第8話 冷凍食品

沙織は亮があまり大きな話をするので

ホラ吹きか詐欺師に思えてしまった。

~~~~~~~

五島商事の社長室で内村が亮の話を聞いた

「そうか、そんな事が有ったのか」

「はい、模倣犯が現れるといけないので

事件は発表されませんでしたが」


「それより、その水とバイオ燃料の件面白いな」

「はい、雨の少なく気温が高いアリゾナなら

緑藻の成長が早く、日本で作る倍の

量が出来るんです。もちろん日本でも

作ります」


「なるほど、それを何処へ売るつもりだ?」

「石油販売会社と航空会社です」

「なんだって!?」

内村は大きな声を上げた。


「どうしたんですか?」

「うちの会社は、JOLの株価暴落で300億円

、航空燃料の先物買いのキャンセルで

60億円の損害を被ったんだ」

「それは大変でした」

「それを今更・・・」


「社長、JOLを再建しましょう」

「しかし、どうやって?」

亮はロイに話した再建案アイディアを話した。

「移住とチャーター便か」

「はい、売上げが上がって燃料が

安ければ利益が上がります」


「あはは、面白い。相変わらずお前は面白い、

すぐに計画書を書いてくれ航空会社の

件も話しに乗るぞ」

「はい、ありがとうございます。

それで倉沢社長を納得させるために

早急に会社を設立しなくてはいけません」


「うん分った」

内村は嬉しそうに笑った

「社長1つお願いが」

「なんだ?」

「理恵さんのお母さんをナチュラル・グリルの

冷凍食品新会社の取締役に入って

もらってください」


「ん?久美子にか」

「はい、理恵さんのために働いてもらいたいんです

なんでも、以前食品関係の

仕事をしていらっしゃったとか」

「あ、ありがとう亮君は私の

家族の事まで考えていたのか」

内村は亮の手を強く握ると頭を下げた。


「いいえ」

亮は理恵の父親にした事をずっと心に重く感じていた。

「亮、会社設立メンバーの私のほうから声をかけてみる、

大阪の連中にも声をかけたらどうだ。

ママに紹介してもらったんだろう」


「は、はい」

亮が浮かない顔をしていると内村が

亮の顔を見た。

「どうした?」

「僕の立場はどうなるんでしょう?」


「まあ、社長はともかくアメリカとの関係があるから

取締役についてもらわないとな」

「そうですよね」

「なんだ、嫌か?」

「僕はまだ28歳です、取締役なんて」

「じゃあ、株主になればいいじゃないか」


「分りました、そうします」

亮は急に元気になった。

「今日はどうするんだ?」

内村は亮と久々に飲もうと思って聞いた

「今日、うちの店がオープンなんです」


「ああ、キャバクラか」

「はい」

「ハーバード大学MBAを卒業してキャバクラの

経営かまったくもったいない話だ。そのキャリアと

スキルだったら、コンサルタント会社

喉から手が出るほどの人材だ。

もちろんうちの会社なら部長クラスだ」


亮は内村のそんな言葉に

動ぜず内村に営業をした。

「今度遊びに来てください」

「行くわけないだろう、私は銀座一本だ」

「そうですよね。では失礼します」

亮が頭を下げて社長室を出ると

内村は総務部長に内線電話をした。


「今後接待でキャバクラを使うとき、

歌舞伎町のラブポーションを使うように指示しなさい」

「急に言われましても・・・」

「うちの収益に関わる話だ

他のキャバクラの領収書は受け取らなければいい」


「分りました」

総務部長は首をかしげながらつぶやいた

「会社の収益?」

その日の亮はDUN製薬、ADD印刷、石橋工業、

上原建設は新会社の株主になる

約束を取り付け歌舞伎町に向った。

そしてそれぞれの会社が接待に使う

キャバクラはラブポーションになった事を

亮は知る由も無かった。


「さて、やるぞ!」

亮は珍しく自分に気合を入れてラブポーションに

入ると、そこはすべて準備が出来ていた。

「亮さん、すべて準備完了です」

「ありがとう」

亮は天知理沙の手を握って感動で目を潤ませていた


「どうしたんですか?亮さん」

「いや、もうちょっとドタバタしていると思いました」

「亮さんが私を信じて任せてくれたお陰です、

スタッフを褒めてください」

「分っています」

亮は心からスタッフに感謝した。


「殿」

美喜が亮の腕を掴んだ。

「美喜さんも手伝ってくれたんですね。

ありがとうございます」

「今日は私もお店にでます」

「おお」


6時にマテリアでヘアメイクを終えた

ホステスが出勤して来て30分前には

ステージの前に並んだ。

「みなさん・・・」

亮はホステスたちの真剣な顔を見て

何も言えなくなってしまった


「最高の店にしましょう。がんばってください」

「おー」

女性たちは片手を上げて気勢を上げた。

そして、ホステスたちが何も言わずに

店の外へ出ようとしていると理沙を亮が

呼び止めた。


「理沙さんどうしたんですか彼女達?」

「呼び込みよ、何も指示していないのに」

そこにドアを開けた女性が悲鳴を上げた。

「きゃー」 

亮は駆け足で外に出ると店の外に

客の男性が列を作って立っていた


「亮さん、お客様が並んでいます。後はお任せください」

理沙が亮の前に立って制した。

「でも、理沙さん何か手伝います」


「将は指差すだけ、あなたは居るだけで良いんです」

理沙はやさしく微笑み次々に客を店内

に入れホステスを付けていった。

「お願いします」

亮は忙しそうに仕事をしている理沙に

任せブルックのいる楽屋に入って行った。


~~~~~~~ 

「ああ、美味かった」

チムサーチョイの中華料理店を出た

一文字が満足そうな顔をして西の顔を見た

「そうですか。それは良かった」

西は一文字の機嫌が良くてホッとしていた

「あの川海老の塩茹、美味かったなあ」


「白灼生蝦、バッチュウハイですね」

「うん、いろいろ料理が有ったが

シンプルな料理が美味い」

西は一文字から意外な言葉を聞いて驚いた

「会長。油っぽい中華料理は口に合いませんか?」


「いや、そうでもないがうちのお手伝いが

作ってくれた料理に似ている」

「お手伝いさんですか」

「うん、料理の上手い人だった」

一文字はお手伝いの恵美子の料理

をする姿を思い出した

次のシーンは恵美子が一文字大蔵に

抱かれている場面そして、

恵美子が全裸で股を開いている姿が頭に浮んだ。


「くそ!」

西は一文字のその声を聞かなかった

ふりをして別な方向に話を持って行った

「会長、この後はナイトクラブいかがですか?」

「おお、あの有名な香港のナイトクラブか」


「はい、300人のホステスがいます。

もちろんお金を出せば連れて帰れます」

西が言うと一文字がニヤニヤ笑って

美人の中国人を想像していた


「そうか行くか」

一文字と西の二人は香港最大のナイトクラブ

『香港夜会』へ入って行った

「春麗さま、今一文字が『香港夜会』に入りました」

「やった、了解」

電話を受けた小妹は指を鳴らした

~~~~~~~

『香港夜会』に入った一文字と西は

大きなステージが見えるガラス張りの個室に通された。

そこに、マネージャーの黒いボディコンの

美人が入って来て挨拶をした

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