第11話 ビルを買う

日本人とアメリカ人の感覚が違っていて

アーティストとして認められれば結婚しても

多くの男性と付き合っても結婚しても

子供を作っても人気には影響しない。

逆に恋愛したり結婚したり子供を育てる事が

歌に深みが出ると言われている。


恋愛感情は3年で冷めてしまう言われ

亮はブルックがいつまでも自分を

思っていてくれるとは思わなかった。


「ねえ、寂しくなったら会いに来て」

「うん、もちろん」

「私は寂しがり屋だからまた会いに来るわ」

「はい」


~~~~~

翌朝、亮とブルックはホテルのダイニング

で朝食を取りながら曲目を選んでいた。

「おはようございます」

奈々子がやって来て挨拶をした。

「團さん早いですね」


「はい、ブルックの喉の調子と

曲目を選んでいました」

「お疲れ様です」

奈々子は亮がブルックと

一晩過ごしていたとは

思っていなかった。


「奈々子、これが曲目です。データで送りますので

歌を聞いてください」

ブルックが楽譜を奈々子に渡した。

「はい、10曲歌うんですか?」


「ええ、だいぶ喉の調子がいいので」

「良かった、この後ライブハウスに行って

バンドさんとリハーサルします」


「了解です」

「團さん、ライブの曲を録音して音楽著作権

登録の準備をします」

「分かりました、お願いします」


「ええと、ライブハウスとバンドの費用は?」

「夕方来た時に支払ってください」

「これがエイベックス最後の仕事にしますけど

良いですよね」


「もちろんです。給料の話は後程」

亮は微笑んで奈々子と握手をした。

「渋谷へ行く前に時間ありますか?」

「はい打ち合わせが12時ですから」

奈々子は時計を見た。

「では、一緒に行きましょう」


~~~~~~~

亮はブルックと奈々子を連れて

玲奈と一恵と久保田郁美と新橋で

待ち合わせをした。

「お待たせしました」

「いいえ」


「物件は見つかりましたか?」

亮は久保田に期待して聞いた。

「はい、銀座7丁目の8階建てのビル60億円、

フランスのブランドが撤退してすぐに現金に

替えたいそうなので、安い出物です。

恐らくどこかの不動産会社が買って何十億か

上乗せして販売するでしょう」


六人でビルを見ると亮は一目で気に入った。

「玲奈さんどうですか?」

「良いと思います」

「僕も気に入りました。買いましょう」

亮が簡単に答えると郁美が

心配そうな顔をして聞いた。


「60億円ですが本当に大丈夫ですか?」

「ええ、手付けを入れましょうか?」

「手付けと言っても金額が金額なので」

「分かりました。ちょっと待ってください」


亮は秀樹に連絡をして銀座7丁目の

物件の話をした。

「なるほど、そこはお買い得だ。ただ現金で

払わない方がいいな黒字になる会社なら

赤字にしていた方が良いからな」


「お金銀行が貸してくれますか?」

「いくら持っている?」

「ビルが買えるくらいですけど」

「初めての取引だから融資に時間がかかるだろう」


「でも支払いが・・・」

「わかった、俺が保証する形で融資させよう、

いなほ銀行でいいんだな」

「はい、お願いします」


亮は友子に電話をかけた。

「よかった亮さん、あなたに

電話をかけようと思っていたの」

「はい」


「今朝の円の暴落で指示通り円を買いました

株価も暴落しています。次の指示をください」

「円が回復するのに少し時間がかかります」

「了解しました」

「会社を作るために。ビルの売り物件を

買おうと思っているんですけど」

「おいくらですか?」


「60億円です」

「支払い方法は?」

友子は驚きもせず支払い方法を聞いた。

「はい、父は銀行から融資を

受けた方が言っていたので

銀行から融資を受けようと思います」


「私も賛成です。でも大丈夫ですか?」

「預金が保障になりますから、

会長には私が連絡して

話をします」

「はい、お願いします」

亮は友子に頼ってしまった。


「亮さん、個人でビルを買うんですか?」

奈々子が聞くと亮が答えた。

「ええ急ぐので」

「そうですね、良い物件です」


「ええ、地下1階にライブスタジオ、

1、2階にスポピア、

スタジオDアメリカ、ブリリアンスショー

スポーツの商品を販売、3、4階にRRレコード、

5階にD&R 6階に証券会社

8階にレストラン・ナチュラル・グリルです」

「本当ですか」

奈々子は自分の働き場所を聞いて

喜んでいた。


ブルックは亮の腕を持って自分の楽曲を

売ってくれる会社を見て感動し

たった1ヶ月で自分の人生を変えてくれた

亮にどんなことをしても恩を返す

つもりだった。


「7階は?」

玲奈はワクワクして亮に聞いた。

「我々の会社です。玲奈さんや一恵さんの

仕事をする場所が必要ですからね」


「ありがとうございます」

玲奈と一恵はこれから本格的に亮と一緒に

仕事が出来る事が嬉しかった。


「團さん、小村さんから連絡があって

話が付きました。

早急に売買契約書を作ります」

久保田郁美は亮に言った。

「はい、お願いします」

「團さんはスタッフに恵まれ言いますね

「はい」


劉文明に電話をかけた

「文明、物件が見つかりました」

「うんそうかそれでいくらだ?」

「銀座7丁目の8階建てビルで60億円です」


「OK、どうすればいい?」

「会社が出来るまでいなほ銀行の個人口座へ

お願いします」


「わかった。

これだけビジネスを展開してしまったら

もう一人では仕事ができないだろう。

早く会社を作れ」


「今それで動いています」

「メールで来た口座に

100億円すぐに振り込む」

「そ、そんなに」

「ああ、俺を亮の会社の

取締役にしてくれればいい」


「でも・・・・」

「何を言っているんだ、お前がいなかったら

俺は死んでいた恩返しだ」

「はい」

「それで小妹は?」


「一文字を追って香港に行っています」

「そうか俺もあさって香港に戻る

予定だ。亮香港で会おう」

「は、はい」

玲奈が亮の顔を覗き込み、肩を叩いた


~~~~~~~

「ジャネット、奈々子さん美宝堂へ行きます」

亮が二人を誘うと

「私たちは?」

怜子と一恵が聞いた。

「はい、一緒に行きましょう」

~~~~~~

亮は歩きながら電話を掛けた。

「佐久間さんですか?團と申します」

軽井沢のゴルフコンペの時キャディ

だった。佐久間に電話を掛けた。


「あっ、あの時の・・・」

「覚えていますか?あの時は松平を

名乗っていましたけど」


「もちろんです」

「プロテスト合格おめでとうございます。

つかぬ事お聞きしますがスポンサーは?」

「まだ勝っていないのでいません」

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