第9話 一文字の過去

「会長、今から女性が何人かずつ入って来ますから

好みの女性を選んでください」

西は一文字に説明をした

「言葉は?」


「日本語か英語を話せる女性を頼んでいます」

「うん」

するとホステスが十人ずつ部屋に入って来た


~~~~~~

「春麗、一文字が『香港夜会』に入ったぞ」

趙健徳が小妹に電話をかけてきた。

「分った、ありがとう」

「ホテルへ行く女には指示をしておく」

「お願いね、お父さん」


「任せておけ」

健徳は小妹に頼りにされて嬉しかった

「おじいちゃん、一文字がお父さんの

お店に入ったそうよ」

「亮の言った通りだな」

「うん」


「健徳もこっちの商売で

すっかり成功してしまったな」

「うん、宝石の方の仕事では

営業に日本に行くって行っていた」

「ほう、あいつが営業か。よほど

亮の事が気に入ったようだな」


「うん、そう見たい」

「亮が春麗を嫁にもらって

くれたらわしも嬉しいよ」

「あはは」

小妹は照れ笑いをしながら、

亮とずっと一緒にいたいと思っていた


「今日の一文字の行動だが、

奴の香港の会社に入ってその後、銀行に行った

お陰で奴の銀行口座の預金残高が分った」

「いくらあるの?」

「3億ドルだ」

「そんなに?」


「ああ、こっちの会社にいる西と言う男が

トレーダーなんだが香港に来て

順調にお金を増やしている」

趙剛は口座の履歴を小妹に渡した

「やった、亮が喜ぶわ」

小妹がそれを持って飛び上がると趙剛は微笑んだ


~~~~~~~

ブルックは元気にラブポーションの

ステージに上がっていった。

ブルックのライブはキャバクラの客と

ホステスが立ち上がって一緒に

踊るほどの盛り上がりを見せた。


「あはは、凄い!」

奈々子は声を出しながら客席の

端で踊りながら聞いていた

ライブが終わるとブルックは亮に飛びつき

「ありがとう、亮」

亮は奈々子の方を見て言った。


「明日火曜日は渋谷のライブハウスですね」

「はい、ネットのチケット販売、満席です」

「ブルックが喜びますよ。バックバンドの手配は」

「それも大丈夫です」

亮は奈々子に任せて本当に

良かったと思っていた。


「奈々子さん、ブルックが今度

日本に来た時は何処でやりましょう」

「うーん、代々木体育館かしらアリーナも良いわね

大阪城でもやりたいわ、福岡でも」

「すべてCDのセールスしだいですね、

奈々子さんよろしくお願いします」


「はい、任せてください。ネットでも

バンバンやっちゃいます」

「次は白尾尚子さんですよ」

「えっ!本当に?」


アメリカでそれなりの人気が出てきた尚子が

どうして日本に戻ってくるのが不思議だった。

「それ後で詳しく教えてください」

奈々子の顔がキラキラと輝きそれを見た

ブルックは益々奈々子に信頼感を寄せていた

そこに、ロイから亮の元に電話がかかってきた。


「亮、JOLの件だがやる事に決まったぞ、

資金の準備をする」

「本当ですか?」

「ああ、大変だが早急動いてくれ」

「はい、それとブルックの11月28日の

デビューが決まったそうですね」


「うん、プロモーションビデオの制作日程が決まった」

「はい、今RRレコードジャパンのスタッフを集めています」

「早いなあ、さすが亮だ。頼むぞ」

「はい」


キャバクララブポーションは客が途切れることなく

営業を終えると亮は感謝の意味を含めて

ホステスを集めて言った


「みなさん、今日はお疲れ様でした。

さっそくですがこの中に

歌手になりたい人いますか?」

ホステス達がザワザワすると8人の

女性が周りを見ながら手を上げた

亮はそれを見ながら


「後ほど僕の前で唄ってください」

「えっ?」

手を上げたホステス達が声を上げた

「本当に聴いてくれるんですか?」

ホステスの清水紗江が亮に聞いた


「はい聞かせていただきます」

「私さっきのブルックみたいに唄いたい」

「清水さんどれくらいのキャリアなんですか?」

「私歌手になりたくて、香川から上京して

歌のレッスンを受けているんです」


「分りました、他の人もそうですか?」

「私は劇団に入っています」

手を上げた一人が言った

「分りました、後で詳しく聞かせてください」

八人は手を下ろしてうなずくと


「次にキャビンアテンダントになりたい方いますか?」

亮がそう言うとほとんどの女性達が手を上げた

「はーい」

「ええ、チャーター便ですが

みなさんにお手伝いしてもらいます」

「すみません、どれくらい

勉強しなければならないんですか?」

一人の女性が聞いた


「英語は出来なくて良いので・・・

理沙さんどうでしょう?」

亮が理沙に聞くと優しく微笑んだ

「語学研修がいらないなら

そんなに時間がかかりませんよ」

「では、希望者は研修を受けてください」

亮が言うと理沙が聞いた


「本当ですか、亮さん」

「はい、芸能人や政治家が元キャバ嬢を

やっていたとマスコミに叩かれますが

決して悪い事をしている訳ではありません。

男性に喜びを与えているれっきとした

職業なんです」

女性達がうなずくと


「人気歌手や女優が元キャバ嬢だって

良いじゃないですか、キャバ嬢がCA

をやったって良いじゃないです。

レディガガだってストリッパーをやっていたし

マドンナはダンキンドーナツ

今はセレブと言われている人たちは

人に言えない仕事をしていました。

それは皆さんが目標を持って生きていたからです

真剣に勉強して仕事をすれば必ずうまくいきます」


亮の言葉に感動した女性たちが拍手をした

「すみません、社長さんとお酒を

飲みたいんですけど」

「僕とですか?」

「はーい」

「では、閉店後どこかで飲みましょう。

参加者を募ってください」


「はーい」

「亮さん、そんな事言ったら後が大変ですよ」

「そうですか?みんなと飲めて楽しいじゃないですか。

理沙さん人材派遣会社からCAの

トレーナーを探してください」

「分りました」

ホステスとスタッフは期待で

胸を膨らまして帰って行った


「亮さん、みんなの希望受けていいんですか?」

「歌の上手い娘がいたらステージで唄ってもらいます」

「はい」

「それにCAの研修はホステスとしての

接客に役立つと思います」


「ええ、それは良いと思います。

でもそんなにいい話が有っていいのかしら?」

「まじめにうちで働く人たちのモチベーションを

上げるためにですよ」

「はい」

亮が爽やかに笑うと理沙は

亮の奥の深さに鳥肌が立った。

~~~~~~~~


一文字は白いミニスカートはいた細身の

中国人女性を隣に座らせ西は

グラマーなロシア人を

脇に座らせていてカラオケを唄っていた

「一文字さん歌が上手いですね」


「メイメイ、君は日本語が上手いよ、ははは」

「一文字さんは何の仕事をしているんですか?」

「日本で学校を経営している」

「香港には何で来たの?」

「こっちの会社の様子を見に」


「わお、香港にも会社があるんだ、凄い!」

メイメイは一文字の腕に掴まって甘えた

「一文字さん今夜一緒にいたい」

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