第6話 罪の理由

ジェニファーが見せたスマフォの写真を

見たトムは生のマグロを見て目をそむけた。

「止めてくれ気持ち悪い」

「あはは」

ジェニファーが笑うとブラウンが納得した。


「君が豊洲市場に行っていたとはなあ」

「あら、ガイドブックに乗っている有名な場所なのよ

マグロのセリ」

「わかったよ。私は生の魚が苦手だ。

朝ごはん食べよう、

カリカリに焼いたベーコンエッグがいい」


「助かったわ亮、私が寝ているうち

に行ってきたのね」

ジェニファーは心から感謝をした。


~~~~~~~

亮が目白の家に着いてチャイムを鳴らした

「おはようございます」

母親の久美が笑顔で玄関のドアを開けた

「お母さん朝ごはんは?」

「まだよ」

「鯵の干物買って来ました」


亮が発砲スチロールの蓋を開けてマグロの切り身と

干物とだし巻き卵と取り出し料理を始めた。


「どうしたの?亮」

「ジェニファーと豊洲市場へ行ったので

買ってきました。

マグロは夜に食べてください」

「えっ、あのジェニファーちゃん」

「はい、FBIの仕事で日本に来ていたので」


「ジェニファーちゃんFBIに勤めているの?

会いたいわ、家に連れて来て!」

「残念ながら今日帰るんです。

今度日本に来た時、連れてきます」

「本当、お願いね」

久美は亮の手を握った。


「亮さん、好きな人が出来たら日本人じゃ

無くてもいいのよ」

「はあ」

久美と美佐江と千沙子を交えた團家の

朝食が始まると亮は秀樹の顔を見た。


「お父さん、相談が」

「なんだ?」

「以前、アリゾナ砂漠のサボテンの

話をしましたよね」

「うん」

「その土地から水が出たんです」

「ほう、砂漠に水かすごいじゃないか」


「はい、その浄水に水のクラサワの技術を

お願いしようと倉沢社長に会ったんですが。

僕を信用してくれないんです」

「なるほど・・・それで?」

「もし、アリゾナの仕事をやるなら日本法人を

間に入れてくれと言うことなんです」


「うんうん、もっともだ」

「はい、それで新会社を作りたいのですが」

「なるほど、株主と出資者を集めたいと言うわけだな」

「はい」

「それで、めぼしい株主はいるのか?」


「DUN製薬、ADD印刷、ディーワン、五島商事、

石橋工業、上原建設はいかがでしょうか?」

「あはは、それなら亮。お前一人で話が出来るだろう」

「ええ分っていますが、

信用してもらえなかった自分に自信が」


「それはお前の熱意が足らなかったんだ、

人の力で何かをしようとしているように見られた」

「は、はい」

亮は倉沢の出会いのプロセスが

悪かった事を反省してた。


「亮、水だけのビジネスか?」

「いいえ、まずその水を使ったボトリングビジネス

と緑藻でバイオ燃料をアリゾナで作ります」


「おお、やっとスタートか」

「はい、でもプラントを作るのには

多額の費用が掛かります」

「それはアメリカの方で出すんだろう」


「バイオ燃料を日本でも作って販売する

計画ですから投資がいると思います」

「日本でバイオ燃料!

なるほど、それなら必要だな」

秀樹は販売組織がいる必要を痛感した。


「日本は日照時間の関係で長野、岡山、山梨

にしたいと思います。そしてナフサ並みの

バイオ燃料を作りたいと思います」

亮と秀樹の会話を聞いた美佐江と千沙子と久美は

亮がたくましくなった事を実感した。


~~~~~~~~

亮達が朝食事を終える頃、美咲から電話があった

「亮、すぐに会えるかしら」

「どうしました?」

「相談が山のようにあるの」

「分りました、すぐに行きます」

亮が電話を切ると秀樹が聞いた


「亮どうした?」

「原美咲さんから呼び出しです」

「おいおい、今度は警察か」

亮が警察に係っている事を知らない

家族は何があったか心配だった。


「大丈夫です、昨日の事件の

事情を聞きたいそうです」

「そうか、じゃあがんばれよ。

夜に歌舞伎町のキャバクラに顔を出すからな」

「はい、お待ちしています。お客様」


亮は警察庁に入って美咲の

昨夜の報告をした。

「大阪の事件と東京の事件、

計画を立てた人間が違うのかもしれません」


「ええ、私もそう思う。大阪は計画的だけど、

東京はとても強引で稚拙だった」

「しかも、エリックたちは失敗したにも関わらず

さっさと逃げてしまいました」


「そうね」

「大阪の事件を計画した人間がもう一度こんな事を

考えたら防ぎようが無いかもしれません」

「ええ、それを警備局長の父が心配していて

警戒を強化しているわ」


「これで一安心です」

「亮、もしあなただったらどんな事をする?」

「そうですね。東京タワーを爆破するなら

スカイツリーを爆破します」

「まあ、当然よね」


「東京タワーはスカイツリーに何かあった時

スカイツリーの予備アンテナとして

使われているだけですから」


美咲は東京タワーのケーブルから

高圧電流を逆流させてテレビ局を

壊す計画は知らなかった。


「そうか・・・他には?」

亮の頭の中には恐ろしい事が浮かんでいた。

「僕だったらネットテロをやりますね」

「なるほど・・・」


「スマートフォン用のウイルスを

バラまいたら地球上がパニックを

起こします」

「でも、各通信キャリアがウイルスから

護っているんでしょう」


「それは神話ですよ。もしもスマフォ用の

強力なウイルスを作る者が現れたら

それは、大変な事に。特にTIKT○Kや〇INEに

ウイルスを忍び込ませたら日本のネットは

崩壊します」


「その先の話は聞きたくない・・・」

美咲が首を振った。


美咲は亮の零細な推理に恐怖を感じていた。

「それから野党の幹部を何人か殺害します」

「えっ?野党の?」


「ええ、野党の幹部が死ねば野党の勢力は落ち

次の総選挙が与党独断場、それを悲観した

若者が選挙行かず得票率が下がる。

すると日本は国際的に評価が下がり

円安、株価下落に繋がります」


「なるほど・・・そんな事考えもしなかった

野党なら警備も薄いわ」

「今回、奴らが狙ったところが成功していれば

日本は大打撃を受ける所でした」

「ええ、あなたが居なかったらそうなっていたわ。亮

誰もお礼が言えないので私が代わりに礼を言うわ」


「とりあえず、一文字の動きを徹底的に調べ上げて

ください。おそらく香港ですから油断を

すると思います」

「ええ。今亮が言った事父に伝えておくわ。

今回かかったあなたの経費も精算しなきゃ」

美咲は亮の経費を払わないで放って置いたら

亮はこんなに危ない仕事を辞めてしまうような

気がしてならなかった。


「はい、医療費もお願いします。それから

三沢千賀子さんと那智佳子さんの自殺の件は?」

「白石さんの調べでは那智さんの毒物の入手経路

は自殺という事で捜査をしなかった。

三沢さんは熱海には旅行に行ったみたいで

当時の服装がショートパンツでカジュアルだったわ」


「熱海は一人で旅行へ行くところじゃないですよね」

「ええ、今ホテルの宿泊客と予約を調べているわ。

知っての通り偽名が多いのよね」

「わかりました、二人の資料を僕にもください」

美咲は驚いた顔をして無言で亮に資料を渡した

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