第13話 プレステージの終り

「ええまあ、早速ですがプレステージが

捜索を受けたので

全店休業になりました」


「そうそう、それが聞きたかったの、

何があったの?」

「プレステージが使っていた、

シャンプーとリンスから

覚醒剤の成分が検出されたんです」


「それって・・・」

「はい、プレステージは客を麻薬患者にして

美容院に通わせていたり、シャンプーを高い

値段で売っていたりしていたんです」


「ひどい」

「警察は顧客リストを元にシャンプーの回収を

しています。もちろんプレステージは

閉店になります」

「そう」

ジュディは色々な面で安心をした。


「それで一つお願いがあるんです」

「何?」

「プレステージの従業員で

優秀な人材を雇って欲しいんです」


「どうして?」

「プレステージを調べた時、

かなり腕の良い美容師がいるようです。

このまま失業させてはもったいないと思います」

「ええ、わかったわ」


「従業員のリストは警察から入手します」

亮は裕子の目を見つめた。

「ところで渋谷のマテリアの方は?」

「とても順調よ、メイクアップの希望者も多いわ」


「はい、そこで新たにマテリアの仕事として

メイキャッパーの派遣をしましょう」

「えっ、どこに?」

「飛行機の中でヘアメイクをするんです」

「えっ?」


ジュディは亮の言っている意味が

まったく分からなかった

「仲間が航空会社を作って

JOLの飛行機をチャーターして

飛行機を飛ばすんです。


その便のサービスとして

メイキャッパーが添乗するんです」

「うふふ、面白い」

話を聞いていた裕子が笑っていた。


「それは面白いわ、私もアメリカや

ヨーロッパ便に長時間乗っていると

髪の毛がボサボサになってしまうのよね」


ジュディは亮の言っている

意味が分かって賛同した

「ええ、それに飛行機の中は湿度が低いので

肌もガサガサになってしまいます。

でも機内に液体物の持込が禁止されていますから、

乳液もさほど持ち込めません」


「それで・・・」

裕子がドキドキして亮に近づいた。


「まず、搭乗記念グッズとして全員に

フェイスパック、マスク、ペーパー

フレグランスその他を配ります」

亮が言うとジュディが面白い話なので

手をたたいて笑った


「そうか、フェイスパックとマスクは

DUN製薬の物を使うのね」

裕子がうれしくなって話すと亮は

「そうです、ペーパーフレグランスは

スタジオDの物です」

「すごい!」

ジュディが亮の言っている

イメージがどんどん広がっていた


「計画で行くと月6万人の乗客に

宣伝ができますし、

海外旅行をする女性なら

マテリアのお客さんになる

可能性が高いですからね」


亮が言うとジュディは協力することを決めた。

「マスコミもその話で取材に来るわね」

「はい、それが狙いです。航空会社もマテリアも」

「あはは、普通じゃそんな事思いつかない」

裕子が言うと亮は微笑んだ。


「ジュディ企画書後でお渡しします」

「ええ、待っているわ」

「はい、ではまた」

亮は立ち上がってジュディの部屋を出た。


~~~~~~~

亮は美咲に電話をかけた。

「すみません美咲さん、

金融庁に知り合いがいませんか?」

「どうしたの?」

「一つは証券会社を作るのに

早く許可をおろして

貰いたい事と一文字が香港から

日本に送金していないか確認して欲しい事です」


「うふふ、ぜんぜん違う話ね。

落合さんは国税庁だけど聞いてみるわ」

「すみません、同じ東大でも薬学部は

顔が広くないもので」


「仕方ないわよ、亮と私たちみたいに

国家公務員を目指して勉強した連中とは

付き合いが違うもの」

美咲は亮が電話の向こうで困っているのかと

できるだけ協力をしたいと思った。


「お願いします」

「それと送金の方はすぐに調べられるわ」

「よかった、一文字の香港の口座には

3億ドルしかないそうです」


「そう、NEL教団の資金が500億円

流れているならもっとあっても

おかしくないわね」

「ええ、たぶんNEL教団の資金を

香港で運用して増やしているはずです。

ワザワザ円に換える必要が無いですからね」


「そうね、そのお金がどこへ行ったかだわ、

すぐに調べるわ」


~~~~~


亮は渋谷のライブハウスBBに行くと

リハーサルをしていた。

亮は奈々子にお金を渡し

バンドに挨拶をした。

亮は楽屋でブルックの喉の具合を見た。


「日本に来てずいぶんよくなりました。

粘膜が強くなっています。

薬が効いているのかと」


「良かった。声を出す時に喉に負担を掛けない

ように、お腹から出すようにしているわ」

「良い事です、薬は続けましょう。

漢方は長持ちしないので

1ヶ月に1回送ります」


「じゃあ、1ヶ月1回会えるね」

「そそうですね。しばらくは・・・」

「ジャネット、そろそろメイクしましょう」

奈々子と一恵が楽屋に入って来た。


「はい、じゃあ僕は入場の方をやってきます」

亮は外に出てチケットのチェックをして

開場を始めた。

「殿、お手伝いします」


「美喜さん、ありがとう。ラブポーションは?」

「キャストの休みが無いのでこちらに来ました」

「お疲れ様でした。美喜さんには色々話が

あります。一緒に香港に行くかもしれません」

亮は小声で話した。


「あっ、團さん」

「おお、神村由香と三野美智子さん

 元気でした?」

亮は大人になった二人と強く握手をした。


「うん、元気、元気。助けてくれてありがとう」

「良かったね」

「ブルックってすごいんだけど」

「アメリカで12月デビューだよ。

応援してください」


「うん、でもどうして團さんがここにいるの?」

「ブルックは僕の友達なんだ」

「うそ~、團さん薬屋さんでしょう」

「本当だよ、とにかく後で感想聞かせて」

「うん」

「楽しんでね」


「やっぱり殿は若い女性が好きなんだ!」

美喜は亮の尻をけ飛ばした。


会場のライブハウス1300人で満員になった。

「ブルック、満員だよ」

亮はステージの袖で声を掛けた

「うん」


ブルックは嬉しくて亮に抱き付いた。

奈々子はデビュー前の歌手が満員になった事に

興奮していた。


「奈々子さん、SNSで拡散してくれるように

アナウンスお願いします」

「はい、それでライブが終わった後私の仲間と

一緒に食事しませんか?みんながブルックを

気に入ってくれたらこちらに来てくれます」

「了解です」


ブルックのライブは盛り上がり観客は

スマフォで映像を撮り、拡散瞬く間に

ブルックの名前は日本中に知れ渡った。


亮と美喜と玲奈は出口で観客を見送り

観客のCDの発売、グッズの販売を

玲奈と美喜がそれに対応していた。


後片付けが終わると近くの居酒屋で

ブルックを囲んで奈々子の仲間が

集まりRRレコードジャパンに参加する事に

なった。

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