第285話 サザールダンジョン5階層

サザールダンジョン5階層


海洋洞窟のダンジョン、その5階層までやって来た。

目の前にはどこかで見た事のある吸盤を沢山纏った触手のような物体が所狭しと蠢いている。


《蛸か、イカのようじゃな》

《大きいですね》


その触手のようなものは最低でも長さが10メートルはある、数えると触手だけで100個以上あり本体は最低10体以上いるはずだ。

時折こちらまで触手が伸びて来るのでその度にマーシャは剣で切り落としている。


「ズシュ!」

《あれに巻き付かれると面倒じゃな》

《墨も吐くでしょうか?》ロキシー

《たぶんな》


目の前を突っ切ると絶対あの触手に引っかかる、そうなれば全てのイカを相手にしなければならなくなる。


《ここは氷雪魔法じゃな》

《そうなるとこちらが通ることが…》


空気中ならばそんな心配はないが、ここは水の中であり一部分だけ温度を下げるのは難しい。

それに広範囲に凍らせたはいいが向こう側へと通る通路が全部氷で埋まってしまう事になる。

洞窟の広さは縦70メートル幅も同じぐらい、海底は岩のようにごつごつしており天井も同じような岩でできている。


《凍らせておいて穴をあけると言う手は?》ロキシー

《そうじゃなそれで行こう!》


全体が水の中で一部だけ凍らせるのは難しい、ならば全部凍らせて後で通路を作ってしまえとそう言う事だ。


《そんなことできるのか?》

《まあやってみない事には分からんがな》

《とりあえず下がっていましょう》


通路に身を潜め空間分離魔法で通路とその向こう側に見えない仕切りを作成する、それを怠ると自分たちまで凍ってしまう事になる。


《空間分離、タイプウォール》

《荒れよ、氷雪絶対零度!》


マーシャは目の前にいるイカの群れを含め空間を全て凍らせた。


「ビキビキ」

《初めて聞く魔法です》

《そうか?便利じゃぞ、そのまま凍らせて冷蔵できる》

《す すごい》


海竜族の2名はその魔法を見て寒気がしたのだろう、自分の体を見て身震いする。

もしマーシャと魔法で戦ったなら、自分達があっという間にやられてしまうだろうと感じたからだ。

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