黒い雨

震災から数日後の帰りの会で先生は

「もし外にいる時に雨が降ったらすぐに建物の中に入りましょう。

止まなくてどうしても外に出る時は、傘だけでなくカッパも着ましょう。」

と私たちに言ったことを覚えている


私たち子供達は

「先生も危ないって言ってた!」

「やっぱりホントだったんだ」

「黒い雨が降るぞ」

「雲はどこにでもあるからきっと逃げてもダメだ…どうしよう」

そんな話ばかりしていた


それからさらに数日経って、震災後初めて雨が降った


大人も子供もパニックになった

学校まで子供を迎えに、沢山の親が駆けつけた


雨が降るときは、基本的に曇っていて暗いものだ

それはみんな分かっていたはずだった

しかし敏感になっていた子供達は

「本当に暗いからこれは黒い雨だ!」

「あの話はほんとだったんだ!」

「雪が降ったらどうする!?

雪が靴に入って溶けたら終わりだぞ!!」

と大騒ぎした


みんな不安でいっぱいだった


その頃はまだ被災地から避難してきた転校生などがいなかったことがまだ救いだったかもしれない


でも、子供達に震災の影響は身近なことで、自分たちの命も危ないこと、放射能がどれだけ怖いか、それを感じるには十分すぎた

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