第11話 マーシャ5歳
マーシャ5歳
場所は騎士団の詰め所前にある訓練所、そこに侍従長シャルルに連れられ いや従えてだな、マーシャは今日も剣術の訓練を始める。
すでに騎士団の若者には勝てる者はおらず、今日も騎士団の隊長相手に剣を振るう。
「マーシャ様、お見事です」
「団長こそ、また手を抜きましたね、バツとしてもう一本です」
「またか…」
この国の騎士団はかなりの強わものが多い…はず、団長にもなるとすでに二つ名もありその名を疾風のバイロン、得意の4連撃は子供相手では封印しているが。
最近はそれもだんだん危うくなってきている、それはマーシャが2連撃を覚えてしまったから。
2連撃はそれほど難しくはない、上段から振り下ろしそのまま下段からカチ上げる。
たったそれだけだが、それをスキル化した場合どうなるか?そう常に2連撃が発生する。
マーシャはスキルを使い全ての攻撃を2連にしているのだ、それを素早くされたら受ける方はたまったものではない。
子供だとは言え、もともと色々なスキルを身に着けているため運動能力は、冒険者のBクラス・シルバー級に相当する。
ゲームのようなスキル使用後のクールタイムなど存在しないリアルな世界、疲れなど知らないマーシャは、元気いっぱいに木剣を振り回す。
(カカン)(カカン)
(カッカッカカカカカッカン)
「どうじゃ!」
「ま まいりました」
最後は団長の足がマーシャの剣圧に押され片方後ろに滑ったため、マーシャの振り下ろしを受けそこなうという形で終わる。それでも20分休みなしの攻撃はほかの団員のプライドに火をともすには十分すぎるほどだった。
「よし 俺らもやるぞ!」
「おう!」
「団長、マーシャ様、お水をどうぞ」
「おうすまん」
「ありがとうなのじゃ」
「それにしても素晴らしいですわ」
「そうか?」
「大人相手にここまで戦えるなんて」
「まあいろいろ魔法もかけておるからな」
「それは当然です、身長も体力も違うのですから」
一応魔法無しでも練習はできるのだが、安全のためと団長の心を折らないようにと、魔法をかけて能力を嵩上げしてあるのだからという形にしてある。
マーシャには魔法が無くても体力スキルが10個スピード系のスキルが5個、さらに防御系のスキルが4つ常にパッシブで発動しているので、本来魔法はオーバーパワーな状態だ。
まあ余裕があるということはうまい具合に手を抜くことも可能なので。
相手に花を持たせるような発言をしながらもわからないように手を抜いている。
はたから見れば能力は拮抗しているように見えるが余力はマーシャの方が断然上なのだ。
恐るべし5歳児!
「本日も午後からは魔法のお勉強でよろしいですか?」
「うむ、よろしく頼むぞ」
「ではその前に汗を流しましょう」
侍従長と一緒に訓練場を後にすると、城内にある湯あみ場へと歩いていく。
すでにほかの女中たちが着替えを用意しており、部屋に入るとすぐに練習着を脱がしていく。
白い肌、長い金髪、どこをどう見ても先ほど騎士団長と互角に戦っていたとは信じられない。
この城には風呂などというものはない、あるのは湯あみ場。
白い陶器で作られたヨーロッパではよく見られる浴槽だ、人が一人入ればそれで一杯になる。
そこに魔法で水を溜め魔法で温度調節をする、その為には女中も全員魔法が使えなければならない。
水を溜めるために一人、温度を上げるために一人、というように。
そうしないと魔力が持たないからだ。
少し熱めだが湯船に入ると外から侍従長が布を使い丁寧にマーシャの体を拭いてい行く。
もちろん彼女も全裸になっている、程よくついた筋肉そして三十路を過ぎたとはいえまだ張りのある肌には女の色気が残っている。
「マーシャ様お湯加減はいかがですか」
「ちょうどよいぞ」
「それではわたくしも湯船に入ります」
陶器でできた浴槽だが王家御用達のため少し大きめに作られており、壊れにくくするために魔法もかけられている。
この世界のこの時代ではこのように水は貴重で、井戸もあるのだが前の時代と比べれば科学の遅れている時代。
井戸の掘りは浅く完全に清潔とはいいがたい、それならば魔法で用意した方が断然安心なのだ。
そして一応石鹸らしきものがある、今その石鹸をお湯につけ浴槽内で泡立てているところ。その泡を手に取り侍従長はマーシャの体の隅々を優しくこすっていく。
「マーシャ様はどうしてこれほど動けるのでしょう」
「おぬしの魔法のおかげじゃ」
「私の魔法などあれほどの力を出すためにはほんの少ししか助けになっておりません」
「そうか?」
「わたくしもマーシャ様のような子が欲しいです」
「……」
「申し訳ございませんうっかり本音が出てしまいました」
「かまわぬ、そうじゃおぬし少し実験代になってみぬか?」
「実験?」
「きれいになる魔法のな」
マーシャには他人のスキルが分かる履歴検索スキルとそれに付随したデータ化スキル、さらにそれらを画面のように表示するスキルが天使により付与されている。
侍従長のデータは以下の通り。
シャルル・ヨークリー
36歳
種族 人
犯罪係数 ブルー 89(100)
女
元男爵家令嬢
王家宮廷侍従長(メイド長)
魔法熟練度 26/30級
王家家政婦等級 12/15級
王家家政婦防御武術 20/30級
※メイドアサシン 35/50級(メイド式暗器舞踏術・床式快楽術)
剣術 10/50級
小剣術 21/50級
槍術 33/50級
体術 23/50級
HP 480/500 ヒットポイント(体力)
MP 450/500 マジックポイント(魔法)
SPD 28/50 (+3)スピード(足の速さ)
AGI 27/50(+2)素早さ(敏捷度、魔法詠唱+補正)
AT 32/50 アタック(攻撃力)
MAT 35/50(+5)マジックアタック(魔法攻撃力)
DF 27/50(+2+1)ディフェンス(防御力)
MDF 33/50(+2) マジックディフェンス(魔法防御力)
FA 28/50 フィンガーアクション(器用さ)
IT 140/200(+2)インテリジェンス(脳力、頭の良さ)
魔法※火5水7土3風3聖3光2闇1無2
加護※(太陽神の守り)
予備スキル※(家事全般、魔法、防御、身体能力向上)
メイド服・メイドブーツ・メイドカチューシャ・懐中時計・指輪
※SPD+3・AGI+2・MAT+5・DF+3・MDF+2・IT+2
※カッコ内は加護と装飾品による+補正
※太陽神の加護(状態異常に耐性)
※装飾品一つ一つを鑑定するには他のスキルが必要
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