「血の羽」

…ここは天界

現世で死んでしまった人たちが集まる場所。それゆえ世界的レベルで大きく、色々な種族がいる場所

また罪を償うために地獄で罪を洗ったら天界へ行ける。そんな場所だった。基本的に天気が晴天であり、気候はあまり関係ない

今日も一日天界の天使たちがいた。その中の大天使、ウリエルは今日も神の前にいた

神が大きく、心が読める唯一神。しかし心が読めるというのもそこまで使わずただ言葉だけで会話をする

神「では今日も頼むぞウリエル」

ウリエル「ははー神様」

ウリエルが言うと神がふと、思ったことを言う

神「…ウリエルよ。お前が…ここに来て何年経つ?」

そんな疑問を言われた。ウリエルは何も迷うことなく言う

ウリエル「数百年…経ちますでしょうか」

神「そうだな。お前は本当は下界で大陸を沈めたことは大戦犯だが、有能だからこそここへ来たのだ」

大陸を沈めた…ウリエルはその言葉を重くのしかかる。だが、神が決してウリエルを地獄へは落とさなかった

ウリエル「私はあくまでも、ここに来て一番だったと思います。神様のご好意、感謝いたします」

ウリエルは頭を下げる。そんなウリエルを見て神は笑顔を見せた

神「そうでもないぞ。では、下がれ」

ウリエル「ははー」

そう言うとウリエルは神の間から離れ外を出た

外は相変わらず天気が良い。そんな天気の良い場所だから天界に来た人たちものびのびとのんびりしている

しかし選ばれた種族は神を手助けするように仕事をしてる人もいる。ウリエルもその一人。他にもいる

ウリエルが外に出ると部下の天使が近寄った

天使「ウリエル様。轢沙子様とデス様とデーモンロード様が庭園でお呼びです」

ウリエル「うん?そうか。今すぐ行くぞ」

そう言うとウリエルはすぐに庭園へと向かう


庭園に着いた。ここは色々な植物がある憩いの場だった。基本的には天使はあまり来ないが別の種族が来たりする

ウリエルが移動してる間にも様々な種族がいた。ウリエルが通るたびにお辞儀をされる。横目で見てウリエルも挨拶をかわす

庭園の中心部まで行くとお目当ての人がいる。天界へ行った轢沙子とデス。そして天魔戦争のときの敵、デーモンロードがいた

ウリエル「3人。ここへ来たぞ」

そう言うと轢沙子とデスとデーモンロードはウリエルの方向に向いた

デーモンロードは天魔戦争時のときと変わらない衣装で、デスも現世にいたときと変わらない衣装。そして轢沙子はローブの衣装だった

轢沙子とデスは笑顔で答え、デーモンロードも変わらない表情でいた

デーモンロード「ウリエル殿、こんにちは」

轢沙子「ウリエル、神との挨拶終わったかしら?」

デス「こんにちはウリエルさん」

3人が言うとウリエルが反応する

ウリエル「おう。貴様たちが我の手助けすること、感謝してるぞ」

そう言うとデーモンロードが言う

デーモンロード「そんなこと無い。私もウリエル殿の手助けするのはあまり嫌ではないぞ」

デス「デーモンロード様もいて私も嫌じゃないです」

そう言われるとなんだかウリエルは嬉しい気持ちになった。ふと、誰かがいない。ウリエルはいう

ウリエル「轢沙子、貴様の巫女たちはどこだ?」

ウリエルが言うと轢沙子は言う

轢沙子「彼女たち、今天界の修行の間にいるみたい。新しくここへ来た人が修行したいって言って案内したり見守っているみたいよ」

ウリエル「ほう。じゃあ今はいないのだな?」

轢沙子「ええ。そうよ」

彼女が言うとウリエルは思ったが巫女たちは本当に優秀なんだなと思った。我とは違う。そんな優秀な人間がいる

デーモンロード「しかしウリエル殿。私と戦ってたときのこと、懐かしく思うな」

デーモンロードが急に天魔戦争時のことを言った。ウリエルは答える

ウリエル「そうだな。だが、今は貴様とはここでも決して仲悪くはしたくない。ここへ来たんだから我だって仲良くなりたい。そう思うぞ」

