第13話
○三銃士とか
えっ、何、どういうこと?
さ匹のフレンチブルドッグの絵を見せられ、驚いて、目が泳ぐ。
すると、ルーシーちゃんが
「まりんママ、これは、三銃士のみなさんよ。凄い方たちなのよ」
と、得意そうにしてる。
意味がわからない。
頭ぐるぐる状態だ。
あまりにも動揺したせいかノーリアクション。
すると、ルーシーちゃんが、突然、ギャーワーン!と泣き出した。
それにもびっくりして、慌てて走り寄る。
「まりんママ!下手ですか?ルーシー、絵が下手なの」
と、しゃくりあげてる。
「あら、あら、とても上手よ。すごく上手」
よしよしと背中をなでる。
こっちに座りましょと手をひき、ソファに座らせる。
アルフレッドさんが、はいと絵を渡してくれたので、ルーシーちゃんと並んで一緒に見る。
確かに、フレンチブルドッグ三匹の絵だけど、騎士姿にまた目が点になる。
が、ここは順応して
「ルーシーちゃん、アルフレッドさんと他の方が誰か教えて」
と聞くと
「これがアルフレッドさま、真ん中がトッツィさま、こっちがウォーリーさま」
と、左から順番に指を話す。
ふわっ
トッツィ、まさかのトッツィとか。
トッツィがいる。
わあ、質問したいけど、どう聞けばいいのかわからない。
わあ、どうしようと考えていると。
「アンソニーさまがお戻りです」
の声とともに
ちょうど、アンソニーさまが部屋に入ってきた。
「帰りました」
「パパ、お帰りなさい」
「お帰りなさい」
ルーシーちゃんに一瞬微笑んだけれど、いつもの笑顔はなく、表情が固い。
とにかく、アンソニーさま珍しく余裕なし。
何事?
「アルフレッド!待たせてすまない」
「しばらく振りだ、アンソニー」
「早速だけど、隣りの部屋で話そう」
とさっさと隣りの書斎に入ってしまった。
書斎と言っても、壁一面に本が並び、図書館のように広い部屋だ。その真ん中に長机があり,円卓ではないが、それを囲んで会議をしている。
うーん、取り残され横を見ると
ルーシーちゃんが見上げてる。
何か言いたそう。
「あ、この絵上手よ。すごいわ。アルフレッドさんソックリね」
褒めるとやっと笑顔になる。
違いのわからない女ですが
すかさず
「ねえ、三銃士のお話きかせて。どういう方たちか、まりんママは知らないのよ」
ルーシーちゃんはうなづいて、ソファに座り、ポンポンとたたき横に座ってと催促する。
まあ、大人顔負けね。
ルーシーちゃんの説明によると
三種の武器を使う三銃士らしい。
アルフレッドさんは、剣の名手
トッツィさんは、角を自由自在に操る術士
ウォーリーさんは、盾の使い手
これまで数々の戦いで常に勝ち続けている勇者とか。
マジですか。
フレンチブルドッグなんですけど。
「ルーシーちゃんは、アルフレッドさん以外の方々を知っているの」
「はい、みんな仲間です。ここにも時々遊びにきてくれますよ」
えっ、えー!
じゃ、トッツィも来るんだ。
色んな意味でワクワクする。
妄想タイムしていたら
「まりんさん」
と書斎から出てきたアンソニーさまに呼ばれる。
まりんでいいのに、なんで、さんをつけるのよ、他人行儀、ふん、だ。
「はい、何か御用ですか」
「今日は、三銃士が集まる予定なのでよろしく頼みます。着いたらこちらの書斎に通してください」
「はい、かしこまりました」
「ルーシー、大事な会議だから今はダメだよ。終わったら遊べるからね」
「はあーい」
ちょっと不満そうな声。
アンソニーさまはまた書斎に入る。
わあ、わあ、三銃士が集まるとか。
トッツィに会いたくもないけど会えそう。
と思うと、急に、あのトッツィさえ懐かしくなる。
会いたいな。
会えるかな、ワクワク。
早く来ないかしら
トッツィに会いたい。
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