第38話
入社式を終え、オフィス(繰り返しにはなるが、オフィスというよりは小綺麗な掘立小屋のような建物である)の案内をしてもらうと正午近くになり、歓迎会という名の昼食が始まる。
昼食は本来自分たちで自宅から持参するなり、会社近くのコンビニエンスストアで買うなりするのだが、入社初日である今日は特別にまい泉の仕出し弁当が支給された。
同期9人の向かい側に役職が与えれらている社員や総務、社長が座り、出身地やよもやま話をする。
こちらの緊張を解こうとする趣旨のものなのだろうが、元来根が人見知りである自分にとってはむしろ緊張しっぱなしの昼食となり、大好きなとんかつもあまり喉を通らなかった。
苦痛の昼食を終えると、上司から作業着に着替えるように命じられた。
午後からは早速研修が始まるらしい。
「本当は座学から始めるんだけど、明日から夏フェスの現場で社員が会社からいなくなってしまうから今日のうちにできる研修はやっておくからね」
というふうに説明された。
ワークマンで一式揃えた作業着(作業着というよりも、動きやすいただのスポーティーな服装)に着替え、先ほど入社式をしていた一階に降りる。
即席のステージやパイプ椅子は綺麗に片付けられていた。
メモ帳とボールペンをポケットに入れ、研修をしてもらう上司を待つ。
先ほどの昼食は上司との会話が多かったため同期だけで話をする機会は未だなく、全員が全員の様子を伺い合うような絶妙な距離感でその場に立っていた。
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