第8話

ウナネ。今日は曇っていて肌寒い時間帯であった

一軒家に住む広美と明子は今日はのんびりリビングで過ごしていた。広美はスマホを、明子はテレビを見ていた

こんなのほほんとした日なのだからのんびりできる。そして愛しい人もいるから安心できる。そういうことだった

広美はふっとスマホを動かす動作を止める。明子に顔を向けて言う

広美「ねえねえ明子。ふと思ったことがあるんだけど」

明子「何?」

そう言うと広美は思ったことを言う

広美「フウカの住んでるとこって、どこだろ?」

広美が言うと明子はうーんとした動作をする

明子「それはわからないわねえ」

明子が言うと広美はまた思ったことを言う

広美「フウカってさ、おそらくだけど多摩川近くに住んでるんじゃないかなって」

何かの予想を言った。明子はそれに反応する

明子「何か根拠でもあるの?」

広美「最初にフウカに会ったとき、ウナネ氷川神社じゃない?で、初詣に会ったときもウナネ氷川神社…そこは多摩川に近いでしょ?」

うーん確かにそうだ。明子はそう思った

明子「そうねえ。コウリはわからないけどフウカは多分多摩川近くにいるのかもしれないわね?」

明子が言うと広美は窓を見て言った

広美「あんな体格だし、趣味は身体を動かすことじゃないかなあ?ダイエット、してるかもしれないよ」

ダイエット…果たして豪快な彼女がそんなことをしているのだろうか?明子は広美の想像を否定するつもりはないが…

明子「なるほど。貴女の考えはそんな感じなのね」

明子が言うと広美はまた明子の顔を見て言う

広美「だから!多摩川に行けばまたフウカに会えるかもしれないわ!今度はフウカの家を断定するつもりだから!」

だ、断定…そこまでする必要はあるかどうかわからないが…だがもう友人であるフウカ。ちょっとだけ知っておけばいいだろう

明子「わ、わかったわ。つまり多摩川に行きたいのね?」

広美「そう!今すぐ行こう!」

そう言うと2人は多摩川へ行く準備をした


一方。フウカの家に人が近寄っていた

その風格は兎の耳をしており防寒をした格好。手には野球の金属バットと硬式の球を入れたバックを持っていた

コウリであった。彼女は準備を整えてフウカの家の前にいた。インターホンを鳴らす。すぐにフウカが来た

フウカ「お。コウリ。来たね?」

コウリ「うん!行こう!」

そういうフウカもコウリが来ることを知っていて準備万端だった。彼女はドアを閉めてコウリとともに多摩川に行くことになった

フウカ「野球仲間がいてくれて嬉しいよ」

コウリ「だって野球楽しいもん!」

フウカ「そういえばあんたバッティングセンターでなんで球打てるのかと思ったら野球経験者だったんだね」

コウリ「趣味だけどねー!」

そう言うと2人は野球をしに多摩川を歩いていた

多摩川をフタコタマガワに行く道を歩く。その間でも2人はもう親友のように喋っていた

コウリ「フウカって趣味がスポーツ観戦と野球だもんね。私も似たような趣味なんだよね」

フウカ「そうだねえ。スポーツで何ができると言ったらあたしは野球ぐらいしかできないから」

そう言うとコウリは言う

コウリ「フウカの体格だとまずサッカーはだめだしバスケも無理そうだし水泳とか言ったら沈みそうだしね」

なんだか否定的なことを言われた。だがフウカはそのとおりだと思い言う

フウカ「だね。あたしはまず走れないし泳ぐこともできないから。野球ならあまり走ることが少ないからできる唯一の趣味だよ」

コウリ「ポジションはやっぱりキャッチャー?」

フウカ「いいねえキャッチャー!サインをしっかり覚えておけばできそうだ!」

笑いながら答えた。コウリは更に言う

コウリ「でもフウカならピッチャーでもできそうだしなあ」

フウカ「ピッチャーでもいいね!しかしどちらかしかできないのが厳しいもんだ」

コウリ「フウカの体格なら指名打者でも悪くはなさそうだね」

フウカ「指名打者かあ…バッティングは自信は全くないがな」

そう言いながらも目的地まで歩いた2人。喋りながら歩いてたらいつの間にか目的地に着いていた

そこは階段で降りて芝生が生い茂る場所。だだっ広いわけではないが野球の練習ならちょうどいい広さだった

すぐとなりにラグビーの練習をする場所があり、その更なる隣に野球場があった。コウリは着いたら思ったことを言う

コウリ「そういえば野球場って勝手に使ったらだめなんだよね」

フウカ「そうだよ。たまに注意してくるのがいるからね」

コウリ「なるほど。よーしこの広場…はふと思ったけどずっと昔からこの状態なのかな」

フウカ「さあね?コウリ、あたし投げるからミット付けてくれ」

コウリ「オーケーフウカ」

そう言うと2人は早速野球の練習をした


更に一方。広美と明子は多摩川を歩いていた。もちろんフタコタマガワ方面の道である

ここは相変わらず空が広い。空が好きな人なら十分に満足できるような地形だ。そんな道を2人は仲良く歩いていた

防寒をして歩いてるときに明子は言う

明子「ねえ広美。ここにフウカがいるかしら?」

広美「いるわ!私のヒューマンの感よ!」

感…確かに女の感というのは当たることがあるがそれは持ってる人でないとあまり通用しないのではないだろうか

なんとも言えない感に付き合うしかなかった明子だった。2人は更に歩く

ちょうど隣のキャンパスのサッカー場が過ぎたとこだろうか。広美は土手の下にある場所をよく見た

下のラグビー場の隣の広場に誰か野球の練習をしてる2人がいる。間違いなくフウカとコウリだった

広美「ほら!いるよ!」

明子「貴女の感が当たるなんて!?」

そう言うと後は挨拶すればいい。広美はさっさと2人の場所まで行って明子は後を追う形となった

