第289話 10階層のボス部屋

10階層のボス部屋


今までの階層とは違い扉の大きさも一回り大きい、海竜族に合わせて大きめの作りにしてあるのかはわからないが、扉の奥にいるであろうボスの大きさも関係してくるのかもしれない。


《行くぞ》

《はい》

《おう》

《はい》

(は~い)


いつの間にか両方の肩にアクアとフレアを乗せて移動するマーシャ、別に魔獣テイマーになろうという分けではないが、この調子でダンジョン攻略を続けると最高10頭のキメラ魔造剣を手に入れる事になる。

それらを侍(はべ)らせて移動するのは気が引けてしまうが、今すぐそうなるわけでは無し、今後の楽しみが増えたと言う所だろう。

しかもこの調子だと魔造剣が殆ど竜種の姿と言う事まで予測できてしまったが、実際の所本当にそうなのか迄は今後の楽しみかな。

そんなことを考えているとアクアから意外な言葉が。


《主様我らの姿は確かに元となる竜種の姿ですが、全てが竜種では無いとお伝えしておきます》

《そうなのか?》

(そうだよ~)フレア


確かにダンジョンコアである生き物10種が全て竜だとは聞いていない、いやその姿を竜と言う生き物でくくってしまったのはこちらの方だ。

他の星の生物が全て竜という品種だと決めつけてしまうこと自体が時期尚早であると2体のレプリカが教えてくれた。


《まあその話は追々分かるとして今は目の前にいるこの階層にいるボスの攻略じゃな》


その姿は大亀と言って良い、どうやら眠っているようだ。


《こいつは…》

《もちろん戦って倒さなければ先へ進めません》


全長30メートルは有ろうかという巨大な大海亀、小さな丘のようにも見えるその背中にはいくつものイソギンチャクや海藻が生えており海流によってゆらゆらと揺れている。


《ここが頭か?》


甲羅の中にズッポリ隠れているその頭をコンコンと叩く。


「ゴンゴン」


するとその小山が揺れ始めた。


「ゴアー」


大きな体からゆっくりと4本の足を出す大亀、重そうな体を支える足は直径2メートル以上。

辺りの海水が濁り出すと、次に何をするのかと思ったが予想通りのスタンプ(足踏み)だった。


「ズズズン」

「グラグラグラ」


大きな体をゆするたびに海水は濁り、そしてこちらの体までゆらゆらとゆすられてしまう。


《うわー酔ってしまいます》ロキシー

《メガグラビティー》

「ズズズズ」

「グラー」

《今の内じゃ》


ボス亀の動きを止めた所で全員攻撃をくらわせるのだが、甲羅はともかくとしてその太い脚も首も、普通の槍や剣では傷一つ付かなかった。


《かてー》

《硬いですね》

《魔法攻撃でもダメです》

《アシスト魔法をかけてもダメか、だが早くしないと重力魔法も時間切れになる》


重力魔法をかけ直せばいいのだが、多分この亀には魔法を半減するようなスキルが有るらしい。

だからアシスト魔法で強化した槍や魔法が効かなかったのだ。


《仕方がない、下がっておれ》


一度皆を壁際に下がらせる、使用する魔法は手持ちの魔法の中では一番破壊力がある魔法だが、これを海中で使うと自分達まで影響を受けてしまう。


《エクストラドームシールド》

「シャイン」


目の前に薄い膜のようなドーム型のシールドが貼られる、そうしないと爆裂魔法は自分達にも影響してしまう、海の中で使う魔法はすべからくそう言う難点が付きまとうと言える。


《この中から出ないようにな!》

《はい》

《お おう》


亀の体内に当る位置に自分の魔気を向けてエネルギーを貯めて行く、その大きさは10センチほど。

要するに爆弾を敵の体内で作るような物、魔法を飛ばすことが可能ならば離れた場所で魔力を集める事も可能だと言う事。

重力魔法で亀はまだ身動きが取れずにいるのだが、そろそろ動き出しそうだ。


《よし、いくぞ エクスプロージョン!》

「ドゴン!」


大きな甲羅が内側から爆ぜると同時に肉片(すぐに消える)のようなものが辺り一面に飛び散る。

一瞬で爆発した亀は一応その甲羅も粉々に砕け散るが、案の定こちらが張ったシールドめがけて飛び散る。


「ゴンゴゴン」

「シュババババ」

《周りに泳いでいた魚も死んでしまいました》

《我々も魔法でガードしていなければあのようになったじゃろう》

《もしかしてあんたと普通に戦ったら普通ああなるのか?》

《やろうと思えばな》


威力を上げるために少しタメを作ったが、通常の戦闘で使用するならば10分の1の大きさで使用できる。

対人戦では相手が死んでも構わない時でなければ使用しない魔法だ、基本的には建物や機械などや地形を変える為に使用する。

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