第14話 さよならブルック

ブルックは居酒屋のメニューを見て興奮していた。

「亮、見た事もない食べ物だわ。しかも

このビール泡だらけ」

口に付けた泡の髭の写真を撮って

インスタに上げていた。


一恵は食べ物を一つ一つ説明して

オーダーして言った。

「團さん、まるでパラピ孔明だよ」

スタッフが亮に言った。


「あはは、ありがとう」

亮は諸葛亮または諸葛孔明

アニメのキャラクターになって

悪い気がしなかった。


「奈々子さん、ブルックは明日の10時20分発の

飛行機です荷物の片づけを手伝ってください」

「はい、私もジャネットと同じホテルを

取っていますので泊ります」


「では僕は朝6時に迎えに来ます」

「いいんですか?」

「はい」

亮達は居酒屋の前でブルックと別れた。


~~~~~~~~

「西君、今日はどうだった?」

一文字は西に聞いた

「おかげさまで、日本の分が

10億円こちらの分が3000万ドルです」


「うん、両方あわせて約40億円か」

「はい」

一文字はうなずき西に聞いた。


「どうだ、そろそろ日本に帰るか?

NEL教団から借りた500億円のうち

300億円は返済した残り200億円だ

これはゆっくり返せばいい」


「はい、中国株は今上がっています。

もう少しこちらでやらせてください」

「わかった、任せよう」

「でも会長、こないだの円安でドルを

円に換えておきましたが送金はいつに」


「もうそろそろだ、現金にしないとな」

「まさか現金で日本に持ち込むんじゃ」

「10億円を現金で運ぶ」

「でもとても危険です」


「大丈夫だ、方法がある」

「分かりました、それでマカオの残りのお金は?」

「4、5日中に日本に送金する」

「分かりました」

「もうすぐ仲間がこっちへ来る」


「九条さんの後の野口さんですか?」

「いや菅野雪と言う女性だ」

「そうですか・・・」

西は一文字が次々に女性を変えるのが不思議だった


「さて、飲茶を食べに行こう」

「分かりました」

「そう言えば昨日のロシア人はどうだった?」

「最高です」

「西君はロシア語が話せるのか?」

「ええ、中国の次はロシアですから」

「なるほど」

一文字は西の計り知れない能力に関心をしていた


「会長の彼女はどうでした?」

「うん、よかった」

一文字は昨日のメイメイとの夜を思い出した。


~~~~~~

翌朝、亮は6時にホテルに迎えに行き

ブルックを空港に送って行った。

「ブルック、これギャラです」

亮は小切手を封筒に入れて渡した。

「こんなにいいの?」


「3ステージ分とモデル代です。

スタジオD・NYが出来たら

取材時の供給を受けてください。

プライベートは別ですけど。後は

RRレコードと話を進めてください」


「了解です」

「これが昨日ライブのデータです。これは

ロイに渡してください」

「はい」

ブルックは亮の首に腕を回しキスをして

ニューヨークに帰って行った。


東京に戻った亮は一恵と玲奈に

ル・フルールで会った。

「ブルックは二人によろしくという事でした」

「なんか寂しいいですね」

1週間傍にいた一恵は気が抜けたようだった。


「さてケーキ食べましょうか?」

「相変わらず甘党ですね?」

「はい、子供の頃からケーキ屋さんになるのが

夢でしたから」

「女の子みたい・・・」

玲奈は妙に納得した自分がおかしかった。


「それで玲奈さんの実家にいつ行きましょう?」

「えっ?」

「約束ですから」

亮がさわやかに笑うと玲奈はドキドキしながら

応えた。

「亮さんは忙しいから父を東京に呼びます」


「そうですか、ありがたいです。明日

香港へ行かなければならないようですから」

「忙しいですね」

玲奈は亮が香港に行く目的を聞かなかった。


「まず、個人会社名はプラウ(Plough)で

七星、北斗七星、耕運機と言う意味です

レコード会社はRRレコードジャパン、

証券会社はプラネット証券です。

会社印を作ってください、住所は分かりますね」


「了解です。すぐに印鑑を発注します」

玲奈が社名をメモした。

「一恵さん電話を契約して、

早急にドメインを取得して

ホームページを作りましょう。

僕の戸籍抄本と印鑑証明書を

取って来てください」

亮は印鑑証明カードを渡した。


「区役所は池袋です」

「は、はい」

「では、急ぎでお願いします」

亮は事務系は玲奈にハード系は一恵に頼んだ。


亮は内村に電話をかけた

「社長、團亮です」

「おお、いいところへかけてくれた」

「はい」


「バイオ燃料の件、銀行と話をしてうちの会社が

本格的にやる方向へ決めた

今夜、ゆっくり話をしないか、かたぐるしい

会議室ではなくて

蝶でどうだ、いなほ銀行の横山頭取も来る」


「はい、それなら皆さんも呼ばれたほうが」

「分かった、じゃあ8時に蝶でな」

電話を切ると亮は奈々子に電話を掛けた。


「奈々子さん、今夜8時にお父さんに銀座の

蝶に来てもらってくれませんか。五島商事の

内村社長がいらっしゃいます」

「は、はい。説得してみます」

「お願いします」


亮は五郎とインドネシアで発見した緑藻と

バイオ燃料の技術そして

太陽光発電に自信を持っていて

自分の前に何者が来ても説得できる

事を確信していた。


~~~~~~~~

17時に香港空港に着いた有森雪こと

菅野雪を一文字が出迎えた

「お疲れ様、雪」

「うふふ、遠かったわ、ここまで来るの」

「しょうがない、警察が手配しているからな」

「あなたが作ってくれた偽造パスポートの

お陰ですんなりと出国できたわ」


「ああ、今夜はゆっくりとすると良い、

後で飲茶を食べよう」

「うふふ、うれしい大介」

雪は一文字の腕に抱きついた。


二人はタクシーに乗ると一文字は目を

伏せて雪に言った。

「だんなが殺されて気の毒だったな」

「ううん、私が好きなのはあなただけよ」

「うん」


一文字は満足そうにうなずき雪にキスをすると

雪は溜まっていたものを吐き出すように

何度も何度もキスを求めた

「ああ、早く抱かれたい」

雪は一文字の股間をこすり太股を一文字に乗せた。


「どうしたんだ、そんなに?」

「だって1年以上エッチしていないんだもの」

「ん?有森は?」

「うふふ、彼は30秒で終わる22口径よ。

あなたの機関銃が素敵」


「あはは、こっちへ着て香港の精力剤たっぷり

飲んでいるから楽しませてやるよ」


一文字は雪のほめ言葉に

天に昇る気持ちで答えた

「うふふ、楽しみだわ」

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