第20話 別荘は想像以上な所でした。その1。

グリフィスまでの道中2時間、俺等は楽しんだ。


 シーア嬢が作った特製ドリンクと、仕事で疲れているのに母さんは今日の日の為に手作りドーナツを作ってくれた。


 冷めても美味しいからと人数分用意してくれたんだ。


 味見をした時…見た目は某有名人気ドーナツ店のオールドファッションみたいな奴だ。


 母さん曰く「これっ今度お店の新商品へと出そうかと思っているの?旅行から帰ったら皆さんの感想を聞かせて頂戴ね?うふっ」


「うふ」って…要するに毒味…いやいや、モニターとして使われたって事だな。


「わあ…エース様のドーナツってお母様の手作りなんですか?」


 俺の手に持っているドーナツを目を輝かせながら見ているシーア嬢に一つあげた。


「あっああ…今度お店の新商品に出すんだそうだ。だから母さんが皆に感想を聞きたいらしい」


「母君の店と言えばクィントンに住んで居る人達なら誰もが知っている有名菓子店だよな。不味い筈が無いさ」


 そう言って俺の手からドーナツを一つ手に取るイーソン。


「…私も一つ頂いて宜しくかしら?メルシエのお店の物は好きなんですの」


 ベル嬢もそう言ってはドーナツをパクッと口にする。


 皆の反応はと言うと「んーっやっぱりメルシエは裏切ら無い味だっ!とても美味しいっ」


 そんな、美味うまそうにドーナツを食っている皆を見ると…やっぱ嬉しいもんだよな。


 ドーナツを堪能した後シーア嬢のドリンクで一息ついた。


(…うまい。これはピーチティなのか?普段飲んでいたのとは違って、これは格別に美味いっ!)


 シーア嬢から、貰ったドリンクを手に俺達は、腹には美味しい菓子やドリンク。

 目には、汽車の窓から流れる美しい、風景をご馳走に満喫していた。


「グリフィス〜っえー…間もなくグリフィス駅に到着致します。皆様。お荷物のお忘れが無い様、もう一度ご確認をーー」と、室内アナウンスが流れて来た。


 さっき迄との景色も随分と変わり、俺達が見て来た。山・川・海の景色が徐々に街並みの景色へと変わって行く。


(とうとう来たんだっグリフィスに)


 まさかっこの世界に来て旅行なんて出来るとも思わなかったからワクワクが止まらないぜっ!


 (って…何処かで聞いた様な台詞だけど…まっいっか!)


 汽車はプシューッ!!と大きな音と共に、駅へと到着した。


「さあっ!着いた。皆行こうか」


 イーソンが皆に下りる様促すと、俺もベル嬢達も荷物を取って、彼の後に続いた。


 駅に着いた途端、クラーク家の人だろうか。


「お嬢様っ!イーソン様っ!」


 そこに、年配のジェントルマンの執事が駆け寄る。彼の名は「アッシュ・モロー」氏。


 なんとなく…覚えてえている。エースが小さい頃、家族でクラーク家の別荘に来た時に世話になった人だ。


 (まあ…覚えていると言うよりこれもエースの記憶だけどね?)


「アッシュも元気そうでなによりだわ!数日間宜しくお願いしますね」


 ベル嬢が、そうアッシュ氏に告げるや否や、当の本人はハンカチを目元に充てると。


「お嬢様も暫く見ない内に御立派になられて…」


「…もうっ皆様が見てらっしゃるのよ?其れにいつ迄もあの頃のままじゃ無いわ」


 フォッフォッと笑っては、我々を馬車まで案内してくれた。


 駅から別荘までは距離が有り、暫く俺達は道中を楽しむ事にした。


 馬車から流れ見える景色は、当たり前だけど…俺達の住んで居る街並みと変わらない。


「見てみて下さいっベル様っ今、可愛いお洋服店が有りました」


「ええっ私も見たわ。落ち着いたら一緒に行きましょか?」


「やった!」と女性二人組は、キャッキャと道中の旅を楽しんでいるみたいで何よりだ。


 イーソンはと言うと…うっこんな所にまで参考書を持って来てんのか?


