第19話 旅行当日。ベル嬢との再会。

兄さんとアリス嬢の事を思うと複雑な心境だったが…。


「気持ちを切り替え無いと…」と思い。


 今日っ!旅行の日がやって来ましたっ!?


 俺達が住んでいる。この「クィントン」と言う名の街の中心部には大きな駅が有る。


 その駅には色んな都市と繋がっており、移動をする時には大体この大きな駅を利用するんだ。


 イーソン達とはその「フェリックス」駅に、朝7時に待ち合わせをしている。


 朝の7時だなんて…平日には考えられ無い時間帯だ。


「休日パワーはスゲェよなっ普段ならエリンに起こされ無いと起きれ無い。俺が誰より早く起きるんだもんって…子供かっ俺!」


 なんて一人ボケツッコミをしていたら。


 辻馬車が駅に到着した。最初クルーズが送ってくれるって言っていたんだけど…何だか悪い様な気がして折角の申し出を断った。


「はい。お客さん着きましたよ」


「ありがとう」と俺は辻馬車の人に代金と少々のチップを渡した。


 最初、俺みたいな若僧からチップを渡されるなんて思わなかったのか…驚いていた表情をしていたが、直ぐに満足そうな顔になっていた。


「良い旅をっ!」


 ガラガラと俺を下ろしては直ぐに馬車は走り去って行く。


「さて…と。確かイーソン達とは7時に待ち合わせだったよな」


 駅の時計を見ると、まだ6時半約束の時間までにはまだ30分も有る。


「ちと早すぎたか…」


 イーソン達が来るまで駅の近くに噴水が有るからそこに座って待つ事にした。


 朝早いから人も少ないだろうな。と思いきゃ。

 流石は連休…結構な人達が駅に向かっている。


 家族連れや若いカップルに俺達みたいな友人同士の人達に…休み関係無くの仕事だろう人。


 そんな人達を眺めていたら…俺の近くで座っていた数人の男性から声が聞こえて来た。


「おっ…おいっ見てみろよっ向こうから来る女の人。めちゃくちゃ綺麗じゃね?」


「うわっ本当だっ!朝からラッキーだよな?俺達」


 なにっ美人だとっ!?俺もつい彼等に釣られ目線を向けたら。其れは…シーア嬢本人だった。


「なんだ…シーア嬢」なんだっとはなんだっ失礼な言い方をしてしまった。


 少し残念な様な…ホッとした様な。ああ…いやこれも良く無い言い方だよな。


「お早うございます。エース様っ随分とお早いのですね?私が一番だと思っていたのに」


「お早うシーア嬢。何だか早くに目が覚めちまって…まるで遠足に行く子供だよな」


「エンソク?」


「ああ…えっと。旅行に行く事」


(ちょっと違うけれどね…)


「はいっ!なら分かりますっ私もエンソクの子供ですっ」


「あはは…そだねぇ」ごめんっ何かが違うよ…シーア嬢。


 俺と合流したシーア嬢と会話をしていたら、先程の男性達が、何やら言っているのが聞こえて来た…オマケに舌打ちまで。


「チッ男いんのかよっ」


「いるだろうなぁ…あんなに可愛い子なんだもんよっ其れに野郎の方もイケメンじゃん」


 ぶつぶつ…と何かを言っている男性達を尻目にシーア嬢は何も気付いていないご様子。


(ふふ〜んっ悪いねキミ達)


 俺を、羨ましそうに見ている。彼等を他所にシーア嬢とイーソン達と待ち合わせの場所まで行く事にした。



 それから約10分過ぎた頃か…保々待ち合わせの時間にピッタリとイーソンと…ベル嬢が来た。


 あの二人は遠くからでも目立つ。道行く人達が皆、二人を振り返ってまで見てるもんな。


「やあっお早う。二人共早いねぇ随分と待たせたなかな?」


「お早うございます。イーソン様っいいえ!大丈夫です」


「…お…お早うございます。ベル嬢」


「………お早うございます。エース様」


 うっまだお互いギクシャクしてしまう。それはしょうが無いか。


「なんだ?二人共どうかしたのか?変だぞ?」


 余りにもギクシャクしてる、俺達に気付いたのかイーソンが何かあったのか?と聞いて来た。


『べっ別にっイーソンが気にする程じゃ無い「よっ」「わっ」』…見事なまでにハモった。


(恥ずかしいーっ何だか分からないけれど恥ずかしいっ)


 ベル嬢も、俺と同じく恥ずかしいと思ったのか、これも又お互い顔を赤くしてしまった。


 これが生前ならば、普通に「お前っ俺とハモんなよなぁ」とツッコミを入れては笑う所なんだけど…ベル嬢相手には言えねぇ。


「あの…ベル・クラーク様でいらっしゃいますよね?」


「はい。貴方はイーソンやエース様と同じクラスのシーア・マルタン様ね?」


「はいっ嬉しいっ以前から貴方様の事を存じ上げていましたっ今回お招きありがとうございます」


「いいえっ私の方こそ…貴方達とご一緒させて頂きありがとうございます。イーソンからシーア様の事をお聞きしていますわ。大学一綺麗な方だって…本当にお綺麗で羨ましい」


 そんなっ!と慌ててベル嬢の褒め言葉に謙遜するシーア嬢…良かった何だか気が合いそうな二人だ。


「さっそろそろ出発の時間だっ皆急ごっ」


 イーソンの掛け声で、皆クラーク家の別荘が有る「グリフィス」都市行きの汽車へと乗り込む。


 イーソンが我々に用意してくれていた、指定席に荷物を収めると其々に席に着く。


 この発車するまでの時間が、俺は子供の頃から妙に興奮するんだよなっ!


 なんつうの?テンションが上がるんだよ。


 汽車は発車の合図の汽笛を小さめに鳴らしてガタンッとゆっくり走り出した。


(クゥッ来た来た来たきたぁっ!ヤバイッ発車しただけなのに感動で泣きそうなんだがっ)


 皆に気づかれ無い様…咳払いなぞしては誤魔化し鼻をすすった。


 でも…其れはどうやら俺だけじゃ無いみたいで、暫く他の皆も各々に感動しているのか、誰も一言も発し無いまま流れ行く景色を見ていた。


 イーソンの話しだと、ここから「グリフィス」までは2時間ちょっと…其れまで皆と景色を堪能させて貰う事にしょう。


 皆で良い旅行の思い出が出来ると良いな。




  ♦︎♢♦︎♢♦︎♢後書き♦︎♢♦︎♢♦︎


私は汽車には乗った事が無いのですが…その他の乗り物では興奮度MAXですな(*≧∀≦*)


特に小学生の頃の遠足のバスでは少し動いただけで興奮しましたっW(`0`)Wヒョーッ


皆様は無かったですかな?


ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました(*´꒳`*)


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