第6話
秋がすぎ、冬となったウナネ
この秘境はいつもどおりの昼下りの日常だった。とても良い季節となっている。街はクリスマスだ
広美と明子はリビングで暖房を付けてすごしていた。やはり日中でも寒いときは寒い。広美は特に寒がりだ
前に真夏に公園めぐりや多摩川をくだったことや民家園に行ったことが過去に思えるほど遠い記憶となっている
広美は暖房を入れつつ言う
広美「う~。寒いよ~」
明子「あら。貴女寒がりだったの?」
そう言うと広美は明子に顔を向けて言う
広美「私夏はいいけど秋以降になると寒さが身に染みるのよね…」
明子「そうだったの」
そう言うと再び広美は暖房器具の前に座る。そこまで寒がりか
明子は何かを思い出したかのように冷蔵庫を見た。あ。食材がほとんど無い。これは買ってこないとだめだ
暖房の前にいる広美に言う
明子「広美、ちょっとスーパーに行ってくるわ」
広美「え?行くの?私も行くよ!」
あれ。寒いと言ってたのに一緒に行くのか?
明子「あら一緒に行くの?寒いんじゃないの?」
広美「だって一緒に行きたいもん!」
そう言うことなら仕方ない。一緒に行くほうがいいだろう
明子「わかったわ。それじゃあしっかり防寒して行きましょう」
明子が言うと広美はさっさと支度をする
玄関のドアを開ける。日はあるがすでに15時を回り太陽の光がそろそろ沈むような角度をしていた
2人は施錠をして自転車で出発することにする
広美「そういえば明子の電動自転車っていいよね」
明子「貴女だってマウンテンバイクでスピード出るやつじゃない」
そう。広美の乗る自転車はマウンテンバイク。明子が乗る自転車は電動自転車。バラバラであった
しかしそんなことでなんも思ってないためそのままであった
広美「電動自転車って坂もそうだけど風にも強いからたまに羨ましい気持ちになったりするわね」
明子「そういう貴女のマウンテンバイクだってスピードが出るから電動自転車以上の速さじゃない」
まあ、そんな自転車のことは今ここで言わなくてもいいだろう
明子「じゃ、出発しましょう」
そう言うと2人は近場のスーパーへと行くことになる
そのスーパーに寄る途中。道路を通過するときに広美は変わった建物を発見して止まる
止まってたので明子も止まる。その建物は娯楽施設なのかよくわからないが変わった建物のような認識だった
広美「ここ何?」
そう言うと明子が答える
明子「ここはアメリカンスタジアム。アメスタなんて呼ばれるいわばバッティングセンターよ」
広美「バッティングセンター!」
明子「他にも上に上がると色々なものがあるけどね。カラオケと言ったものだったり」
広美「へ~。近場にこんなのがあったんだ~」
明子「意外とこういうのあるわよ。さ、行こう」
明子が言うと2人は自転車で目的地へと行く
少し経った後、アメスタに1人の女性が外を出る。その体格はグラマラスであり、角の生えた龍人であった
体格がいいのかゆっくりと歩いて外を出た。フウカであった
フウカ「ふー。バッティングである程度の速度なら打てるようにはなったね。そろそろ速い球でも挑戦してみるか」
フウカが言うと腕に付けた時計を見る
フウカ「おっと。そろそろ買い物しよう。今日は何がいいかな」
そう言うとフウカは自転車で2人が行こうとしてるスーパーへと行くことになった
明子「着いたわ」
広美「ここなんだ」
そのスーパーは名前がヴォンヴォヤージュ…という名前でスーパーであった。ある程度の食材なら揃ってる。そんなスーパーであった
駐輪場にとめて店に入る。もちろん買い物かごを持ち店内を歩いていた
広美「今日は何がいいかな~」
明子「貴女の好きなものでいいわよ」
広美「わーいやったー」
そう言うと広美は自分の好きな食材を持っていってかごにいれた。そこでふと思った
広美「あ、でも今日は寒いし鍋にしたい気分かも」
明子「そうね。じゃあそうしましょう」
ここまで言うと1人の女性が広美に気づく。ゆっくりと歩きながら近寄った。フウカだ
フウカ「おや。広美じゃないか?」
その言葉に広美は反応する。前にウナネ氷川神社で会った龍人の一人だった
