第15話 魔族への転生
魔族への転生
時は5年前三つ木晴乃香がマーシャとして転生した時点よりさらに5分前に巻き戻る。
「白井さん」
「はい」
「白井さんは交通事故ですか?」
「いえビルから落ちました」
「そうすると通常の事故でしょうかね」
「そうなるのかな」
「まあ詳しいことはいいので白井さんにお知らせです」
「はあ」
「今回転生するのに白井さんには特典を付けることになりました」
「はあ」
「あれ なんか反応薄いですね」
「そうでしょうか?」
「それでですね今回白井さんには自己スキル捕食と自己スキル同化の2つを差し上げます」
「はあ」
「それと便利なスキルも30個ぐらいつけちゃいますがどうです」
「それって良いんですか?」
「そりゃもちろん」
「そうなんですか、ありがとうございます」
「白井さん元気ないですね」
「これが普通です」
白井一郎〇菱商事係長家には2人の娘がいたが先月離婚したため今は一人暮らし。
会社の社畜と化して懸命に働くも病気になりふらふらとどこかのマンションの屋上に行ったら。
耳鳴りがしてふらふらとフェンスの外へ、何かの声に誘われるようにそのまま路上へと落下した。
特に自殺しようと思っていたわけではない、自殺したくなる状況といえば遠からずそうなったかもしれない、だがまだやり足りない感はある。
状況は結構悪いが会社はまだ首になっておらず警察の厄介になっているわけでもない。
まああのまま生きていれば遠からず会社は首になり、警察の御厄介になる可能性があったのだが。
彼は数年前旅先で見つけた小さな祠の前でけつまずき灯篭の上に乗っていた狐の置物を落としたままにして帰ってきた。
まあその灯篭の上にあった置物はどう考えても自力で持ち上がるような重さではなかったからなのだが。
それからというものすることなすことうまくいかず、果てはうつ病を発症しそのせいで離婚。
最後はビルの屋上から転落。
遺書も何も書いておらず、ただの事故かまたは自殺と判断されるだろう。
どうしてこうなったのかはわからない3年前の旅先で灯篭を壊したのが原因なのか。
今となってはどうでもよいことだが。
「白井さん聞いてます?」
「あ はいなんでしょうか?」
「それでですね、このスキルは実験的に配布されるので、一応注意事項として白井さんには創造スキルやその他の通常スキルは全部付与されます」
「はあ」
「それともう一つ捕食スキルのため基本スキルはあまり捕食対象とはしませんが創造スキルで作成された後天的なスキルについては捕食対象となりますのでご注意ください」
「それはどういう?」
「早い話がたくさんスキル作っておかないと無くなりますよと言うことです」
「そうですか」
「それから今回白井さんには前世の記憶を付けて転生できますがどうします?」
「初めからだとどうなります」
「白井という人の記憶はなくなります、でもやり直したいと思うのでしたら記憶が有った方がより良い方向を選べますが」
「じゃあつけといてください」
「性別はどうします選べますよ」
「選べるんですか?」
「はい」
少し迷った後白井は性別を女性に変更した。
そして数分後転生を果たしたがその転生には少々問題があった。
白井一郎
47歳
〇菱商事 係長 うつ病
死亡理由
ビルから飛び降りて死亡(後に自殺で死亡に書き換わる)
死亡場所〇×国道歩道上
ステータス ※よくない(後に最悪に書き換わる)
※要注意
白井の死亡調書は5分おきに書き換わっていた、特に呪いやバッドステータスが多く見られるときは調査に時間をかけるため本来は後回しにするはずが、呪いのバッドステータスがはっきりと見えなかったため天使は見落としてしまったのだ。
彼にはほかにもマイナススキルがいくつかあった。
例えば
自殺願望(弱)
他人任せ
責任転嫁
サディステチィック(DV)
残虐性
自己中
これらは呪いから派生したスキルだが、もともとの素養が無ければ重複して派生したりはしない。
実は彼、家庭では妻や娘に暴力をふるい会社では部下にパワハラ、さらに電車の中で気弱そうな少女を見つけると後を付け痴漢行為に及んでいた。
呪いを受ける前はDVだけだったが、もともと人より自己中で嗜虐性が強かったため呪いの効果がすぐにスキルへと反映していった。
問題なのはこれらバッドスキルを天使がそのままつけた状態で転生させたのが後々まずいことになるとは思わなかったことだ。
転生者に多くのバッドスキルがある状態で転生すればマイナスステータスの影響で魔族それも魔王として転生することがある。
現世において魔王とは最初から魔王という生態があるのではなく、なるべくしてそうなるが正しい。
人族のもう一つの形状である魔族は魂も人族と同じようにリサイクルされる、ただし先ほど書いてあったようにバッドスキル持ちがほとんど。
死ぬときにバッドスキルが1つあればほぼ確実に魔族として生まれ変わる、そう彼は絶対に魔族として生まれることになるのだ。
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