第287話 2度目のパーフェクトクリア
2度目のパーフェクトクリア
その知らせは突然だった、確か前にも聞いた事が有る。
『パーフェクトクリア』
《なんじゃ?》
《どうしたのです?》
《パーフェクトクリアがどうのと…》
目の前にいきなり今回のパーフェクトクリアであるお宝が出て来た。
《それは!》
《サザールダンジョンのクリア褒賞です》アクア
《もしかしてまたか?》
それは卵のような形、手に取るとすぐにヒビが入り中から生き物が首を出す。
「ピー」
《鳥?》
小型だがその姿は美しく全体の色はオレンジから赤、頭の上には立派な角が毛の中から生えており、心なしか全体的に熱く感じる。
(ご主人様~)
《どうやらこのダンジョンのパーフェクトクリアアイテムの様です》
《おぬしと同じようなか?》
《はい》
《これは火炎竜?》ロキシー
《正確には火炎竜のレプリカです》
《という事は》
《その姿を剣に!》
マーシャがそう言うと手の中にいた小型の竜が剣へと姿を変える。
火炎剣フレア:SSランクSRタイプ、振るう者に火の加護を与え切られた物体は切り口から燃え上がる。
火属性魔法×10水属性魔法にマイナス30、その他の属性にプラス50の追加効果。
水の中では効果が10分の1になり、常に周りの温度を温め続ける。
※剣の状態でなければインベントリーには収納できません。
《やはり》
《さすが主です》アクア
《こういう事か、確かに凍らせてしまった時点でインベントリーには50個近い魔核とドロップ品が取り込まれたからな》
《初めての事ばかりです》アローリア
《妾はな、この指輪に色んな魔法を設定しておる、ダンジョンのドロップ品を拾うのも面倒じゃろう》
《確かに》
《魔法でそれらが自動的にインベントリ―へと収納できるようにしておる》
《魔法でそんな事までできるのか?》
《どうじゃおぬしも魔法を使えるようにしてみたいじゃろう?》
《お 俺には…》
《身体能力も倍以上に上げられるぞ》
《く~》
《シャーズもう観念したらどう?》アローリア
《絶対に魔法など使わぬと心に決めていたのに…》
《それも海竜族のこだわりか?》
《はい特に男達だけの様です》
《そんなもの続きはせぬぞ》
《どうしてだ!》
《今でもおぬしの姉がいかにおぬしの気持ちを逆なでせぬよう抑えているのか分からぬのか?》
《姉上、そうなのですか?》
《今頃気付いても遅いです、この姿もわざと小さくしているのです、本当の姿はあなたの倍くらいあるのですよ》
シャーズはそれを聞いてショックを受けていた、変身魔法は全員使えるようだが。
そうなるとどのように変身するのかという事まで変える事も考えるだろう、その結果男性を立てる為に女性はその姿を小さく見せる事にも気を使う。
まあそれを昔から当たり前のようにして来たのだから、その行いが常態化してしまい不思議に思う者はいない。
《ショックだ…》
《あなたより私が強い事がですか?》
《いや そ それは…》
《そんな事で母に会ってどうするのです?》
母を恨んでいたとしてどうするつもりだったのだろう、戦って勝てるとでも思っていたのだろうか。
《まあまあ、その位にしておぬしも魔法を覚えておいて損は無いと言う事じゃ》
《わかった、姉上今から魔法を教えてくれ》
すぐに教えるわけにもいかない、ここはダンジョンの中であり今は攻略に力を注がないといけない。
シャーズはようやく魔法の重要性が分かったようだ、このダンジョン攻略の最中は休みを取る時の30分間だけ手ほどきすると姉は弟と約束した。
勿論攻略が終われば本格的な勉強をすることになるだろう。
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