第30話 帰って来ました!我が家にっ!やはり我が家が一番です。
俺は、ベル嬢からのまさかのプレゼントに、心が踊っているのを押さえ、なるべく平常心を保ちながら、皆が居る席へと戻った。
「よおっ戻って来たか」
一眠りをして、少しはスッキリとしたのか元気な声で声を掛けてくるイーソン。
「ん…んん」とそのイーソンの声にまだ寝て居たシーア嬢が眠たい目を擦りながら小さなアクビを手で隠しながら起きた。
「あらっ私ったらいつの間にか眠ってたみたいで…すみません」と少し照れながら謝って来た。
ベル嬢は、眠気覚ましにと冷たいジュースをシーア嬢に渡しては。
「いいえ?大丈夫ですわ。私達も眠ってましたから…さっこれでもお飲みなさいな」
「ありがとうございますっうんっ冷たくてとても美味しい」
コクコクと一気に飲み干していた。
「後、少しで駅に着くな。イーソンとベル嬢は迎えの馬車が来てるのか?」
「いいや?俺達は屋敷まで辻馬車で帰る事になってる」
「そうか…俺もだな。じゃ途中まで皆で一緒に帰ろ」
当然、俺はシーア嬢を屋敷まで送るつもりで居たから、其れならば一層の事皆で帰る事にした。
…なんだか旅行が楽しかった分このまま駅にに着いたら「はい解散」は淋しい気持ちも有ったし。
皆で乗り合わせで帰る事にした。けど…駅に着いたら兄さんの専属執事。クルーズ・モレルが俺達を待っていたんだ。
「ク…クルーズ?なんでお前が?」
「お帰りなさいませ皆様。カリム様が今日この時間帯には皆様が駅に着く頃だと仰っていましたので…失礼かと存じましたがお迎えに参上致しました」
「こっわ!?」
思わず本心が素直に口走ってしまった。
だってさ?帰る日程や時間帯誰にも言って無かったんだぜ?其れを普通分かるか?
「…エース様の仰りたい事は分かっております」
「凄いっエース様のお兄様のカリム様は、エスパーだったのですね」
シーア嬢が、少し興奮気味で何かを言っていたみたいだが…今の俺には何も聞こえませーん。
折角の好意だと、皆がクルーズの迎いの馬車に乗り込む。
まあ…辻馬車を捕まえる時間と料金の事を考えるとラッキーだったな。
ガラガラ…と俺達を迎えに来てくれた馬車の中で、たった数日間しか離れて無い街並みに少し、懐かしいさを感じてた。
(本の数時間前までは、ベル嬢の別荘に居たなんて…信じられないよなぁ)
何て、ボンヤリ考えていると、皆も同じ事を考えて…いたかは知ら無いが其れ其れ黙ったまんま街並みを眺めていた。
最初に、シーア嬢の屋敷前についた。
「それじゃシーア嬢。また学校で!お疲れ様」
「はいっ!皆様もお疲れ様でございました!
イーソン様ベル様っ今回はお誘い頂き本当にありがとうございました」
「ああっまた学校でな」
「シーア嬢っまた屋敷にも遊びにいらして頂戴ね」
シーア嬢以外の俺達は、失礼だとは思い馬車の小窓から、顔だけを出して挨拶をした。
てか、一旦下りようとしたんだけど…彼女が別れが辛くなるから、下りなくても良いと言ったのも有るんだ。
次は、イーソン達を屋敷まで送る為、馬車は走り出した。
小窓から、シーア嬢を見るといつまでも手を振っていた。余程楽しかったんだろ。
「シーア嬢。とても良い人でしたわ。最初…気が合わなかったらどうしようかと思いましたが」
「だからそう言ったろ?ベルとシーア嬢は大丈夫だって」
「ですがーー」
なんて、二人の会話を聞いているのも後少しで終わるのか…どうやらシーア嬢だけじゃ無かったみたいだな。
俺も心の何処かで「淋しい」と思ってしまっている自分が居たんだ。
「…なんだよっエースくんしんみりした顔しちゃって」
「あっいや…そうだ!今日夕飯食べていかないか?この旅行のお礼もしたいし」
「良いよっそんなに気を使うなよ?なあベル」
「はい。そうですわ?其れに折角のご厚意なのですか…私もイーソンも早く屋敷に戻ってゆっくりと疲れをとります」
「そうですか…そうですよね。では今度は食事でもしましょう」
二人を屋敷の前まで下し俺の馬車が小さくなるまでイーソンとベル嬢はいつまでも見送っていた。
「…やめろよ。なんだか淋しくなっちまうだろ」