広美「…フウカさん!」
そう言うと広美はフウカに近寄った。明子は広美の側にいた
フウカ「こんなときに会うなんてね?もしかしたら夕飯の食材を買うのかな?」
広美「はい!そうです!」
明子「ねえ広美、この人が前に会ったっていうフウカさん?」
明子が言うとフウカは自己紹介をする
フウカ「あたしは外龍角フウカ。ここに住んでる龍人だよ。広美、この人は?」
広美「この人は明子っていうんです!私のパートナー!」
広美が言うと軽くフウカが驚く
フウカ「パートナーだったか!なるほど。なかなか良きパートナーだな」
明子「どうもフウカさん。私は明子っていうのよ」
しかし明子は思ったがとてつもない体格をしていてびっくりしている。グラマラス。というのはこのことだろうか
フウカ「あ、そうそう広美」
広美「なんですかフウカさん?」
フウカは広美の目を見て言う
フウカ「あんた、あたしにそんな敬語で話すのはやめてくれ。龍人だからって偉くはないんだから。敬語はいらないよ」
敬語禁止が出た。やはり龍人でもあるがフレンドリーに接したい人なのかもしれない
フウカが言うと広美も目を見て話した
広美「う、うんわかったわフウカさん」
フウカ「さん付けも禁止だよ!」
広美「ええ。フウカ」
明子「じゃあ私もそうしたほうがいいかしら?」
フウカ「もちろんさ」
敬語禁止ならもっとフレンドリーになれるはずだ。そう思った明子だった
広美「ねえねえもしよかったら私たちの家に来ない?今日鍋にしようとするしフウカ来てほしいんだ!」
明子「あらいいわね。フウカ、来ない?」
2人が言うとフウカは驚く
フウカ「え!?いいのかい!じゃあお邪魔しようかな?だったら食材もある程度あたしが出すよ」
明子「ええ。わかったわ」
そう言うと鍋の食材を買っていた。フウカもある程度お金を渡した
店を出て3人は自転車に乗る。フウカの自転車は普通の自転車で別に特別なものじゃないものだった
広美「じゃ。行こうフウカ!」
フウカ「ああ!案内よろしくな!」
そう言うと広美を乗せたマウンテンバイクと明子を乗せた電動自転車が軽くスピードを出して行った
フウカ「ま、待ってくれ速いよ!」
フウカは少々筋肉を使うようなスピードを出して付いて行くしかなかった
夜になり明子はキッチンで鍋の準備を。広美とフウカはリビングのテーブルでおしゃべりをしていた
広美は発泡酒で飲んでいたがフウカはお茶を飲んでいた
広美「ごめんねフウカ。本当なら泊めてあげたいけど使われてない部屋が物置になってて横にできない状態だからさ」
フウカ「いいんだいいんだ。食べたら帰るさ」
広美「最近飲酒運転が厳しいから自転車に乗るさいにも飲酒しちゃいけないからね」
フウカ「そうだねえ。ウナネは警察官が巡回することは少ないけどたまにいるんだよね…」
そう言いながらもフウカは用意してくれたお茶をぐびっと飲む
広美「そういえばフウカ、ひとつ質問したいことがあるけど…」
フウカ「ん?なんだい?」
そう言うと広美は言う
広美「出会ったときにマドカさんのことが苦手って言ってたけど、なんでなの?」
広美が言うとフウカはすぐに答えた
フウカ「実はね、彼女サーチ能力?が高いんだ。都会ならマドカはどこでも知ってる地帯だからね。マドカ自体は山に住んでるくせに。
あたしみたいな特別な力が無い龍人にもたまに訪問してはああだこうだ言う人なんだよね。まあ一番はリーダーだと思ってるとこが一番イヤなとこ。
結局彼女から離れたいから一緒に暮らしていた妹と話し合ってあたしは静かにウナネに住むことになったんだ」
広美は言われると納得した。あのマドカという人物はやはり評判の良くない龍人なのだろう
広美「そうなんだ…。でもフウカって妹いたんだね?」
フウカ「うんいる。アスカっていうんだけど、アスカは別にマドカのことを嫌には思ってないからね」
広美「でもいつかバレてしまわないかしら?」
フウカ「大丈夫さ。マドカに言われてもあたしは旅してるってことにしてるから」
広美「そうなんだ…」
ここまで言うと広美は持っていた発泡酒をぐいっと飲む。そういえばまだ質問したいことがあった
