第4話

…今日も夏模様で空が晴れていて、雲もあった

自宅にいる明子と広美は休日なのでゆっくりと時間を過ごしていた

明子は庭にある植物に水をあげて、広美はリビングでスマホを操作している

相変わらず広美はスマホでなにかしてるが決して悪いわけではない。単純にスマホが好きなだけだ

明子は植物に水やりを終えるとリビングにいる広美のそばに行く。広美は今ソファーにいる

なにかを熱中してスマホを操作してるのだろうか?ちらっと覗くとマップを開いているみたいだ

広美はウナネへ来てここの地理に詳しくなろうと思ってるのだろうか。勉強熱心なのはいいことだ

少しの間だけ無言の時間がすぎる。そして、無言の時間の終わりを告げたのは広美のほうからだった

広美「ねえねえ、明子。前に言ってたオカモト民家園って、なんだろ?」

明子は思ったが前にそれを言ってそのままだったな。と

明子「あそこは小さいけどきちんと民家園として残ってある、次大夫堀公園と同じぐらいの歴史を持つ民家園よ」

そう言うと広美はスマホを見るのをやめて明子の顔を見て言う

広美「行ってみたい!」

広美が言うと明子はだめな理由はないだろう。と思い答えを言う

明子「ええ。行ってみましょう。あ、ちゃんと熱中症対策してね!」

広美「はーい」

2人はお出かけする準備をして外を出た。明子と広美は帽子を被り、もしものために水筒に水を入れた

自転車で行けるので自転車で向かうことに。2人は道路に出て自転車でオカモト民家園へと向かうこととなった


自転車で颯爽と飛ばし、まずは川へ。しかし川へ着いたときに広美は急に止まる

明子「どうしたの?」

広美「この川…なんていうの?」

その川は野川とは違ってあまり自然のなさそうな川だった。もちろん明子は知ってるため言う

明子「ここは仙川。下流まで行くと野川に通じる川なのよ」

広美「へー…そんな川があるんだ…」

広美はその橋から下を眺めていた。魚がちらっと見えた。おそらく鳥も来るのだろうか?

