第21話 別荘は想像以上な所でした。その2。

その日の夜、別荘の夕食はどれも素晴らしかった。この日の為に、料理長が腕によりを掛けてくれたのが分かる。


 俺達は、腹一杯食べては、食後に「夜の散歩でもし無いか?」とイーソンが話しを持ち出して来た。


「散歩ったって…こんな暗い中…まさかお前肝試しをやろってんじゃ無いだろな?」


 そうなのだ、昼間は樹々達の明るい新緑や太陽からの反射で海が明るく見えていたけど。

 夜になれば、其れは一転して辺りは、結構暗い。

 周りに別荘以外の街灯が無いから余計だよな。


「まさかっそんな幼稚な事をするのは中等部迄の子供だよ」


「…だよねぇーっ」


 すまんなっ!生前に良く高校の連れ等とやってましたよ!


「…でも、イーソン様…周りは暗くて何も見え無いですよ?」


「うん。別荘の周りはね?」


 イーソンの、意味深な言葉に、俺もシーア嬢も訳が分からなかったけど、ベル嬢もイーソンに反対はし無かった。


 寧ろ…自分も行きたいって顔だ。


 何やらイーソンはアッシュ氏に、話しをしている。


「フォッフォッ。其れは宜しいかと…今宵は特に綺麗にご覧になられましょ。今すぐランタン2つと温かい飲み物をご用意致します」


 ちょっとした、冒険みたいで正直俺は、興味津々になって来た。シーア嬢は少し渋ってはいたけど…。


 イーソンやベル嬢の様子を見たら、何か行かなきゃ損をする様な気がしたから。


 外を出ると、まだ少し肌寒い。でも歩けば暖かくなって来るに違い無い。


 イーソンに、ランタンを一つ手渡されると、二列づつになって彼の後を歩く。


 何故か、俺の隣はベル嬢なんだけど…この際はいっか。


 暫くして、昼間に見た森の間を、俺達はランタン2つだけの光を頼りに、ガサッガサッと歩いてた。


「足下の小枝や石には気をつけてな」


 イーソンが、振り返り俺達に注意を促すのは良いけど…。この暗闇の中ランタンの光に照らさる。お前の顔の方が怖い…。


 夜共なると、昼間の動物達は寝静まっているのか、変わりに夜行性の動物達が顔出す。


 森の中、フクロウの鳴き声が、反響してより一層、この世に俺達だけしか、居ないんじゃ無いかって、錯覚さえ覚えてしまうくらいだ。


 案の定、シーア嬢は身を縮めながら周りを、キョロキョロしながらイーソンに着いて行ってる。


 其れに比べ、ベル嬢は平気な顔付きで、其れこそ街にでも行く感覚みたいに足下が軽やかだ。


「……エース様なんです?私の顔に何か付いてます?」


「…目と鼻と口が付いてます」


「まっ!!」と俺の皮肉めいた言葉に、最初はプクッとなったけど。

 俺の気のせいかな?その後小さく「クス」と笑っていたのは。


(まさかね?だって…今日汽車の中でも会話が無かったし)


 森の中に入って、どれ位経ったのだろう。


 別荘から、森を抜ける迄そんなに距離は無いはずなんだけど…夜になると感覚が又違うのか。


「さあっ!着いたよっ!」


 イーソンの掛け声で、俺達は息を飲んだっ。


 森を、抜け場所は正に夢の世界やお伽噺の世界かと思わせる様な。そんな場所だったから。


 一面に広がる。ラベンダー畑や色とりどりのチューリップに菜の花。


 今宵、月夜の光でその花達はまるで地面に散りばめられた宝石の様だった。


「上を見てみろよ?」


 イーソンは、そう言うと天高く空を見上げる。


 俺の、目に飛び込んで来たのは、生前でも見た事が無い位の、満天の星空に見事な銀光の満月。しかも天の川までハッキリと見えるっ!


(凄いっ!天の川初めて見たっ!)


 その素晴らしい絶景に俺とシーア嬢は、言葉が出て来ない。


「凄いっ!凄いよっ!イーソンッベル嬢っ」


 俺は、年甲斐が無くっつい大声を出してしまった。いやっ感動するのに歳なんか関係は無いよなっ!?凄いモノは凄いっ!?


(あっ…ヤバッまた感極まって泣きそう)


 多分…ここでBGMを流されでもしたら…確実に泣くっ!


(んな流れる訳無いけど)


 俺達は、興奮冷めやぬ内にイーソンがアッシュ氏に持たされた。レジャーシートの上に座り、砂糖漬けのチェリーに温かい紅茶を広げ暫くこの景色を心行くまで堪能した。


「…成る程」


 温かい紅茶を飲んでいたシーア嬢が、俺の独り言に気付いては聞いて来る。


「何が、成る程なんです?エース様」


「うん?あっ…いや何故ここが「ガスパール素晴らしい宝」って言われるか分かった気がして」


「ですよねっ私もこんな美しい景色初めて見ましたっありがとうございますっイーソン様っベル様」


「ふふふっ気に入ってくれて何よりよ?ね?イーソン」


「ああっ是非っ君達にも見て欲しかったんだっ絶対に気にいるのが分かっていたから」


「ありがとうな?呼んでくれて」


 生前だったら、インスタやTwitterにあげるんだろうが、やはりこう言うモノは、生で見て目に焼き付けるのが一番なのかも知れ無いな。


「私っもっとあの高台のベンチまで行ってみたいです」


 花畑の少し行った所に高台が有り、其処にはポツンと横長の白いベンチが有った。


 周りに何も無いから余計にその白いベンチが雰囲気を醸し出している。


「じゃ…僕がエスコートしましょ?シーア嬢」


 そう言うと、イーソンはまるでダンスを誘うかの様な仕草をしては手を差し伸べる。


 少し頬を赤くしたシーア嬢は、コクンッと頷き二人でベンチまで行ってしまった。


 当然、俺とベル嬢の二人だけって、急にめっちゃ気まずいんですけどっ!?


「ンンッンンッあの…ベル嬢は行かなくて良いんですか?」


「はい。ここに来ればいつでも座れますから」


(そう言う事じゃ無いんですのよっベル嬢!)


「あ…成る程」


(成る程じゃっねぇよっ何が成る程だよっ)


 暫く、沈黙の間、俺は星空を見上げては、何気にベル嬢をチラッと見る。

 彼女も俺と同じ様に、星空を見上げていた。


 その横顔に、不覚にも胸が高鳴った。


 本当に月の女神の様に見えたから、それ位ベル嬢の横顔が綺麗だったんだ。




  ♦︎♢♦︎♢♦︎後書き♢♦︎♢♦︎♢


何かダラダラと書いて申し訳無いです(´༎ຶོρ༎ຶོ`)


次は…なるべく簡潔に書ける様に頑張りますな(*´꒳`*)



ここまでお付き合い頂きありがとうございます(*´∇`*)b

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る