広美「ねえフウカ。その体格…いったいどうなってるの?」
広美が言うとフウカは笑顔で答える
フウカ「ははは!どうなってるのって言われてもあたしはわからないなあ。こうなった。とでしか言いようないよ!」
広美「身長体重スリーサイズは?」
そう言うとフウカは余計笑いながら答える
フウカ「そうだねえ。身長は171センチ。体重は73キロ。スリーサイズはえーと…バスト110、ウエスト89、ヒップ105。だったかな?」
うわあ…なんていうでかさだ…広美はその体格を改めて凄まじいと思った
広美「と…とんでもない体格ね…」
フウカ「でも身長は龍人の中でもそうでもないよ。あたしの友人の龍宮寺ハルカは人は身長185センチだし」
広美「ハルカさん見たけど確かに大きいねえ。私の友人の巴ちゃんはそうでもないけど」
ここまで言うとフウカはふと思った
フウカ「広美、もしかして巴とハルカの披露宴に行ったのかい?」
広美「うん!行ったよ!」
フウカ「そうか。あたしは本当は行きたかったけどマドカがいただろうし行けなかったよ。でもハルカ宛に手紙を送ったよ」
広美「きっと巴ちゃんとハルカさんは今一緒に暮らしてるんだろうね」
喋ってると明子がようやく完成したのか鍋を持ってきた
明子「はーいできたよ。ネギを中心とした野菜とつみれたっぷりの鍋よ!」
そう言うと広美とフウカは喜んだ
広美「わ~美味しそう!」
フウカ「これはあたたまるね!」
明子「たくさん食べてね!」
広美「はーいいただきます!」
3人は食べ始める。つみれがあり野菜はネギや白菜や人参、しいたけとおまけの糸こんにゃくがあったりして美味しそうだ
おろしポン酢で食べている。うん美味しい。鍋とはシンプルながらも美味しい料理だ。心身共に温まる
3人は美味しい鍋料理をたくさん食べていた
食事を終えて玄関。フウカがそろそろ自宅へ帰るときだった
玄関で2人は帰るフウカを見送る。フウカは満足したのか笑顔だった
フウカ「じゃあね。今日はありがとう。そしてこれからもよろしくね」
広美「楽しかったわ!いつでもおいで!フウカなら大歓迎だよ!」
明子「貴女といれてとても楽しかったわ。帰り道気をつけて帰ってね」
そう言うとフウカは2人を見て言う
フウカ「気遣ってくれてありがとう。じゃ、おやすみ」
フウカは自分の自転車に乗り漕いでいった。フウカの姿が見えなくなるまで2人は見送る
姿が消えたら玄関ドアを閉めた。本当にフウカは良い人だ。そう思った
広美「今日は良かったね」
明子「ええ。こんな楽しいひとときをまた楽しみましょう」
2人が笑顔でフウカのことを思っていた
フウカが帰るとき、途中でスマホから着信が鳴った。なんだ帰ってるときに?
道に誰一人おらず暗闇が支配したこのウナネの道にフウカはいる。スマホを取り出し、着信を出る。妹からの連絡だった
スマホを耳に当てて片腕で自転車を押しながら通話をすることにした
フウカ「…もしもし、アスカ?」
フウカ「今どうしてるかって?友人と一緒にごはん食べて今帰ってるとこだよ。謝らなくていいさ。自転車で押しっぱなしでも通話できるからさ」
フウカ「そうだ。マドカ来たか?来てない?そうかやはりたまにしか来なくなったのだろうね」
フウカ「そういえばあんた、あの死術師の家系の子とは上手く付き合いをしてるのか?ふーん。たまに連絡するか」
フウカ「彼女は天才だよ。あたしはある程度死術を知ってるが未成年でしかも高校生で全てを学んだなんて異次元の人間だよ。あ、彼女不死か」
フウカ「あんたもオタクだろ?彼女もオタクらしいしきっとアキバっていう街で楽しんでんだろうね」
フウカ「アスカだって気をつけて生活してくれよ。あたしはのんびり暮らすからさ。…うん、それじゃあね。おやすみ」
通話が終わった。無意識に自転車を押して道を歩いていたら気がついたら自身の家にたどりついていた
フウカ「いつの間にか着いてた。風呂沸かして入って寝るか…」
そう言うとフウカは家に入った
ウナネの冬
都会とは思えないほど寒い夜だった
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