第15話
○ドラゴン現る
今日も、アンソニーさまと三銃士は、書斎で会議中だ。
先ほど、城から書簡が届ぎ、執事が書斎に届ける。
少し騒ついている。
問題発生かしら。
仲間に入れてくれないからわからない。
私はひとり読むべき魔法の本を読む。
ふんふん、パワーとか
ふーむ、薬草とか
ふ、ふ、ふ、空を飛ぶとか
わからないことは後で教えてもらおう。
とか、思いながらも、またうつらうつらしていたらしい。
ドーンという激しい音
突然の音に、飛び上がる。
雷か?
降り出した雨が大雨になり、豪雨となる。
出窓越しに外を眺める。
チェンジャブルなお天気だな。
空を見上げていると、雨がだんだん小降りになってきた。
空では雲が動いてる。
ぐるんぐるんと大きな円を描いて渦巻いている。
えっ、あらっ、渦巻く雲なんて初めて見た。
ぐるぐる、グルグル渦巻きながら移動している。
ぐるぐる渦巻きながら、どんどんこっちにくる!
向かってくるー!
ウギャー!
バーンと激しく出窓に張り付いたのは、雲の塊じゃなかった何?
龍?
ドラゴン?
顔がすんごく怖い系だ。
赤い長い舌を突き出してる。
目が血走ってキモい。
睨んでるみたい。
なぜか対峙するみたいに
しばらくドラゴンと見つめ合っていると
隣りのドアがバンと開き
アンソニーさまと三銃士が走ってきて、出窓に向かって剣を構える。
次の瞬間、ドラゴンは、くるりと背を向けると、くるくる渦巻きながら飛んで暗い空に消えていった。
どーなってるの。
わけがわからない。
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
アンソニーさまが心配してくれるけど、あり得ないドラゴン出現が、現実とは思えない。
テレビの画面を見てるみたいな遠い感じでなぜか怖くはなかったけど、びっくりし過ぎて身動きできない。
「子どもだったな」
「確かに、そんな感じだ」
えっ、子ども?
子どもってあのドラゴンのこと?
子どもドラゴン?あれで?
きゃーなんですけど。
ルーシーゃんがそばにきて
ギュッと手を握る。握り返す。
説明して、と言う視線で、アンソニーさまを見る。
アンソニーさまは
「まりんさんの噂を聞いて、悪戯盛りの子どもドラゴンが興味深々で様子を見に来たようだ」
と言うけれど、果たしてそうなのか、それだけのことなのか。
どうなんだろうと、アルフレッドさんに、トッツィに、ウォーリーさんに視線を投げかけたが、じっと黙ったままだった。
「じゃ、続きをやろう」
アンソニーさまと三銃士はまた書斎に入る。
ルーシーちゃんは、ドーンという大きな音に驚いてここまできていた。
まだ少し不安そうにしていたが
「お勉強済んだら一緒に遊ぶましょ」
ギュッ抱きしめると、家庭教師を待たせているため部屋に戻って行った。
とにかくドラゴンがいるんだ。
それだけでびっくり仰天、聞いてないんですけど。
でも、それって何?
そのドラゴンって、危ないヤツ?
もう訳がわからない。
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