第26話 気付けば連休も終わりに近づいています。

 ここは、クラーク家の別荘が有るグリフィス都市。


 イーソンに誘われて、エースとシーアにクラーク家のアリスの双子の妹ベルと、四人大型連休を利用して遊びに来ていた。


 四人はイルカショーを観終わると、興奮冷めやまらぬ内にショーの話題をしていた。


 …ただ一人イルカの洗練を受けた者以外は。


「最高だったよなっ水族館!」


「ええっ本当にっ!エース様ったらイルカのショーでまさかの水浸しにっ」


「…笑うなよな。まさか俺に目掛けて、ジャンプして来るとは夢にも思わ無かったし!」


「そうなる前提で係員の人が最前列の人達にビニールシートを渡してくれたのに…エース様ったら拒否るんですもの」


「…だって」


 そうなのだ水族館名物の一つイルカショーに俺達四人はワクワクしながら、見に行ったんだ。


 席も最前列が、偶然に空いていたのはラッキーだったんだけど…。

 係員が事前。俺達、最前列数名にビニールシートを配ってくれたんだ。


 だけど…そのビニールシートを被るには、隣りの人と密着しなくちゃなんなかった。


 偶然にも、俺の隣りはベル嬢だった訳で…。


 だからと、言う訳でも無いんだが…なんとなく密着は…やばかろ?と自分判断しちまった。


(ったく!何がやばかろっだよ。中坊かっつーのよ。俺はっ)


「ヘックショッ!…ヘッ…ヘッ…クッショッ!クションッッ!!あー…もうっ最っっ悪っ…クションッ!!」


 大丈夫か?と皆が其々に心配して来てくれるのは嬉しいんだけど…この時期の水浸しはまだ寒い…。


「何処かで温かい物でも頂きましょ?身体が冷え切ったら風邪を引いてしまいます」


 ベル嬢の提案で、園内のカフェに入る事にした。


 園内は、家族連れが居たもの、そこまでは混んでは無かった。


 店に入ると、ベル嬢とシーア嬢はケーキセット俺とイーソンはコーヒーを頼んだ。


「あー…あったけぇ!冷えた身体にコーヒーは堪えるわ」


「ふふふっ良かったですね。エース様」


 シーア嬢は、チーズケーキをホクホクしながら、一口二口と口に運んでいるのを見ていると、やはり…アリス嬢と被っちまう。


 ベル嬢も、俺と同じ事を思っていたのかポツリと「…あっアリスにお土産」と独り言を言ったかと思うと周りをキョロキョロしだした。


「ふふふっベル様っさっきアチラでお土産物を見付けました。ここを出たら見に行きませんか?」


 イーソンもお土産物に賛同しては、四人で土産物屋に赴いた。


 店内は以外に広く、色んな土産が揃っていてここで全てが揃ってしまう程。


 俺達は二組に分かれては一時間後に店の入り口で待ち合わせをする事に。


 さっき程の輩の件が有るから、万が一に備えイーソンとシーア嬢。俺とベル嬢に分かれたんだ。


(なぜベル嬢と…まあいいけど)


 あの件以来…何となくギクシャクはしていたが、「イルカショー」での事で少しは暖和したとは思っだけど…いざ二人になると…。


(ぶっちゃけ。何を話題にしたら良いんだろ。まぁ…普段通りで良いよな)


 なんて、思っていた。俺は兄さんに頼まれていたお菓子と後…両親への土産になどなど選ぶ。


(めちゃ久々の旅行だから、土産物選び楽しいんだが)


 呑気に誰にも気づかれ無い様、鼻歌を歌っていたら、ベル嬢も余程楽しいのか…ご機嫌が宜しいみたいだ。


「あっエース様っお土産決まりました?」


「はいっ取り敢えず、家族の物は決まりました」


「其れは良かったですっ!…私、あのカリム様にもお土産を渡したいのですが…一緒に選んで頂けますか?」


 ベル嬢が兄さんヘのお土産を渡したい。確かに許婚なら…そう思うのが普通なんだろけど…ベル嬢が余りにも幸せそうな顔を見せて来ては、俺の中の何かが「チクッ」と針の様な物で刺された。


「あ…ああっ勿論っ!」


(何だよっさっきからチクッてのはっ!)