 さっきから黙って黙々と目を通している。


「イーソン…お前…折角の旅行なんだから、こんな時位、参考書を出すなよ」


「まっ!イーソンったら貴方っやっぱり持って来たのね?だからあんなに荷物が多いんだわ」


 確かに…駅で待ち合わせをした時から気にはなっていた。一人だけ荷物が多いって事に。


「まあ…良いじゃ無いか。向こうに着いたら皆、自由行動位有るだろ?俺はその時の暇潰しに持って来たんだよ」


(暇潰しって…お前…自ら誘っといて其れは無いわぁ〜)


 俺とベル嬢が、ドン引きしてるのに対して一人だけクスクスと笑っているシーア嬢。


「ふふっ。あっごめんなさいっだって…やっぱりイーソン様はイーソン様なんだなぁって思っちゃって」


 何だ?そりゃまあ…確かに折角の休暇だ、好きに過ごしても良いけどね。


 ガラガラッと軽快に馬車は、クラーク家の別荘に近づいて来た。

 ここ迄の道中、不思議と馬車に揺られても腰は痛くは無かった。


 あらかじめ用意していてくれた。高級クッションの、お陰も有るが、何より執事のアッシュ氏の運転が非常に上手だったのも有る。


「わあっ素敵っ!?ベル様っ!あの別荘がそうなんですね?」


 馬車の窓から、ヒョコッと顔を出しては、シーア嬢の声がより一層高くなる。


「ええっそうよ」とベル嬢もシーア嬢に釣られ一緒になって窓から顔を出しては嬉しそうに答えた。


「さあっ!皆様っ着きましたよ」


 アッシュ氏の声が、外から聞こえたと同時に馬車を停め、ドアを開いてくれた。


「皆様っクラーク家の別荘「ガスパール素晴らしい宝」へ。ようこそお越し下さいました」


 いつからか、別荘の前には数人のメイドにアッシュ氏の他の執事の人が待ち構えて居てくれた。


 アッシュ氏が一礼をして、俺達が下りるのを待ってからドアを閉めては屋敷へと案内してをしてくれた。


 俺は、皆の後を着いて行くも、一人足を止め周りの景色に圧倒されていた。


 その、アッシュ氏が言っていた「ガスパール素晴らしい宝」と言っていた意味が分かった気がする。


 街から、離れ丘を登り切り周りの綺麗な、自然に囲まれてその別荘は有った。


 その樹々達も、色とりどりと新緑になっており樹々の根元辺りには綺麗な花が咲き誇っている。


(まるで…映画の世界みたいだ…ってここは小説の世界か)


 別荘の周りには、これも見事なコバルトブルーの海っ海っ海っ!めちゃくちゃ感動だ!


 その美しい、景色に感動していると、イーソンが軽く俺の肩に手を置いては「来て良かったろ?」と笑う。


「でもな?何故この別荘が「ガスパール」って言われいるかは…今夜分かるぜ」


 イーソンはニヤッと意味深な笑みを俺に向けては、ベル嬢達の所に荷物を取りに行った。


「マジかっこれだけでも凄えのにっ?」


 その、イーソンの言葉を期待に俺は今から夜が待ち遠しくてならない。




  ♦︎♢♦︎♢♦︎後書き♢♦︎♢♦︎♢


ああ…。この2・3日色々有り過ぎてダウンしてました_:(´ཀ`」 ∠):


心身共にバタンキュー…_:(´ཀ`」 ∠):


皆様も呉々もお身体を大丈夫にして下さいね?

じゃ無いと私みたになりますぞ?(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)



ここ迄お付き合い頂き本当にありがとうございましたっ!


まだまだ旅は続きますなっ( ̄^ ̄)ゞエッヘンッ

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