第12話 スポンサー

「それで、スポンサー探していますか?」

「もちろんです」

「では、うちでスポンサーに

なりたいんですけど・・・」


「本当ですか?ところでどんな?」

「スタジオDです。今度スポーツウエアを

作るので、ぜひ」

「でも。私先週の初試合予選落ちですよ」


「はい、知っています。契約期間は2年間

初年度は契約金一千万円+遠征費用を出します」

「そんなにでも、私どこまで勝ち上がれるか」

佐久間はあまりの好条件に驚いていた。


「我々が勝たせます」

亮は自信を持って答えた。

「その根拠は?」

「当社がアスレチックトレーナーをやって、

コーチはアメリカから呼びます」


「本気で言っているんですか?」

佐久間陽子は亮を疑っていた。

「本気です。今度お話をしましょう。

代理の者から連絡をさせます」

「分かりました」

亮はこれから他のスポーツ選手と

契約してウエアを売っていく計画だった。


~~~~~~~

「一恵さん、佐久間陽子さんに連絡を取って

スポンサーの話をしてください」

「佐久間さん?」

「はい、僕のスマフォのコピーした

アドレスあります。

軽井沢でゴルフをした時のキャディさんで

プロ試験に合格したので」


「新人ですよね、実績もないのにスポンサーに

なるんですか?」

「はい、美人で巨乳なので」

「驚いたわ、美人だからスポンサーになるなんて」

一恵は時々亮の行動を不思議に思っていた。


「あはは、嘘ですよ。僕がトレーナーをして

筋力を付けて必ず優勝させます。そして彼女を

外見でも一流にします」

亮は今度の事務所にパーソナルトレーニング

の部屋を作る事を考えていた。


「実験台ですか?」

「はい」

一恵は何の疑いもしないで従う事にした。


~~~~~~~

メイメイが録音したICコーダー

を受け取り、会話を聞いた

小妹は亮に電話をかけた。

「亮、一文字が女性に対して変なのは

父親の一文字大蔵の影響が大きいみたい」


「それは興味深い話です」

「ええ、それと一文字をつけている男たちは

間違いなくロシア語を話していたわ」

「それで、社員の西は?」

「西?事務所で仕事しているみたいだけど」


「彼にも張り付いた方が良い、以前彼に

あった事があるけど一文字の資金運用は一手に

彼が任されている、もし彼が裏切ったら」

亮は女性達を使い捨てにする一文字の

人望の無さが西を裏切らせる可能性を

感じていた。


「まさか・・・」

「昨日彼が連れて帰ったのはロシア人女性

じゃなかったですか?」

「ええ、その通りよ」

小妹は亮がそれを見越していたように

言ったのに驚いた。


「わかった、すぐに見張りを付けるわ」

「それで、一文字の香港のお金を

チェックできないか?」

「それは調べた、3億ドルあるわ」

「それはおかしい、NEL教団から借りた

お金が5億ドル以上あるはずだ」


「じゃあほかにも銀行口座があるのかな」

「それか日本に移動しているかもしれない」

「500億円も日本に送金したら金融庁が監視するよね」

「うん、運ぶ方法はいくらでもある。現金でも」

「知っているわ、冷凍食品に入れて送るんでしょう」


「あはは、よく知っているね」

「とにかく調べてみるわ」

「はい、お願いします」


~~~~~~~

「素敵なお店ね」

ブルックが美宝堂の店内を見渡した。

「ブルック、奈々子さん。早速衣装を見ましょう」

「はい」

亮は千沙子のところに連れて行った。


「千沙子」

ブルックが千沙子に抱き付いた。

「ブルック用意できているわよ。

今日はロックでしょう」

「はい」


千沙子はブルックに衣装を出して試着させた。

「玲奈さんと一恵さんにはスーツをお願いします」

「ほんとうですか?」

「入社祝いです」

亮が言うと千沙子がため息をついた。


「相変わらず甘いわね」

「あのう、私は?」

後から奈々子の声が聞こえた。

「分かりました、入社祝いですよね」

「ありがとうございます」

奈々子はニコニコしてスーツを選んだ。


「亮、衣装合わせ終わった」

ブルックが亮に抱き付いた。

「これどう?千沙子がくれた」

「くれた?」

亮は千沙子に聞いた?


「請求書ください」

「はい」

「くれたんじゃな無い、請求されている」

「良いでしょう。他の店で買うより良いでしょう。

だってブルックあまりいい服

着ていなかったから」


「仕方ないよ、苦労したんだから」

「そうね。頑張って欲しい」

「彼女は世界のディーバになるんです」

亮は後ろにいたブルックとグータッチした。


「上に行きましょう。ブルック」

亮はブルックを宝石売り場に連れて行った。

「ブルック、僕の姉の美佐江です」

「お姉さん?」

ブルックは美佐江を握手をした。


「衣装だけではなくアクセサリーも好きな物

選んでください、プレゼントします」

「本当!」

ブルックはダイヤのネックレスを選んでいた。


「これがいい」

「はい」

亮はブルックが選んだものを美佐江に頼んだ。

「亮、これ120万円するわよ」

「大丈夫です、それくらいすぐに取り返せます

ブルックなら」


「そうね、期待しているわ。ついでにもう

一つ買ってあげればサファイヤも」

日本語が分からないはずのブルックは

サファイヤのネックレスを持って目を輝かせていた。


~~~~~~

奈々子とブルックが渋谷に向かうと亮は

玲奈と一恵を連れて秀樹のところへ行った。

「先ほどは不動産の件、ありがとうございました」

ビルの書類を渡した。


「うん、これは買い得だ」

「それで1、2階をスポーツウエア売り場にしようと

思います」

「そうか、SPOPIAのブランドの販売契約を

取ったんだな」


「はい、銀座ならゴルフ系のファッションなら

単価が高いので売り上げが読めます」

「素晴らしい」

秀樹は満面の笑みで答えた。

それを見ている玲奈と一恵がニコニコ笑っていた。


「このビルの7階に個人会社を作ります」

「やっと居場所が出来たな、二人とも亮の事頼むぞ」

秀樹は玲奈と一恵に頭を下げた。

「それで、キャバクラの方はどうだ?」


「オープンから閉店まで行列でした」

「俺が行っても入れないか・・・」

「それでブルックのライブが渋谷でやります」

「うん、それもきっと成功するな」

「はい」

「がんばれよ」


~~~~~~~

「一恵さん事務所のレイアウトと備品の

準備をお願いします」

「かしこまりました」

「玲奈さんは行政書士さんと連絡を取って

会社設立の準備をしてください」

「かしこまりました」


~~~~~~

「今日のライブ、チケット用意しました。

時間が有ったら来てください」

亮は短いコメントを神村由香と

三野美智子に送った。

「キャー、ブルックのライブだって」

美智子と由香が手を握り合って

飛び跳ねた。


~~~~~~~

亮はジュディに連絡をして事務所へ行った

そこには裕子も居合わせ、

亮は日曜日の礼を言えず黙って会釈をした。

「忙しそうね、亮」

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