第11話
○結婚します!
会ってニ回目で、もう結婚を決めた。
とか、どうなのかな。
正確にはただ今婚約中ですが。
ま、出会いは突然というし、そういうこともあるでしょうって言ったもののちょい複雑。
何だかマリッジブルー入ってます。
らしくないけど、色々と考えてしまう。
何度もしつこいようですが
「あちらは、パパとママは大丈夫でしょうか」
アンソニーさまに聞く。
「そうですね、聞かれるのはこれで五回目ですが問題ないですよ。時間軸をずらしてます。向こうとこちらは時間の速度が違いますから、戻ったとしても、整合性が取れるようになってます」
あ、あ、五回も聞いちゃってるわけね。ふーん。
何度聞いてもきちんと答えてくれる。
優しい方だ。
窓際の椅子に座り。本を読んでいるアンソニーさま、絵になる、素敵だ。
アンソニーマイラブ。
しかし、うちのパパ、ママもだけど、結婚しました!なんて事後報告したら真紀子は怒るよね、きっと。
そう思うと、急に、真紀子に会いたくなってきた。
「仲良しの友達がいるんですけど・・・」
言い終わらないうちに
「大丈夫です。今は忘れて心配もしていませんが、会えばすぐ思い出して前の通りになります」
そうなのね。そうなんだ。
なんて都合がいいのでしょ。
もう心配はやめよう。
なるようにしかならないなら、なるようになれ!
「まりんママ」
あ、ルーシーちゃんがお昼寝から起きて.腕を上げ背伸びしている。
「ここにいますよ」
近寄ると甘えて抱きついてきた。
抱っこしたままソファに座る。
ほっこり幸せな気分。
一時期、欧米の映画やドラマにハマっていた自分に感謝だ。
真似して上流階級ぽく振る舞ってる。なんとかできてると思う、たぶん。
それに、口調まで自然に変化してきた。
なんという順応性でしょう!
そんな自分に感動さえ覚える。
ですよね、ね。
ま、細かいことはさておき。
夕食後、アンソニーさまに呼ばれて、部屋に行く。
「そこに座ってください」
ソファに座ると、向こうに大きなベットが見える。ちょっとドキドキする。
しかし、そんな心配は吹っ飛んだ。
「まりんさんがこれからやるべきことを書き出してみたので、読んでください」
とノートを渡される。
中を開くと
一、結婚後は、魔法の国の貴族になる。
ニ、アンソニー王子の妻として品位のある行動をする。
三、ルーシーのママとして母親業を専任する。
四、魔法使いになるために修行をする。
五、魔法国を愛し守ることを誓う。
五項目、五個もあるじゃん。
それにどれも奥が深いというかひと言ではすまない感じがする。
やれやれとノートを置き、まずは魔法を習得しないとだめだよね、そうしないと何もはじまらないし、お話にならない。
しばし考え込む。
「ちゃんとヘルプしますから大丈夫ですよ」
と、アンソニーさまに言われ
「はい」
と答えたものの前途多難な予感。
はあ、と、肩を落とすポーズをしてみる。
今の気持ちのボディランゲージだ。
すると、アンソニーさまが
立ち上がり、近づき
そっと肩に手を置き
「がんばりましょう。明日からまた忙しくなるので、早めに休んでください」
そう言って、ノートを取り、微笑みながら私の手に渡し
「おやすみなさい」
と、送り出された。
期待した私がバカでした。
仕方なく部屋に戻る。
ルーシーちゃんの部屋の隣りの客室が結婚まで私の部屋になっている。
結婚式は、世界旅行中のアンソニーさまのご両親、国王と王女が帰国する一週間後に決まり、準備の最中だ。
結婚式は近親者だけで行い、その後、ティーパーティー、後日舞踏会でお披露目することになっている。
まだ会ったことのないご両親とは、式当日には、会えますからとアンソニーさまに言われているが、どんな方かしらと今からドキドキしている。
就寝前に、ノートを開いてみたが、頭が働かない。
ノートを閉じる。
明日のためにふて寝した。
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