵の人はいやな気持ちになるだろう。

 だが、この友人であれば、まあなんとか耐えられるだろうと思った。

それに彼は大学時代からの知り合いで、十年来の旧い付き合いだ。信頼の置けるやつだ。

俺が写真を添付して送ると、彼いやがるどころか、よくわからないといったような態度を示した。

「この赤ん坊がどうかしたのか」

「見てわからないのか?」

「いやだから、なにが。落ち着いて一から話してくれないか」

「あ、ああ……」

 俺は一度深く呼吸して、ことの発端からいままでのすべてを友人に順を追って話した。

「三ヶ月くらい前に、ある女性が俺のもとを訪ねてきたんだよ。一枚の赤ん坊の写真を見せてきて、こう言ったんだ。『赤ん坊が医者の死を予言して死んだ』って。そして、その医者も本当に亡くなったと言っていた」

 友人はため息を吐いて言う。

「ほう、その赤ん坊の写真がこれか」

「違うんだ。この写真は次に産まれた子のもので、この子はまだ生きている。先日産まれたんで、今日……ついさっきのことだ。俺のところに連れてきて、この子についても、俺にはどうしようもないってことを伝えたんだ。えらく泣いていたけれど、俺になにも出来ないことは事実だろう? 間違ったことはしていないはずだ。それで、去り際に赤子が言ったんだ。俺を真っ直ぐに見据えて『お前は今晩死ぬ』って」

 説明し終えると彼は、

「はあ」

とだけため息混じりに言った。仮にも友人の命に関する話だっていうのに、なんだってそんな態度がとれるんだと俺は少し悲しくなった。

「ええと、つまりこの赤ん坊は予言者だとでも言うのか?」

「ああ、そうだ。この子は――妖怪だ」

 俺の言葉に彼は、

「そういう言い方はあんまりだ」

と不愉快そうに言う。そりゃ、そうも言いたくなるさ。その感覚はよくわかる。俺だってはじめはそう思ったし、彼女にもそう伝えた。信じろという方が無茶な話だ。

それでも、他人にとっては他人事でも、俺にとっては自分の命がかかっている一大事なのだ。

 ここではじめて俺は、あの時彼女にあんな言い方をしたことを反省した。それと共に、こんなことに首を突っ込んだことを……否、巻き込まれてしまったことを心底悔やんだ。

「少し言いにくいんだが」

「ああ、なんだ」

「私には写真は普通の赤ん坊にしか見えない」

 友人の口から発された言葉に、俺は思わず声を荒げた。

「そんなはずは無い!」

「いや、まず君はどうして……なにがそんなにおかしいって言うんだ? 不思議なところは一切見当たらない。ただの、普通の赤ん坊じゃないか」

 呆れ気味に彼はそう言ってのけた。

 俺は少しかっとして、彼を責め立てるように、見て和からないのかと怒鳴った。

「この面妖な顔つきに身体! まるで人間には見えないだろう」

「……すまないが、君はどうかしているんじゃあないか」

「いやに離れた耳や目、蹄のような手足。腹が出ているのに変に伸びた背筋。この姿にそっくりな赤子がすでに人の死を予言した事実もあって、その赤子を産んだ女が次もまた似たような赤子を産んで、それが、俺の死を予言したんだ。耳元で囁くみたいに聞こえたが、その声はこの世のものとは思えないくらい気味の悪いものだった。どこをどうとっても、これは、これは……」

 俺はこれから己が発する存在を認める覚悟をして、息を飲む。

「くだん、だ」

 くだん――そうだ、これは、くだんなんだ。

 彼女が言った通り、伝承通りの妖怪に違いないのだ。どこをどう取っても、そうとしか考えられない。認めるわけにはいかないから、否定していたかったけど、そうも言っていられなくなったのだ。

 しかし彼には、まるで伝わっていないようだった。自分ではしっかり詳細に説明したつもりだったが、いくら言ったところで理解は得られないし、俺と彼とでは全く別のものを見ているみたいだった。

「……すまない、もう大丈夫だ。急にすまなかった」

 俺以上に彼は困惑しているようで、なんだか急に申し訳ないという感情が沸いてきて、一言謝って電話を切った。

 今晩で生涯を終えるのか。俺も、あの赤子も。

 くだんの予言は絶対だ。蔵の古書の中にもそう書かれていた。

 呆然と立ち尽くしているのも馬鹿馬鹿しくなり、俺は諦めて携帯電話をしまって、掃き掃除に戻った。なにがなんだかわからないし、なんだかもう、なにもかにもどうでもよくなってしまったのだ。

そもそもあの赤子が死んだって俺には関係のないことだし、その頃には俺だって死んでいるんだから、どうもこうも出来やしない。それに死んだら全てわからなくなるんだ。もうどうだっていい。

 自暴自棄とはこういう状態のことを言うのだろうな。

妖怪なんかが相手じゃどうしようもない。それも相手は不吉な予言を確実に当てにくるやつときた。勝ち負けの話ではないけれど、聞こえてしまった時点で、俺の負けなんだ。

「あのう、あなたが桜井さんですか」

 すると背後から、俺を呼ぶ声が聞こえた。

「はい、そうですが」

 ああ、またか――そう感じた。感じただけだった。だって、俺の命は今晩までの短いものになってしまったんだから。振り向くとそこには、おくるみに包まれた赤ん坊のようなものを抱いた、恰幅の良い男性が立っていた。