彼女が少しの間だけ見たら満足したようで明子に顔を向ける

広美「行こうか?」

明子「ええ」

自転車はオカモト民家園へ向けて発進する…はずだったが橋を渡ったらまた広美は気になるものを発見してしまう

広美「小さな川がある!」

その川はとても小さく植物が生い茂る川だった。水のせせらぎがとても良い音に聞こえる

生物はいるのだろうか?だがキレイそうな川なのでいるだろう。明子は答えようとするが…

明子「えーとこれなんて言ったっけ…」

ただでさえマイナーな場所なのでさらなるマイナーな川の名前をすっかり忘れてしまう

明子「ごめんちょっとわからない…」

広美「大丈夫よ?」

そう言うと2人の自転車は先へ進む

進んだ先に信号があったので止まって青になったら進む。その小さな川の側に道路がある感じだった

ある程度進むと歩道らしきものが無くなる。2人は車の邪魔にならないようにと歩道で自転車を動かす

そして更に進むとそれっぽい場所に着いた。ここがオカモト民家園だろうか

広美「着いたわ!」

明子「ええ!」

『オカモト民家園』という看板のある場所までたどり着き、駐車場に駐輪場があったためそこで自転車を止める

広美は周りを見渡す。車が少なく他の人の自転車もあまりない。次大夫堀公園とはまた違う、雰囲気なのだろう

2人は通路があるためそこへ歩く。今日は日差しが強い日。日差しを浴びながら歩くかと思ったら…

広美「…でかい樹木が日除けしてくれてる」

大きい樹木が多いこの民家園。日除けをしてくれる樹木が多く、少しだけだが涼しく感じた

歩くと公園へに着いた。まずまずの大きさの公園。人がいて家族連れなのか公園で遊んでいた

ぶらんこ、滑り台。大きいスペース。それに大きい樹木の日除け。ここで遊ぶなら熱中症もある程度防げるかもしれない

看板があったので2人はまずそれを見た。看板には色々なことがかかれている

広美「ねえねえ!さっきの小さい川って丸子川っていうみたいね!」

明子「あっ。丸子川だったの。忘れちゃうものね」

これもどうも次大夫堀公園にあった六郷用水と同じものらしい。昔の人の憩いの場。だったのかも

広美「…で、この国分寺崖線ってすごい崖線?よね」

明子「知ってたけど改めて見るとながーい崖が続いてるのよね」

国分寺崖線。8キロもある崖線である。広美はなんとなく位置情報ゲーを確認するとやはり普通にあった

広美「うーん…丸子川に国分寺崖線…ここってやっぱり貴重な場所なんだねえ」

そう言うと2人は看板をみるのを止めて民家園へと向かうことにする

民家園への道はすぐだった。看板のやや反対側に門があった。2人はそこへ行く

門をくぐると広美は足元を見た

広美「あはは?なにこれ。畳みたいなのが通路になってる」

民家園へと向かう道に畳っぽいのが地面にあった。広美は面白がって歩いていた

そんな道を歩くとようやく見えた民家園。ここも前に行った次大夫堀公園と同じようなたたずまいをしている

ここだけ雰囲気が全く違う。後ろには鬱蒼とした森林が広がっている。江戸時代後期の農家の家屋敷…

その屋敷に入ると静かな雰囲気がした。家屋敷独特の香りもした

広美「良い雰囲気…次大夫堀公園では屋敷に入らなかったからさ…」

明子「あらそうだったの?入ればよかったのに?」

広美「でも入ってよかったのかなあとは思ったのよ」

明子「いいのよ別に」

2人は入るだけで満足したのか屋敷の外に出る。屋敷の外も内部も暑いことには変わりない

明子「でもオカモト民家園はこれだけ。あとは適当に公園内をお散歩しましょう」

広美「うん!公園は割と広そうだなあ」

外を出るとふと、喋っている人に目を向ける

1人はボランティアであろうスタッフだがもう1人はどこか種族が違う雰囲気がした

女性としてはやや高めの身長。角が生えていて髪色が暗い緑色。暗緑色というのだろうか?

どこか、気品がある女性であった。その女性がしゃべる。しかし服装はこの時期ではやや暑いような服装をしていた

?「…他に、ここらへんで龍人族に会った。なんてことは無いかしら?」

スタッフ「そうですねえ…龍人はたまに見かけるのですが、ほとんど見学ですね」

?「そう。ここは秘境だなんて言われてるし隠れて住むにはうってつけなのよね」

スタッフ「はい。ボランティアにも龍人はいません。なので、住んでるのはいるかどうか…」

ここまでスタッフは言うとその女性は諦めた口調をする

?「わかったわ。向こうにある次代なんちゃら公園ってとこもあまり龍人はいないのね?」

スタッフ「そうですね。ここは龍人はいないと思います」

?「そう。ウナネ、キタミ、コマエ、そしてここオカモトもいないのね。いそうな予感はしたけどね…

こういうところは余生を過ごすにはぴったりの場所だと思うけど、一応都会でもあるからね」

そう言うとその女性は帰ろうとする

?「ありがとう。そろそろ帰るわ。じゃあ」

スタッフ「はい。はるばる遠くから来てこちらもありがとうございます」

スタッフは丁寧にお辞儀をするとその女性はちらっと広美と明子の顔を見た

しかしチラ見してすぐに去っていった。もうここには用事が無くなったらしい

話してたボランティアは再び民家園の中へと戻っていく。そんな光景を見てた2人は感想を言う

明子「龍人…って言ってたわね」

広美「あの人龍人なんだ。こんな場所まで来るんだ」

2人は思い思いの感想を言った

民家園から離れて2人は湧き水の出ている公園の内部まで来ていた。じゃばじゃばと湧き水が出ている場所だ

夏の気温のせいかここだけどこか涼しい雰囲気がした。水の音を聞くだけで涼しく感じる

広美は湧き水をちょっと触ってみる。どおりで冷たい水だった。とても都会の中にある場所とは思えない

広美「…やっぱり、ここは違う。冷たい水が透き通ってる」

明子「キレイな場所でしょ。前に貴女が行った民家園とはここもまた雰囲気のする場所なのよ」

広美は更に水をすくってみる。透き通った水。さすがに飲もうとはしなかったが、心地良い水だった

広美「こういうところは、ずっと未来が過ぎても忘れてはいけないね」

明子「そうね。だからこその保存よ」

2人は湧き水を見ながら思いを言っていた


十分に満足したのか2人は帰ることに。自転車に乗り、帰路へ

途中コンビニにより冷たい飲み物とアイスを買って帰った。そして家に着く

冷房で冷やされたリビングでのんびりしながらアイスと食べて飲み物を飲む。今日の疲れがとれていった

広美はアイスを食べながら今日会った龍人のことを思い出した

広美「…そう言えば、私の小学生の友人で東風平巴ちゃんっているんだけどね」

明子「うん」

広美「彼女、付き合ってる人が龍人だって話を聞くわ。しかも歴史のある家系の龍人だってさ」

そう言うと明子は驚く

明子「へえすごいわねそれ」

広美「最後の話だと、もう結婚寸前まで来てるんだって。私としてはとても嬉しい限りよ」

広美はそう言うとアイスをぱくりと食べる

明子「この国、龍人は祀られる存在だからそういうの聞くと嬉しく思えちゃうよね」

明子は飲み物を飲んだ。広美は明子の顔見て言う

広美「この地域、もっと面白い場所あるのかな」

明子「あるわ。キタミとコマエ、あそこもなかなか面白いわよ」

広美「ふふふ。また行けるの楽しみよ」

そう言うと2人は笑顔になって笑い合う


ウナネの夏

まだ見ぬ秘境の秘密を探るように時間が過ぎていく



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