そう言うとデーモンロードは笑顔になる

デーモンロード「ははは!嬉しいな。これからも仲良くしよう」

轢沙子「なるほど。ウリデーね」

デス「轢沙子さんなんですかそのカップリングの省略の仕方!あはは!」

轢沙子が言った発言にウリエルは慌てて言う

ウリエル「轢沙子!貴様やめろ!そんな省略の仕方はよくないぞ!」

轢沙子「あら。でも仲良くしようってんならそうなるじゃないかしら?」

ウリエル「う、ううう…」

なぜかウリエルは反論が無かった。デーモンロードは相変わらずニヤニヤしてる

ウリエル「と、とにかく!貴様ら、しっかり神のことを手伝えよ!」

轢沙子「当然じゃない?ねえ?」

デス「はい!」

デーモンロード「何も言われなくともそうするぞ」

そこまで言うとデーモンロードが話を変える

デーモンロード「ところで轢沙子殿。私は下界にいる娘に会いたいのだが」

轢沙子「うん?アークデーモンのこと?夢で会いたいんでしょ?」

ああそうだ。ウリエルは今思った。デーモンロードには娘のアークデーモンがいる。すっかり忘れていた

デーモンロード「ああそうだ。最後の情報だとアマリリスの悪魔協会にいるとのことだ。しっかり代表、そして魔王だ」

ウリエル「それは…轢沙子、巫女に言わないとだめではなかったか?」

轢沙子「そうね。巫女たちに言っておくわ。デーモンロードは巫女に会って夢に介入すればいいから」

デーモンロード「よろしく頼む」

ウリエル「そうだったな。我も結婚したかった」

轢沙子「ちなみに言うけどウリエルとは結婚しないからね。デスだってそうでしょ?」

デス「ウリエルさんは好みのタイプじゃないです」

突然のウリエル嫌い発言。ウリエルはまた慌てて言う

ウリエル「き、貴様ら!うるさい!」

デス「あはは!」

そう言うとウリエルは困った顔をしていた

そこまで言うとこの庭園に誰かが来ていた。何も足音もせず、ゆっくりと近寄っていた。その姿は天使とは違う姿だった

6枚の羽。その羽根はあまりにも黒く、変色をしていた。アーカルドで言う烏天狗とは違う羽の色。その天使は笑顔で近寄る

ある程度近寄ったらウリエルが反応した。誰だ?その姿を見た。ウリエルは絶句した。あまりにも場違いな天使だからだ

?「やっほ!久しぶり!あなたたちに会えて嬉しいわ!」

ウリエル「貴様!ヴァルティエル!」

ヴァルティエル。身長は180センチと大きく、6枚の羽が気持ち悪く淀んでいた。何よりも服が血と膿でへばりつく、気持ち悪い姿だった

胸も大きく、轢沙子とあまり変わらない。靴だって血と膿で覆われていた。そんな彼女は不気味な笑顔でここへやってきた

轢沙子「ヴァルティエル…ここへ何しに?」

気丈な轢沙子はこの大天使に関してあまりにも不気味で気持ち悪い存在としてイメージしていた。そんな彼女はここに来た

ヴァルティエル「んーとね。私、裏世界に案内したい悪魔、不死、亡霊がいてほしいなあって思ってるのよ!誰かいるかしら?」

ヴァルティエルの目線がデーモンロードに向いた。デーモンロードは否定の言葉を言う

デーモンロード「いない。お前が探せばいいだろう」

嫌味たっぷりに言うがこのヴァルティエル、決して何事も無いように笑顔を絶やさない。そこも不気味とも言われている

ヴァルティエル「あっはっは!そうねえ!私が行けば十分よね!」

ウリエル「貴様…裏世界とは地獄よりも地獄だと聞くな」

デス「え?私がいた地獄よりも地獄…?」

ウリエルとデスが言うとヴァルティエルは説明をしだす

ヴァルティエル「そうよ~!私が支配する世界はとっても良いとこなの!血と膿とサビで建物が覆われていてとっても心地よい場所なの!

そして何よりも死体がたくさんあるから肉には困らないのよ!なんてったって生きてない死体は美味しい食事になるの!