さっきまで、ギュウギュウに乗っていた馬車の中も、ガランとしている。
「こんなに馬車の中って広かったっけか?」
何て…少しセンチめいた事を思っていたら、我が屋敷に到着。
「エース様。お疲れ様でございます。私はこのまま馬車を小屋まで運びますので」
「ああっサンキューなクルーズ後は俺一人で大丈夫だ」
「かしこまりました」
と、俺を下ろしては小屋まで走り去って行くクルーズを見届けてた後「よっこいしょ」と両手の荷物を手に取り屋敷に入っていった。
「ただいま帰りました」
ガコンと、両扉を開け屋敷の中に一歩中に入ると其処は懐かしいの我が家の匂い。
「帰って来たんだな」と少しノスタルジーチックに入っちまった。
数日間家を開けた位でこの様かよ。
「お帰りなさいませ」とパダパタと小走りに俺専属メイド・エリンが小走りで駆け寄って来た。
「ああっただいまっエリンも休暇楽しんだか?」
「はいっエース様のお陰で久々に家族や友人達にも会えて充実した休暇を過ごせました」休暇前の彼女とは、打って変わり目の前に居たのは休暇を大いに満喫した姿だった。
その彼女の姿を見て、満足した俺は少し嬉しくもある。
「そうか!なら良かった」
俺は、エリンや使用人達のお土産を渡し、家族の分の土産を手にダイニングへと足を運ぶ。
父さんの好きな酒に母さんには綺麗なスカーフや兄さんに頼まれていた激辛菓子を手に、少し緊張なおもむきで部屋に入った。
やはり、第一声は母さんの声から始まり、食後の紅茶を飲んでいた父さんが続け俺に「お帰り」の声掛けをしてくれる。
「まあっ!何て素敵な色のスカーフなの?ありがとうっ早速明日お店に付けて行くわね」
「おおっ!これは向こうでしか手に入らない酒じゃ無いかっ!有り難く頂戴するよ」
などなどっ両親は安パイな程喜んでくれたんだ!良かった!お土産のチョイス間違って無かった!
肝心な兄さんは、まだ仕事から帰って無いみたいで、後で激辛菓子を部屋にでも置いておくか。
俺は、両親に向こうでの出来事を、全て話した。初日に絡まれた話しは抜きにして、見事な迄の景色に満天の星空。イルカショーでの水浸し事件や父さんの友人からのパーティーへの招待。
アンドレ氏については、父さんも懐かしいと思ったのか…今度アンドレ氏が此方に来た際には、是非我が家に招待をしたいって言っていたな。
一通り土産話しも、済んでは俺は部屋に戻った。
数日間、離れていた我が部屋のベッドに懐かしさを堪能するかの様に、バフンッとダイブした。
「ああーーっ!やっぱ自分の部屋が一番だわ」
と、誰に聞かせる訳も無く声を大にして叫んだ。
長旅って訳では無かったけど…いつの日もっつか、生前でも思ったけど…やっぱ自分の帰る場所が有るってのは最高だよなっ!
何て…思っていたら、旅の疲れだろうか?いつの間かウトウトと眠ってしまったらしい。
どれ位寝ていたのかは、分からないけど…兄さんが仕事から帰って来たのも気づか無かった位だ。
夢か幻か…誰かが俺の部屋に入って来ては、俺を覗き込む人影を感じた。
俺は何となく気配は感じ取っていたけど…睡魔の方が勝って目を開けれ無かったんだ。
その人影は、俺の顔を覗き込むなり「お帰り…お土産サンキューな?お前が居なくて寂しかったぞ」と小さな声で呟いていた気がする。
(……兄さん?でも…まさかな)
「う…んー…」俺は、何にせよ睡魔の方が勝っていたのでゴロンッと人影が居る反対側へと寝返りをしたっ…様な気がする。
今朝、目を覚めたら髪はひでぇ位の寝癖に、半分以上髪が立っていた位だよ。
パジャマにも着替えて無かったから服はグチャグチャのまんま。
…ただ一つ違和感ってか、自分でも分からないのが、俺の腹から下に掛けタオルケットが掛けられていたんだ。
昨夜、自分はそのままでダイブしたけど…タオルケット掛けた覚えが無い…。
だと、するとやはり兄さんが掛けてくれたのかな。
♦︎♢♦︎♢♦︎後書き♢♦︎♢♦︎♢
ここ迄お付き合い頂き本当にありがとうございますっ(*´꒳`*)ノ
※いつもありがとうです(*≧∀≦*)b
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