第25話 カリム様と私とパーティーと。

本当に楽しかった。


 あの後、カリム様と楽しい一時を過ごしました。

 なんでも、私が寝込んだ事を弟君のエース様からお聞きになったのだとか…。


 其れで、一人淋しく留守番をして居るのと、お見舞いがてらに様子を見に来られたと仰しゃってました。


 …許婚の妹の姉にまで、お気遣いをなさるカリム様は本当に良い人です。


 それと実は、カリム様が今度部隊の人達のパーティーが有るからと私をお誘いなされました。


 当然、最初はお断り致したのですが…妹の立場を考えたら私などがカリム様と参加出来るはずも有りませんし。


 ですが、カリム様は「部隊長の私が参加し無い訳にはいけません。其れに今ベル嬢はエース達と旅行に行っていて留守です」


 なんでも、日頃の部隊の労いと連休中仕事の中休みも兼ねているのだとか…。


「パーティー…っと言っても、そんな形式な物では無く…本当に仲間内だけの細やかな物なんです…一緒に行っては貰えませんか?」


 カリム様の優しい瞳や口調に、一瞬心が揺らぐも…やはり姉の私が参加するなど…。


「でしたらっベル嬢の代理って事なら宜しいのでは?だからと言ってアリス嬢には無礼な様な事は一切致しません」


「…でも…私なんかで宜しいのでしょうか?ベルの代わりなら他の方が宜しいのでは」


「いいえっ!私は貴方が良いのです」


 正直、驚きました。先ほどまで優しく話しをしてい方が、少し声を荒げる言い方をなさったので。


 私は、そんなカリム様を見ては自分でも気付か無い位。目をパチクリとしていたのでしょ。カリム様はハッとなさった、お顔されたかと思うと、直ぐにいつものカリム様に戻られました。


「…すみません。私ばかりの一方的な意見を押し付けてご迷惑でしたよね。其れに明日の夜だなんて急過ぎますし。今の事忘れーー」


「あっ明日の夜は大丈夫ですっ!いっ行きますっ!カリム様っ!私で良ければ是非参加させて下さいっ」


 私は勝手です。先ほどカリム様からのお誘いを躊躇ためらっていたのに…カリム様が諦め掛けた瞬間に「参加する」なんて…私我儘です。


「そっ…そうですかっ良かった!ありがとうございますアリス嬢。感謝します」


「こちらこそお誘い頂きありがとうございます。カリム様」


 カリム様は「本当に良かった」と笑顔を向けられました。


 …でも、私は心の何処でわだかまりが有ります。カリム様は部隊の皆様が、家族や恋人と出席なさるはず…。その中でパートナーが居ないカリム様はベルの代わりに私を連れて行くだけの話し。


 そう、私はベルの代理人に過ぎ無い。


 そう思ってしまうと…何だか複雑な心境…って何っ思っているの?私っ!


 そうよっ本来ならベルが行くはずだったパーティーなのよっ妹が留守なら姉の私が、立派にやり遂げなきゃ。


 カリム様は「長いをしてしまいすみません。其れではお身体をお大事に」とパーティーの日時の事も告げては屋敷を後にしました。


 私は、カリム様を馬車までお見送りし、小さくなって行く馬車をいつまでも見守っていました。


 ベル…やっぱり貴方が羨ましいと思ってしまう。


「だからっ!!私ったら何バカな事考えているのよっ!」


 私は、カリム様に誘われたパーティーに着て行く服を今から選ぶ事だけに集中する事にしました。


 …其れに、カリム様は、皆が旅行に行ってしまって…退屈している私を見るに見兼ねてお誘いしたに違い無いし。


 (カリム様の心遣いなんだわ。きっと。)


 そうして、パーティー当日の夕方になりました。


 本当に、急なパーティーだったけど、両親はカリム様のお誘いならばと快く出掛ける事を承諾して下さいました。


 もし…此れが違う方のお誘いでしたら、きっと「駄目だっ!急に誘うだなんてっ失礼極まり無いっ!」と怒っていたに違い有りませんもの…流石は妹の許婚様々。


 カリム様が帰ってしまわれた。その日の夜にメイドと一緒になって着て行く服をアレやコレやと決めては…ナチュラルな薄いブルーのワンピースに決めました。


 …少し、胸元が開いているのが気にはなりますが。


 そうこうしている内に、次の日の夕方にカリム様が馬車でお迎えに来てくれました。


 馬車からカリム様の姿を見ては…つい見惚れてしまいます。


 普段、私服しか見た事が無い彼ですが、今日ばかりは仕事の軍服でした。


 黒をベースに赤い刺繍で我が国の「不死鳥」の紋章が入っている軍服。


 其れと留めはっ真っ白な手袋!


 ああああっ軍服に白手袋は…タブーですっカリム様っ!!格好良過ぎぃいぃい!!


「…どうかさないましたか?アリス嬢。お顔が赤いですが」


「あっ!!いいいいえっ?きっとっこの夕焼けのせいですわ?」


「……夕焼け…ですか」


 そう言うと、カリム様は空を見上げましたが、夕焼け所か、今はドップリと夜っ!逆にお月様が「こんばんはぁ」と顔を出していました!


 そんな私をカリム様は「クス」と一笑しては、白い手袋で私に手を差し伸べ馬車へとエスコートをなさいました。


(うううっ!だって…さっき迄夕方だったんだもん)


 ガラガラ…ッ。と私とカリム様を乗せた馬車はパーティー会場へと向かいました。


 その間、馬車での、カリム様と私は向かい同士。当然…終始カリム様のお姿が私の視界に入って来るのは…仕方が無いにしても。


 駄目だ…ヤバイッヤバ過ぎです。


 私の前で、長い足を組んでは…たまに組み替える仕草が…絵になり過ぎっ!


 普通なら、男性が女性の前で足を組み替えたり組むのは失礼なのですが…。


 カリム様ならOKっ!てか、その前にカリム様からお断りを貰っていたので。

 そんな内心、興奮気味の私を乗せた馬車は、パーティー会場に到着しました。


 カリム様曰く「身内同士の細やかな物」とは、仰っていましたが、やはり部隊には休日と言う物は中々取れないとの事。

 だから、家族や恋人以外の部隊の人達は皆軍服なんだそう。


 いつ街のトラブルや…大袈裟に言うと失撃の命が出ても良い様になんですって。


「部隊の皆様も大変なんですね」


 カリム様は、確かに大変な仕事だけど、その分やり甲斐が有るし…。何より皆の幸せを護る事が出来て嬉しいっと少し照れながら話して下さいました。


 カリム様の照れたお顔っ!超レアですっ!ベルに見せてあげたかったなぁ。


 其れから…パーティーが始まり、カリム様から皆様に紹介され、部隊の家族の方や恋人の方達と仲良くなれて…本当に楽しい一時を過ごさせて頂きました。


 其れは、カリム様とご一緒だからかしら?


 ただ、カリム様が皆様に私を紹介する度に、「許婚の姉君」と仰っられるのには。


 心が痛みました…私…今更…本当に今更なのですが、ベルにカリム様をお任せしたのを後悔しています。




  ♦︎♢♦︎♢♦︎後書き♢♦︎♢♦︎♢


…長いっ長過ぎましたっアリス嬢のお話しをもっと短めにするはずでしたな(゜ω゜)



ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました(*≧∀≦*)


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