いつも夕日になっていてキレイなのよ!あちこちに死体を置いたストレッチャーがあって鑑賞になるわ!うふふ!いいとこでしょ!」

…もう、絶望的に意味がわからない。なぜそこがいいか。ちっともわからない。ウリエル始め、轢沙子とデーモンロードとデスは恐怖する

デス「こ、怖いよお…!」

デスが怖がったのか、近くにいる轢沙子へ体を寄せる。そんな姿を見て轢沙子が言う

轢沙子「あんた!デスが怖がってるじゃない!そんなくだらないとこがどこが良いのかわからないわよ!」

大声で轢沙子が否定する。しかしこのヴァルティエル、何事も無かったのように喜ぶ羽目になった

ヴァルティエル「あらあら!褒めてるの?嬉しいわ~!そうよ頭おかしいとこなのよ!だから好きなの!」

褒めてるわけではない。どう勘違いしたらそうなるのか。轢沙子と一同はますますヴァルティエルの持つ不気味を味わうことになる

ウリエル「貴様!もうとっとと行け!」

そう言うとヴァルティエルはまだ笑顔でいた

ヴァルティエル「あらそうなの?早速良さげな人見つけて戻るわ!じゃあね~!」

彼女が言うと後ろを向いて立ち去った。デスはまだ怖がっている。ヴァルティエルの姿が見えなくなったのを確認して轢沙子はため息をつく

轢沙子「はぁ…なんなのよあいつ…意味不明だし褒めてないのよ…」

デーモンロード「とても狂気に思えた。あんなのがここへ来れるとはおかしく思う」

ウリエル「後で神に言っておこう…また来たら頭がおかしくなりそうだ」

デス「あまりにも声高く裏世界のこと言われると私も怖くて動けないです…」

デスが言うと轢沙子はふと思い出したことを言う

轢沙子「そういえばたまに来るミカエルもヴァルティエルには絶対会いたくないって言ってたわね」

ウリエル「言ってたな。巫女がいたら多少は大丈夫かもしれないが」

轢沙子「巫女たちでもどうしようもならないのよ」

デーモンロード「彼女のもつ蘇生の力はあまりにも強力だと聞くが」

そう言うとウリエルが言う

ウリエル「そうだ。ヴァルティエルは蘇生の力を持つ。死に方が簡単な死体ならすぐに蘇ることが可能だ。これはどの種族でも言える話…。

たまに裏世界で死体が来るとすぐに蘇生して部下にするとのことだ。あまりにも異常すぎる…。おまけに力も強いとの話だ」

デス「もしかしたら死体を食べるってことは人肉を食べているのですか?怖いし異常すぎます…」

轢沙子「純粋なデスにはキツイ話だったわね。私だって怖いのよ」

ウリエル「ヤツも大天使だが、どうしてここまでおかしい頭をしてるのか…これっぽっちもわからない」

デーモンロード「悪魔よりも悪魔だ。むしろ大悪魔と発言していいほどの狂気だ」

ヴァルティエルが来てしまったことで暗いことになってしまった4人であった


うふふ。なんだか褒められたわ。嬉しいわね

私、ヴァルティエルは悪魔たちがいる場所に来てるの。裏世界っていう素晴らしい場所に案内したいのよ

でも私が言うとちょっと怖がりそうだからあまり血の表現はしないわ。だって初対面は大切でしょ?

そんなことで悪魔たちがいる場所に着いたわ。うーん。ちょっと見たけどなかなか良さげな種族いるわね~。どれにしようかしら?

ん!ちょうど通りかかった不死かしら?あ!なかなか良さそう!私はすぐに声をかける

ヴァルティエル「そこのあなた。そうあなたよ」

不死「は、はい?なんですか?」

最初は丁寧に案内するのが一番なのよ

ヴァルティエル「ねえ、天界の暮らし、飽きてこない?裏世界ってとこあってそこはとても良いとこなのよ?」

不死「う、裏世界、ですか?うーん確かにここの生活は飽きていますね…」

お。手応えあり。私は更に言う

ヴァルティエル「だからこそ!裏世界は一番なの!ねえねえ行ってみない?大丈夫仲間もいるわよ!」

不死「ふ、ふーむ…どうしましょうか…」

あらあらどうしようなんて言っちゃうの?私は更に更に言う

ヴァルティエル「大丈夫よ!あなたは不死よね?私はね!部下を大切にするの!」

不死「そうですか?なら…行ってみたいですね…」

はい!交渉完了!やってみなきゃわからないわ。私は早速不死に向けて手を添える

不死「な、なんです…わああ!?」

その不死は一瞬にして魂になったわ。そして私の体内へと移動した。ふふふ、ごめんね。裏世界に行ったらきちんと肉体を出すわね

私はもう満足したのかこれで十分と思った。さ、私のマイホーム裏世界へと帰りましょう

ヴァルティエル「うふふ…だからやめられないのよ私」


天界

裏世界にも通じるなんてとっても嬉しい限りだわ!




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