フウカとコウリが今練習してるときに広美は近寄り大きい声を出していた

広美「おーい!フウカー!コウリさーん!」

フウカとコウリはその声に反応する。広美と明子だ。練習を中断して彼女たちに反応する

フウカ「お!広美に明子!あたしらがここにいるのよくわかったね?」

コウリ「広美さん、明子さん。こんにちは」

広美と明子は近くまで行く

明子「フウカ、コウリさん。実はね、広美の感でここにいるだろうって言ってここまで来たのよ。

本当はフウカがどこに住んでるのかって聞きたいがために感でここに来たのよ」

フウカ「か、感…。ヒューマン…いや、女の感ってやつか」

コウリ「意外とヒューマンの感は馬鹿にならないって話だけどね」

広美の感に2人は驚くしかなかった

広美「ところで何やってるの?野球?」

フウカ「そうだよ。コウリと一緒に野球してたんだ。今はあたしがピッチャーしてコウリがキャッチャーしてたんだよ」

広美「面白そ~!」

コウリ「広美さん。もしよかったら打ってみます?」

明子「あら。広美大丈夫かしら」

明子が言うが広美は喜んで答える

広美「うん!打ってみたい!」

そう言うと広美はバットを持つ。金属バットだからか少々重たいかもしれないがとりあえず持てるので打席に立った

ピッチャーはフウカ。キャッチャーはコウリ。そしてバッターは広美だ。明子は少し離れたところで見守っていた

広美「よーし!ばっちこーい!」

余裕なのか調子に乗ってるのかわからないがピッチャーであるフウカはかなり困っていた

フウカ(うーん。直球で投げて広美は当たるもんかね。かと言ってふわっとした投球は投げていいもんか…わからん)

フウカはこころで自分会議したが結論としてはふわふわした投球を投げることにした。広美の目つきが真剣になっていた

フウカが一球投げた。全力は出していない、ふわっとしたボールだった。広美はよく見ていた

ここだと思ったときに広美はバットを振った!ぶん!…空振りをしてコウリのミットに届いた

広美「あ、あれ?タイミングバッチリだったのに?フウカ!もしかして変化球なんて投げてないよね!?」

そう言うとフウカは否定する

フウカ「違うよストレートだよ!よく見て狙いな!」

コウリ「広美さん。こういうのは本当によく見て振ったほうがいいですよ」

広美「な、なるほど。次は打つわ!」

そして2投目。フウカはさっきと同じくふわっとした投球をした。しかし元々すぐにわかる広美だからか

さっきよりもきちんと目をそらすことなくボールをきちんと見ていた。フウカが投げた。ここだと思うタイミングで広美は振った

カキーン!

ボールが打たれた。そこまで遠くには飛んでないがラグビー場近くまで飛んでいった

広美「やったー!ヒットだわー!」

しかし打球の行方を知っているフウカとコウリはヒット。…というよりどちらかと言うとファールボールのような気がした

だが打てたものは打てた。ただそれだけでも十分な価値がある。始まって2球目でよく打てたものである

フウカ「すごいね広美!2球目で打てたなんて!」

コウリ「広美さん飲み込みが早いです!すごいですね!」

フウカとコウリに褒められた広美は大いに喜ぶ

広美「ふふふ!明子見てた?ヒットだったわ!」

明子「ええ。よく打てたわね」

いや、ファールボールに近い打球…まあいいか

明子「私がボールを持ってくるわね」

そう言うと明子が飛んでいった球を探した。しかし今は冬。決してわからないような草が伸びているわけではなくすぐにわかった

明子がボールを持って3人のところまで持っていった

コウリ「すいませんね。こういうのは私たちの役目なのに」

明子「いいのよ。球拾いは嫌いじゃないから」

広美「フウカ!もっとどんどん投げて!ホームラン打つまで止めないから!」

フウカ「広美!それは幻想すぎるヒットだから無理するな!」

そんなこんなで4人は野球の練習を楽しんでいた


結局広美はその後10球ぐらい投げてもらい5回打った。5回目になるとヒットらしいヒットになってフウカは驚くことになった

ふわふわした投球を続けてたがヒューマンとはすぐに慣れるものだと関心するしかなかった。ちなみにホームランは打てなかった

夕暮れ時に近い時間で広美含むフウカとコウリはクールダウンに軽いキャッチボールをして終わりをした

帰り道の4人。良い運動だったか笑顔で帰っていた

広美「いやーとても良かったわ~。ボールを打つ快感!たまらないね!」

フウカ「あはは!本当はコウリと投球とノックでもしようかと思ったけど2人が来てから広美の練習になったね!」

コウリ「私も楽しかったです。また4人で楽しみたいです」

明子「まあ私はもっぱら球拾いだったけどそれでも広美が打ってくれて面白かったわ」

4人はにこやかに喋りながら帰る。ふと、広美は本来の目的を忘れてた

広美「そうだ!フウカってどこに住んでるの?」

そう言うとフウカは答える

フウカ「ん?龍王公園近くの場所だよ?一軒家」

コウリ「ちなみに私はその近くのアパートです」

広美「なんだ~!私たちは野川近くの場所だからあまり遠くないね!」

コウリ「広美さん。明子さん。これからどうぞよろしくおねがいします。今後も会うかもしれませんしね!」

コウリは笑顔で言う。もちろん広美と明子も笑顔で答える

広美「もちろんよ~!コウリさんもよろしくね!」

明子「また友達増えちゃったわね。とても嬉しいわ」

4人は笑いながら歩いて戻っていった


ウナネの夕方

冬だから冷え込んでいた



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る