第14話

 心美の表情を見て、ツボに入ったのか鈴木と杉本は腹を抱えて大爆笑した。先に落ち着いた鈴木は「いや〜、すまんすまん。じゃあ、杉本またな。」と言って、心美の腕を引っ張って歩みを再開した。

 杉本に2箇所の残りの検問所に連れられた私は、帰り際に再び鈴木、心美ペアと遭遇した。声が届く範囲になると、杉本と鈴木がお互い片手を上げて挨拶をする。そのまま2人は対面し、私と心美にはよく分からない世間話を交わし始めた。

 取り残された私たちは、自然と寄り合いガールズトークを始める。

 「明梨ちゃんとは友達になれそう。だって、私と似てるもん。」

 「似てるって?性格とかが?」

「転生志望先よ。その見た目、結構前世でコンプレックス抱えてた派でしょ?」

 心美の試すような目つきに、私は口元を引き締めた。

 「ブスだったわ。クラス1、いや学年1のね。一番の後悔は恋人が出来なかったことね。」

 「あー、分かる。私も好きな人に振り向いてもらえなかった。

 私はね、そこの地域で一番の不細工と呼ばれていたわ。両親はそこそこ、兄がモデルやっててさ、私だけドブスだったの。だから、ご近所さんはみんな、いいところは全部兄が持っていったなんて言うわけ。多分、私のブスさが目立ったのは、周りの顔面偏差値が高かったからだと思うわ。」

 「そうだったの。お互い大変だったわね。でも、来世は2人とも報われるんだからお互い頑張ろう。」私はガッツポーズを作って、それを笑顔で振り上げた。

 すると、心美は杉本と鈴木を気にするように口元に手の盾を添えて、小声で私にこう伝えた。

 「ここだけの話あるんだけどいい?」

 私も彼女を真似て、手の盾を添えらながらこう返した。

 「え?なになに?横の2人のこと?」

 私が冗談めかしく返したのに対して、心美の表情は真剣そのものだった。

 「驚かないで聞いてね。

 もしね、仮に私たちが徳を溜め終わって志望先が決まるとするじゃん?そしたら、その時私たちは何歳になっていると思う?私気付いちゃったのよ。溜め終わらないってことを。」

 私は一瞬、ルルの言葉が脳裏をよぎった。この娘、もしやルルと同じことを。

 「それで、風の噂なんだけどね。どうやら、その徳ってのは毎月神様から施設にまとめて送られてくるらしいんだけど、それを所長が横領しても気付かれないみたいな。」

ここの所長といえば、田中さんだろう。

 「ヤバくない?私許せないの。もしそれが本当だったら。」

 「心美は、もしその噂が本当だったらどうするの?」

「分からないわよ。でも、確かめに行きたいの。明梨もくる?」

 私が返答する前に、鈴木が大声で心美を呼び、連れて帰った。

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