第10話 一文字の行動

「わかった」

一文字はマネージャーに西の分も払って店を出た

「それでは会長おやすみなさい」

西は高台の月契約のハーバープラザ

ホテルロシア人の女性と帰っていった。


一文字はメイメイと一緒のハーバーグランド

ホテルのバーにメイメイと入った

「一文字さん、みんなが見ている。

私普通の女じゃないから」

「良いんだよ、今夜は君は俺の女だ」


「ありがとう、優しいね」

「いや、メイメイが昔好きだった女に

似ていたから恋人気分だ」

「彼女?」

「イヤ、親父の秘書だった」


~~~~~~

10数年前

「大介、どうだ?ハーバード大学の

大学院に入れそうか」

一文字大介は一文字太蔵に聞かれた。

「すみませんお父さん。自信が無いんですが」


「しょうがないなあ、それじゃ

次期理事長のはくが付かない」

「そう言われても英語が得意じゃないので」

「困った、そうだ井上君」


大蔵が呼んで理事長室に入って来たのは

黒いタイトスーツに白いブラウスの

長い黒髪のだった

「井上君、英語得意だったね」

「はい」

「大介に英語を徹底的に教えてくれないか。

ボーナスをはずむよ」


「分りました」

それから半年間、真帆は一文字大介に

毎晩食事をしながら英語を教え、

関係を持った後は

ベッドの中でも英語で話すようになっていった。


「馬鹿もの!」

ホテルの部屋で黒い下着にガーターベルト姿の

真帆を大蔵が殴っていた


「何のためにお前を大介に抱かせたと思うんだ」

「食事中もベッドの中でも

一所懸命教えました、でも・・・」

「大介が馬鹿だと言うのか?」

真帆は殴られた頬を手で抑えていると

「そう言いたいだろう」

大蔵は床に倒れている真帆を蹴り上げた


「どうしたら良いんだ」

「大学院は日本の大学の成績重視ですから、

面接でいくら英語が出来ても」

「くそ!あの馬鹿息子、女遊びばかりしよって

しょうがない入れる大学でいいから

MBAを取らせろ、大学を探せ、

どんなに田舎でもいい」


「はい」

大介はフィアデルフィアにあるNEL大学に入った


~~~~~~~

「その女性はニューヨークの男と結婚した」

大介は顔を曇らせていた

「そう残念ね」

メイメイは大介を慰めるように言うと


「父親に別れさせられたんだ」

「そう、日本も結婚の相手にうるさいの?」

「うちは財産の関係でうるさい方だ」

「香港はとても結婚にうるさいの、

娘を大切に育てて金持ちに売るのよ」


「なるほど」

「金持ちなればどんな若い女性でも、

どんなにいい女でも結婚できるわ」

「やっぱり金か。あはは」

一文字は大声で笑った


~~~~~~

キャバクラを閉めた12時過ぎ、

亮はブルックの部屋に行った。

「亮待っていたわよ」

ブルックが亮に抱きついた。


「奈々子さんと一恵さんと怜奈さんは?」

「さっきまで一緒に話をして

いたんだけど帰ったわ」

「今日までお疲れ様でした。明日で最後ですね」

「ううん、楽しかったわ、日本の1週間」

「喉の治療しましょう」


「うん、ありがとう」

亮はブルックの喉の凝りをチェックした

「大丈夫ですね、これなら

レコーディングに耐えられます」


「ええ、今日はとても楽に声が出たわ。ありがとう亮」

「ブルック、グラミー賞目指してがんばってください」

「ええ」


やっと二人きりになって

亮に抱かれたブルックは涙が止まらなかった。

その快感は海の底深くまで沈んでいきそうで

海底に着く寸前に体が浮んで揺れているような

長い快感がブルックの体中を埋め尽くしていた。


ベッドで亮の腕の中でブルックは

「亮、今度はいつニューヨークに来るの?」

「アリゾナに用が有るんで今月中に行きます」

「本当?うれしい」

「レコーディングは何処で?」

「ニューヨークよ」

「じゃあ喉の様子を見に行きます」

「ありがとう」


~~~~~~

「春麗、一文字は女をホテルの

部屋に連れ込んだぞ」

健徳から小妹に電話がかかってきた

「本当!」

「うん、ICレコーダーを持たせて

あるから明日の朝回収する」


「ありがとう、さすがお父さん。ありがとう」

「うん」

小妹から趙剛に電話がかかってきた。


「一文字が女とバーからホテルの部屋に入った」

「うん、お父さんから電話がかかってきた、

二人の会話を録音しているそうよ」

「そうか、それがちょっとおかしな事がある」

「何?」


「一文字をつけている男が二人いる」

「えっ?それっておじいちゃんの知り合い?」

「いや、白人だ、今何者か調べている」

「一文字を狙っているなら守って」

「もちろんだ」


「おねがい、私も明日の朝ICコーダーを

手に入れたら合流するわ」

小妹は電話を切ると自宅のトレーニングルームで

思い切りサンドバックを蹴った。


~~~~~~~

「じゃあ、一文字さんお父さんを憎んでいた?」

メイメイが大介に聞いた。

「ああ、殺したいくらい」

「でも殺していないんでしょう」

「勝手に死んだよ、腹の膨らんだふぐを

食って太った腹を震わせてな」


「お気の毒に」

「そうでもないさ、お陰で自由

になれて俺の天下になった」

一文字は日本を遠く離れたちでお気に入りの

メイメイを前に雄弁になっていた。

「そろそろどう?」

「ああ、そうだな」

メイメイは一文字の前で服を脱いだ。


~~~~~~~~

午前3時、亮の所へ小妹から電話があった

「亮、遅くにごめんね。大変な事になった」

「どうした?」

「一文字をつけている奴らがいるわ」

「どんな奴だ?」


「ロシア人よ」

「まさか命を狙って?」

「かも知れない」

「小妹、絶対守ってくれ」

「了解」


~~~~~~~

亮が電話を切るとブルックが目を覚ましていた。

「あいつ、時差があるのを知ら居ない」

「亮、お話ししましょう」

「何の?」

「あなたが生まれて今日までそして

未来・・・の話」

「じゃあ、ブルックの話も聞かなくちゃ」


二人は記憶のある限り幼い頃、家族の話、

初めての恋日本とアメリカの環境は違っても

お互い生きていた事に感謝しあった。


「私の初恋は6歳の時父のチームの

クォーターバックだったわ。亮は?」

「聞かないでください」

亮にとって初恋の感覚が誰だったのか

覚えが無かった。


「完璧な亮にも欠点が有ったんだ」

「当たり前ですよ、僕だって人間なんだから」

「うふふ、良かった。ますます好きになっちゃった

ずっと一緒に居たい」


亮はブルックと一緒に住んでコンサートをして

世界中を回る事が頭に浮かんだ。

「良いですね。楽しそうです・・・

でも難しいいです。僕にはまだやる事が

あります」


「そうか・・・。じゃあ赤ちゃんが欲しい」

「これからディーバになるのに?」

「じゃあ、その後だね。亮の子供を産んだら

パパ喜ぶと思う」

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