 俺は、気を取り直し、ベル嬢と二人兄さんが喜びそうなのを選んではベル嬢が嬉しそうな顔を見せては何だか俺も嬉しくなる。


 ベル嬢と暫く兄さんのお土産を、あーだこーだと選んでいる時に、俺達の少し後ろの女子三人組みが此方をチラチラ見ながら、話しているのが聞こえて来た。


 …別に盗み聞きをするつもりは無かったんだよっ偶然に聞こえて来たんだ。


「ねぇねぇっ私達の後ろのカップルめっちゃ美男美女じゃない?」


「あー…私も気付いてたってかっめっちゃ目立つよね?」


「ねー…彼氏も素敵で彼女さん羨ましいっ私もあんな彼氏が欲しいっ」


 などなど…キヤッキヤッはしゃいでいるのが、分かる。

 ベル嬢も、彼女達の声に気付いたのか振り向くと目が合ったみたいだ。


 三人女子は「ヤバッ目が合った!」と口々に話しては、俺達に会釈をして逃げるかの様に走り去って行ってしまった。


「エース様。何でしょうか?私何か悪い事でもしたのかしら?彼女達と目が合った瞬間走り去って行きましたわ?」


「…エース様?どうかなさいました?お顔が赤いですわよ?」


 そうなのだ…ベル嬢は聞こえて無かったみたいで良かった…けどっ今俺の顔は赤いんだろうなっ!顔が熱いのが分かる!


「いっいえっこの店内はっ…そのっ暑く無いですか?」


「…店内ですか?いいえ?別に?きっとお土産探しにお疲れになったのでしょう。そろそろイーソン達も来てる頃だから…行きましょ」


 兄さんの、お土産は大体目星が付いたから、また後日改めてとベル嬢は、ニッコリと満足そうな笑顔を向け「ありがとうございます」とお礼を言っては、イーソン達と待ち合わせ場所まで移動した。


(…あの彼女達の勘違いの話しだけで、顔が赤くなるなんて…ヤバいな俺)


 店の入り口でイーソンとシーア嬢がお土産袋を手に持ってキョロキョロとしているのを見つけた。俺達を探しているんだな。


「イーソンッシーア嬢」


「おー…お疲れっ何か良い物でも買えたか」


「ええっイーソンもシーア嬢も何か良い物が見つかった様ね」


「はいっ!」


 イーソンもシーア嬢も、余程良い物が見つかったのか二人共ホクホクした顔をしている。


 アッシュ氏が迎えに来てくれた馬車に乗り、馬車の中は水族館やイルカショー…に昼間に奮発した昼食での話題で盛り上がった。


 屋敷に着くな否や、ベル嬢とイーソンはアッシュ氏に別荘の使用人達の土産を渡してもいたっけ。


(あっヤベッ俺とした事が買い忘れていたわ)


 別荘に帰ると、あの人混みの中の疲れは何の園メイド達が俺達が帰る時間を見計らっていたのか…疲れが取れる(?)飲み物をリビングに用意していてくれたんだわ。


 アッシュ氏が、寛いでいる俺…正確にはベル嬢に一通の招待状らしき物を手渡した。


 ベル嬢が言うには「お父様の古い友人の方の招待状ですわね」中身を開封してみるとやはりビンゴッ!ベル嬢の言ってた通りの「招待状」だった。


「あらっ…今夜パーティーをなさるみたいだわ?」


 何処でかぎつけたのか、今夜俺達をそのパーティーを誘ってくれたのだ。


 ベル嬢は、最初困っていたが、イーソンが旅行の思い出の一つになるのならば、良いじゃ無いか?って事で皆賛同した。


(…パーチィ?堅苦しいのは俺ヤダなぁ)


 イーソンは苦笑い、ベル嬢は小さな溜め息にシーア嬢は目をキラッキラしていた。


 イーソンもベル嬢も、シーア嬢の目の輝きを見てしまったら無碍に断わる訳には行かなくなってしまったんだろな?


 その古い友人の招待の時間までは、まだ時間が有る。

 俺達も、こうなれば旅行の思い出を作る事にしたんだ。


 …何だかんだで明日には帰るんだっ折角の旅行を楽しまなければ損だよね?



  ♦︎♢♦︎♢♦︎後書き♢♦︎♢♦︎♢


ここ迄お付き合い頂き本当にありがとうございます(*´꒳`*)ノ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る