「あの、先ほどは妻がご迷惑をおかけしたようで」

 彼女のことだろうか。今、妻と言ったか。であれば、この男性は彼女の夫なのだろう。

 愛想を振りまく余裕もないので、俺はそっけなく「いとんでもないですよ」とだけ返した。

「この子なんですがね、ほら、見ての通りなんてことない、ちゃんと産まれることが出来たんです。それを妻ときたら、ちゃんとした形で前の子を産めなかった時に心を病んでしまって……お医者様が亡くなると赤ちゃんが『言った』だなんて、妄言を吐くようになってしまって」

「妄言?」

 見ての通りだって? そんな馬鹿な。だって、ついさっき彼女に抱かれたこの奇怪な赤ん坊は確かに俺の方を見て『言った』んだぞ。

 俺の死の予言を。

「ええ。それで次にこの子を授かったと知った時、妻は『また妖怪が産まれる』だなんて妄想に取り憑かれてしまいまして……どうしてもと引かないので、何か所かこうして宮司様のところに行ってはお払いをしてもらってを繰り返しました」

「それで俺のところにたどり着いたと、頭を下げられましたよ」

「はい。もちろん精神科のお医者様にも見てもらいましたけどね、元々思いこみが激しい性格だったからか、あんまり効果も見られなくって。挙げ句『桜井さんにお払いをしてもらう』って聞かないから連れてきたんですよ」

 彼が言うには、そういうことらしかった。

 俺は自分の頭がじわじわと冷えてゆくのを感じた。

「今日もそうでした。この子はなんてことない、ただの赤ん坊でしかないのに、何を言っても『この子も妖怪だ』なんて言って……」

 そう言って彼は俺に、赤子を見せてきた。

 どういうわけだか、いつそうなったのかも解らないけれど。俺の目にはもう、その子の姿が、あのおぞましいくだんなどではなく、なんの変哲もないただのかわいらしい赤子に映っていた。

「本当のところは、お医者様もご存命なんですよ」

 これは一体、どういうことなんだろう。

 角は無く、耳も目もちゃんとしたところに付いていて、蹄のようだった小さな手には五本の小さな指が在る。赤ん坊はしゃぶっていた親指を口から離すと、俺を見て、きゃあきゃあと笑った。

 俺は、彼女は、いったいなにに取り憑かれていたのだろう。

「それじゃあ、これで」

 ご迷惑をお掛けしました。そう一礼すると、彼は赤ん坊を大事そうに抱えて境内を後にして、石階段を降りていった。


     ○


「もしもし」

 彼女たちを見送ったその夜、俺は友人に電話をかけた。

「昼間はすまなかった、あれはお前のいう通り、俺の勘違いだったみたいだ」

 無礼を謝罪するも彼は特に気に留めていなかったようで、俺の言葉を軽く受け流した。

 そして俺は、昼間起こった一連の流れを説明し、一つ残る疑問を提示した。

「俺はなにに取り憑かれていたんだろう」

 そう。これだけが解らない。

 あまりにも不可思議な体験に、俺自身、まだ頭がついていかない。

 確かに奇妙な見た目をしていたのにも関わらず、一瞬にして、彼女の夫に抱かれた赤ん坊はくだんの姿などではなくなったのだ。

「桜井くん。君は、君自身に取り憑かれていたのだよ」

 俺が、俺自身に。

 言っている意味がわからない。そう訊ねると、彼は言った。

「そう、時には人の頭はとんでもない働きをするものだ。例えば――そう、あの赤子を妖怪だと思いこんで、全くその通りの存在に見えてしまったりだとかね」

 そうか。そういうことだったのか。彼はやはり、信頼の置ける友人だと再認識させられた。言葉の一つ一つに、重みと正当性を感じる。

「この世の道理の通らない、常識ではあり得ないとされるものが存在するかもしれない。しかし、大抵のものは理屈で説明出来るものなのだよ」

 電話を終えるとき、彼は最後にそう付け加えた。

 妄想。それで片付けてしまってもよいものか。

 本当にあれは妖怪ではなく、人間だったのか、俺にはわからない。

 だが彼女の夫の話では、この件に関してはだれも死んじゃいないし、かわいそうなのはただ一人、初めにちゃんと産まれてこられなかった赤子だけだ。

 現に今、俺は生きている。

 心を病んでしまった一人の母親の妄想に取り込まれ、いとも簡単に幻に取り憑かれてしまった俺は、なんと単純なのだろう。

 しかし、これだけは言える。思い込みというのは、時に現実をも歪めてしまうものなのだ、ということだけは。

 俺は放心して、未だ在る命を不思議に思いながら、眠りについた。

 この体験はある種のミステリだ。

 人の脳が思い込みというトリックにより作り出した幻に踊らされた、不可思議な話。


 くだんなどいなかった。

 本当に恐ろしいのは伝承上の妖怪などではなく、生きている人間の方だったのだ。

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くだんの赤子 早河縁 @amami_ch

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