第2話 ブルックのライブ

「今度私が作った曲、今度のアルバムに入れるわ」

「ええ、楽しみです」

「でも、ここのステージ素敵ね」

「ええ、ここで毎日ライブをやる予定です」

「素敵、でもキャバクラってどういうお店?」


「日本の男性は女性と話すきっかけがない、

だから女性とお話をするお店です」

「へえ、日本の男性かわいそうね」

「そうですね、かわいそうかもしれない」

亮は自分が学生時代

、内気で女性と知り合う事や話すことが

少なかった事を思い出した。


そこに奈々子が来た。

「亮さん、火曜日の渋谷のライブハウスを

抑えましたよ」

奈々子が微笑んでいた。


「本当ですか!ありがとうございます・・・」

「玲奈さんがライブハウスを取れなくて

困っていたのでアイベックスの力で」

「ありがとうございます」


「時間が無いのでチケットはネット予約で

当日販売にしました」

「さすがです」

亮は業界のプロに感謝した。


「奈々子さん、昨日はありがとうございます。

お父さんの事」

「ううん、父が期待していたわよ。アリゾナの件」


「本当ですか?僕を疑っていたんじゃないですか?」

「うふふ、実際にみんなに会わせれば済む事よ」

奈々子は新会社の設立メンバーが栄三郎に

会えば仕事がスムーズに進む事がわかっていた。


「そうですね」

亮が一刻も早く話を進めなくては

ならなくなっていた。

ブルックと倉沢奈々子はハグをして挨拶をし、

二人はとても気が合いステージの話を

順調進めていると

「亮さん」


マネージャーの天知理沙が女性を連れて来た。

「はい」

亮が返事をすると女性が目の前に立っていた。

「私のアシスタントをしてくれる棚谷綾子

さんです」


「棚谷ですよろしくお願いします」

綾子が亮に丁寧に挨拶をした。

「綾子さん天地さんを助けてがんばってください」

「はい」

綾子は元気に返事をすると理沙が報告をした。


「明日のオープンのすべての準備が出来ました」

「理沙さんあまり手伝えなくて申し訳ありません」

「いいえ、大丈夫です」


理沙は亮にお酒の在庫、料理の食材

、明日からのホステスの出勤簿、

備品まですべてチェックしてそれを見た

亮は有能な理沙に感心をしていた


「理沙さんホステスの皆さんが使う

オーデコロンが出来上がってきました」

「えっ?みんな同じ香なんですか?」

亮はブルックと理沙と綾子と奈々子を呼んで

香を嗅がせた。


「いいえ、違います。静、懐、信、誘の

4種類に分けてあります。

静は静かで落ち着いた香り

そこかで嗅いだ事があるような懐かしい香り

信は心が落ち着いて相手に安心感を持たせる香り

誘は人を誘惑する時の香りにしてみました。


更衣室に置いてそれぞれ自分の

好みの物を使うように言ってください」

「はい、分りました、失礼ですが

効果はあるんですか?」


理沙は不安そうに亮に聞いた。

亮は香水の中に媚薬を含ませてあり

絶対効果あるのを知っていた。


「あはは、1週間内のリピーター率が

50%以上あったら、効果ありと考えましょう」

真剣な顔で理沙を見つめる亮の魅力的な

目で理沙の心臓の鼓動が早くなった。


「私、動の香水が欲しんですけど」

奈々子が亮に頼んだ。

「動なんてありませんよ」

「知ってる、作って欲しいの。

体を動かしたくなるような香り」


「分かりました、デザインしています。

目的は?」

「ライブ行った時、嗅いで脳に

ズンと来たら良いでしょう」

「なるほど・・・アーティストが好きな」


「違いますよ。違法じゃない奴」

「はい、そんな物を作ったらいいなあ

と思って・・・考えます」

亮はブルックに小瓶を渡した。

「ブルックにはオリジナルの香水です」

ブルックは顔を瓶に近づけそれを嗅いだ。


「ああ、いい香り」

「ファーストノートはブルックの好きな

日本のイメージでエンドノートには

甘い花の香りです。世界に一つの

香水です。希望が有れば販売もできますよ」


「本当!うれしい」

ブルックは亮に抱き付いた。


~~~~~~~

奈々子とブルックは渋谷の

ライブハウスの下見に

行き、亮は夕方みんなを誘って、

歌舞伎町近くの飯田の経営する

中華料理店で会食をする事になった。


飯田に日曜日の明け方の話をすると

驚いて改めて亮に聞きなおした

「本当に一晩でそんな事があったのか」

「ええ、東京タワー爆破、新型ウィルス、

東証爆破、日本は危なくなっています」


「そうだな、まったく日本人は危機意識が

希薄だ。雇用率が下がっているなら、

公務員の警察官を増やして徹底的に

犯罪を減らして裏の世界に流れる金を

減らせば年間5000億円の経済効果がある」


「そうですね、税収が500億円以上

増えるでしょうね。日本は先進国で

1番公務員が少ないですからね、

組織改革をすれば増やせます」


「亮、おまえさん。こんなビジネスをする器じゃない

もっと大きな仕事をすべきじゃないか」

「飯田さん、僕にとって仕事が小さいとか

大きいとか関係有りません、がんばれば

小さな仕事が大きくなります。


キャバクラもスポーツクラブも

基礎とシステムがしっかりしていれば」

「わかった、ありがとな」

飯田は亮の肩を叩いた。

「ところで山梨県のゴルフ場の売り物件が

有ったら紹介してください」


「ああ調べておくが今度はゴルフ場経営か?」

「アメリカから日本に移住したい人が千人ほど

いるらしくて、ゴルフ場と住宅と企業を併せ

街を作りたいんです」


「ほう、面白い」

「向こうが言うには8億ドルのビジネスで

住人生活費用、納税、売り上げで

年間500億円の経済効果が

見込めると思います」


「それは正にビジネスだな」

「ぜひ、飯田さんがかかわってください」

「わかった、ぜひ」


隣のテーブルで食事をしていた

小妹たちに亮は話しかけた。

「桃華、腕の具合は?」

亮は心配そうに聞くと

桃華は元気に答えた。


「大丈夫です」

桃華は包帯を巻いた腕を見せた

「良かった」

亮はホッとすると森が怒っていた。

「それより亮はどうなんだよ」


「あはは、心臓が一度止まってアバラ骨に

ヒビが入っています」

「えっ?」

森は亮があまりにも元気なので驚いた。

「川に飛び込んで雷管のコードを

抜いたら爆発してしまいました」

亮があっけらかんと答えた


「でも、美人女医さんがついているものね」

亮が困った顔をすると小妹がケラケラと笑った


「では仕事の話をしましょう」

亮が真剣な顔をして言うと一恵が亮に聞いた。

「亮さん、一文字はどうなるの?」

「そう、元々は一文字がすべての元凶です。

なんとしても奴の犯罪をすべて

暴かなくてはいけないんです」


「警察ではどれくらい一文字の罪を立件できるのかしら」

一恵はまた一文字が保釈されてしまうん

じゃないかと不安だった。

「一文字は今、成田空港で取調べを受けています」

「本当!」


「はい、麻実さんが一文字をわざと殴って

警察に捕まり一文字は被害者として

事情聴取を受けているはずです」

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