第13話 詰んだ…?
オレはライール高原の隣のエリア、クリストフ渓谷まで逃げ出した。この岩場のゴツゴツした感じ、たぶんクリストフ渓谷だろう。ゲームのマップの面影がある。
あれから三日経ったが、まだ追っ手とは遭遇していない。ひとまずは逃げ切ったといっても良いのではないだろうか。
腕や胸、腹に負った傷は、<堕ちた聖女>メアリアリアに治してもらった。「あまりご無理はなさいませんように」って心配してくれた。清楚美人は最高だぜ!
体は元通りに回復して嬉しい限りだけど、嬉しくない問題がいくつかある。まずは外套。外套はしこたま切られたせいでボロボロだった。特に前面がヤバイ。もう変装としては使えないだろう。切り裂かれた外套を着てるってだけでも怪しいのに、その下は腰ミノ一丁の蛮族スタイルだ。そんな変質者、通報待ったなしである。
次にどこから通報があったのか。これを知ることで、今後の行動で気を付けるべき部分が見えてくるはずだったけど……。たぶんだけど、通報したのは初日に助けた馬車の人達だ。彼らならオレがどんな外套を着ているのか知ってるし、通報する時間は十分にある。たしかに助けは求めてなかったけど、一応助けた人たちに通報されるって……どんだけ嫌われてるんだネクロマンサー……。
でも、『できるかぎり人族を助ける』のも契約の内だし……どうすれば良かったんだ?
最後に国軍。あの鎧男が言っていた「騎士団」というワードで思い出した。あの黒地に赤線の服、この国、カルセマイア帝国の兵士の服だった。つまり、カルセマイア帝国がオレの存在を知ってしまったことになる。しかも、捕縛の為に兵を挙げている。一番避けたかった事態である。
カルセマイア帝国の勢力がどこまで及んでいるのかも不安だ。冒険者ギルドにも及ぶなら、もう冒険者として活動できないかもしれない。及んでいると思って行動した方が良いよな…やっぱり。
となると金策の手段が…いや、そもそも商人と会えないか、こんな格好じゃあ。会っても逃げていくだろう。そうなると物資の補給が…。
マズイなぁ。良い情報が一つもない。この世界に初めて来た時も絶望したが、今の状況はそれ以上にヤバイ。
これ…詰んでね?
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