第18話 兄さんのベル嬢に対する気持ちって?
その日の夕方屋敷に戻り、俺は明後日に控えている旅行の準備をした。
実は…何だかかんだ言いながら旅行が楽しみだったりしてっ。
生前は、バイト代を貯めては、連れ等と遊びに出掛けていたもんだったから。
(懐かしいよなぁ〜)
ふんふんと呑気に鼻歌まで出てしまう程だ。
「エース様ったらっ余程楽しみなのですね?良いなぁ。クラーク家所有の別荘だったら、きっと素敵な所ですよ」
俺の旅行の手伝いをしていた、エリンが羨ましくなるのも無理は無い。
クラーク家が、所有している別荘と言えば、他の公爵家達もが、絶賛する程の絶景の場所なのだからって言っても実際俺も初めてだけどね。
「この際エリンも休みを取って、実家に帰りなよ?で、久々に友人達と会って来ると良いさ」
俺の提案に、一瞬顔を輝かせたエリンだったが、荷造りの手を止めては、直ぐに溜め息を吐いた。
「お気持ちは嬉しいのですが…私だけ休暇を取る訳には参りません」
あっ…そっか…幾ら俺の専属メイドとは言え、メイド長では無いから勝手には決められ無いのか。
折角の大型連休なのに…他のメイド達もきっと休暇が欲しいに違い無い。
(…と、なれば…ふむ)
「よしっならばローテーションで休みを取ると良いよ?その事はメイド長と執事のクルーズには俺から話しておくからさ?」
「ろ…ろーてぃ…なんですか?」
「ローテーションッつまりは皆と交代で休むんだよ。それだったら問題は無いだろ?」
溜め息を吐いていた、エリンが再び頬を赤くしては、まるで幼い子供の様に喜んでくれた。
「そっそれなら私嬉しいです。ありがとうございますエース様」
「良いんだよ。エリンも休暇を楽しんでおいで」
はいっと一言元気に返事をしては、俺の荷造りの手伝いを再開し始める。
その時、俺の部屋にノックをしては入ってくる兄が何処と無く不機嫌だった。
「にっ兄さんっお帰りなさい」
「お帰りなさいませっカリム様」
「うむ」と不機嫌な返事をしてはベッドの上にギシッ…っと座り込む。
この異様な空気にエリンも勘づいたのか、怱々そそくさと、私…お食事の用意が有りますのでっと言っては俺と兄さんの二人っきりにさせた。
(エリンの奴…逃げやがったな!)
暫く…重い沈黙を先に打破したのは…やはり俺の方だった。
「兄さん、どうかしたのですか?何だか不機嫌みたいですけど」
ギロ…ッと俺の方を見ては、また暫くダンマリを決める兄。
(んだよっめんどくせぇなあ…言いたい事がありゃ言えっつーの)
などと、とてもじゃ無いけど口には出せ無い。もし出したら兄さんの事だ。
即、木刀でフルボッコになるのは目に見えてる。そこまで命知らずな俺じゃ無いぜ。
「…ど」
「はっ?」
「…今度…イーソン殿達と別荘に行くんだってな?」
ああ…っその事ね?何?兄さんも行きたいの?なんて死んでも言えないってば。
「そうですが。どうかされましたか」
「アリス嬢…いやっベル嬢達も行くのか?」
「はい…。いえっでも今回はベル嬢だけだと聞いております」
「…ならばアリス嬢は行かないのか?」
兄さんの問い掛けにアリス嬢が体調を崩して、安静の為外出禁止だと言う事を告げた。
その時、アリス嬢の体調が悪いと言った途端兄さんの眉がピクッと動いた。
「アリス嬢の体調が悪いのかっ?」
「あっでもっイーソンの話しだと熱は大した事は無いみたいです」
アリス嬢が大した事が無いと知ると、兄さんは先程ベッドから立ち上がっては、「そうか」と安心したかの様に、また座り直した。
(…兄さん。やはりアリス嬢の事が気になるのか)
「兄さん…お話しって?」
「あっ…いやっ別荘に行くなら、気をつけて行って来い。連休中だからってハメを外し過ぎるなよ?お前は「リチャードソン」家の人間だと言う事を忘れるな」
「はい。十分に承知しております」
「なら良い。話しはそれだけだ」
そう言っては、邪魔をしたなっと言って部屋から出て行こうとした兄さんだが…扉の前でピタッと足を止めた。
(なんだ?まだ何かあんのか?)
「……エース」
「はい」
「向こうに行ったら…土産に激辛ポテトの菓子を買って来てくれ…三袋ほど」
(…アンタって人は…)
「はいはい。分かりました。三袋でも五袋でも買って来ますよ」
いいなっ絶対だぞっとその捨て台詞を言って今度こそ部屋を後にした。
「ったく!兄さんはガキかよっまあ…皆が浮かれている中仕事だもんな?それ位はしてやるか」
に、しても兄さんは無意識なのか…先程の会話から「アリス嬢」の名前しか出しては来なかった。
兄さんが不機嫌だったのも…もしかして、俺達だけで旅行に行くのか気に食わ無かったのか?
その中にアリス嬢が含まれていると信じきっていたんだな。
現に彼女が行かないって聞いた途端に、普通に戻ったもん。
これは俺の思い過ごしなんかじゃ無い。
兄さん…ベル嬢の事をどう思っているんだ?自分の気持ちより両家を優先したってのか?
じゃ…ベル嬢の気持ちは?
彼女は両家じゃ無く兄さん本人だから許婚を承諾したはずだぞ。
♦︎♢♦︎♢♦︎後書き♢♦︎♢♦︎♢
ふっ…旅行前だと言うのに、エースの気持ちは複雑みたいです_(:3 」∠)_
ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました(*´꒳`*)b
※フロアー本当に感謝ですっ励みになりますな(>人<;)アリガタヤッ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます