第17話  兎に角旅行だっ!旅行に行こうっ!?

食堂の件から、なぜか俺とイーソンにシーア嬢のこの三人で良く連む様になった。


 つーより…シーア嬢が懐いてしまった。


 側からは羨ましがられて居たみたいだけど…。


 イーソンは女性陣からは人気で勿論シーア嬢は学院一美人さん。

 でも俺は自覚は無いがイーソンからは、どうやらイケメンらしい。


 そんな三人が、別の授業取っていない日以外は常に一緒だった。


 シーア嬢も意外に俺達の話しと気が合うみたいで、彼女曰く。


「勿論っ女性の方達の友人は居ますけど…話しが合わなくて…だって…あの方達って常に誰かの噂話しかし無いんですもの?何だかつまらないんです」


 だから俺達と居る方が楽しいんだとか。


 其れも意外って言えば意外だった…俺のイメージではシーア嬢位の美人なら言葉は悪いが、取り巻きを二・三人従っては噂話に華を咲かせてると思っていたから。


 これは…どれも姉貴の小説の影響だけどね?


「でも…俺達と居て何か言われたりはしないかい?」


 そこでイーソンは優しくシーア嬢に問う。


 イーソンの問い掛けにシーア嬢は、んー…。と人差し指を顎の下に充て、考えてはいたけど、すぐにニッコリと微笑んではイーソンの問い掛けは愚問だと答える。


「だってっ私が好きで居てるんですもの?もし誰かに何かを言われも気にはしませんわ?…それともご迷惑でしたか?」


 彼女の無邪気と言うのか…何と言うか「居て当たり前」の答えにイーソンも俺も嬉しかった。


「あははっシーア嬢が良いなら俺達は構わないよ?な?イーソン」


「そうだな。シーア嬢と居ると楽しいからね」


「良かったです。内心ビクビクしてましたのよ?本当はご迷惑なんじゃ無いかって」


『そんな事無いさ』俺達二人はハモった事で、シーア嬢も嬉しそうに笑う。


 そんな彼女を見ては、ベル嬢もいつかはこんな風に笑ってくれるのだろうか…。


(…ベル嬢…)


「何か仰いました?エース様」


「あっ…いや?なにも?」


 そうですか?と、ふふふと笑ってはイーソンの下に駆け寄って行く。


 まるでアリス嬢みたいにコロコロと表情が豊かな人だな。シーア嬢って。


 クラーク家が所有する別荘に行く日が近づいて来たある日。


 イーソンから別荘に行くのはベル嬢だけだと聞かされた。


「実はアリス昨日から熱を出したんだ…どうやらここん所「淑女」の勉強で無理がたたったらしい…」


「アリス嬢が?大丈夫なのか?」


「ああ…熱は大した事は無いんだが、普段風邪を引いても食欲だけはある人なのに…果物も受け付け無いらしい」


 ええっ!お茶会でケーキを二個ペロリと平らげて、母さんが作ったクッキーもモキュモキュと食っていたっ!?あのアリス嬢が…食欲が無いだ…と。


「それは一大事」


「だろ?だから安静の為に暫く外出は禁止なんだそうだ」


 それで、ベル嬢だけが来るのか…。


「でも、良くベル嬢も来る気になったな?姉が行かないなら彼女も断るかと思ったよ」


 ふむ…とイーソンは頷き彼自身もそう思ったのだが、アリス嬢が俺達に気を遣い。せめて妹だけでもっと言ってくれたらしい。


 最初ベル嬢は「ええっ!?なぜっ私だけ?ならばイーソンだけ行けば宜しいのじゃ無くて?」と嫌がってはいたんだけど…。


 アリス嬢が「貴方が行かなければっイーソンだって気を使うわ?其れに人数だって多いが良い方に決まってる」と苦言したんだと。


 そんなアリス嬢に妹のベル嬢も何も言えなくなったみたいだ。


 幸い…兄さんも隊長の仕事が有るから、この連休は休みが取れ無いみたいだし。


 部隊は何も王宮だけを護る事だけが仕事じゃ無い。


 こう言った世間が、大型連休がある日には、街の警護にも借り出されるって言っていた。


 他所からの、観光客と地元民とのトラブルが、相次いで多くなるから…。その回避の為でも有るって。


 その、会えない寂しさを埋める為にも、敢えて、アリス嬢はベル嬢に気分転換をさせたかったんだろうなあ。


 イーソンと食堂でこんな話しをしていたら、シーア嬢が昼飯を持って俺等の席に座った。


「二人で何のご相談ですの?」


「うん。相談と言うより別荘にアリスが体調崩して行けなくなってしまった事を話していたんだ」


「まあっ!?それで?」


「それでベルだけが来る事になったんだ」


「そうですの…アリス嬢お気の毒ですわね」


 俺の気のせいだととか…思い過ごしだとかで良いんだけど…。


 シーア嬢の口角が少し片方だけ嫌な上げ方をした様な気がした。


(…俺の気のせいだよな?)


 シーア嬢はこの前俺が言っていた。ビーフシチューを頼んだのか。

 カチャカチャと軽快な音を立てては美味そうにシチューをほうばる。


「シーア嬢。シチューを頼んだんだね?どう?美味いだろ?」


「はいっとってもっ!実は前々から頼んでみたいと思っていましたから…其れにエース様が勧めて頂いたのも有るし」


「本当に美味そうに食うよね。見ていて気持ちが良い位だよ」


 イーソンも俺と思っていた事は一緒だったみたいで彼女の食べっぷりに感心していた。


 男と言う者は女性が美味しく食べているのを見るのは嫌いじゃ無いみたいだ。


 其れからと言う物アレやコレやで気がつけば、いつの間か「クラーク家」が所有している。別荘に行く日が明後日へとなっていた。


 誰しもが旅行に行くのは楽しみにしているのは確かだ。


 俺としては…取り敢えずベル嬢への謝罪が先決。


 後は何事も無く無事に旅行が楽しい思い出になる事を祈るのみっ!!




  ♦︎♢♦︎♢♦︎♢後書き♢♦︎♢♦︎♢


ここまでお付き合い頂き本当に本当にありがとうございますぞ(*´꒳`*)ノ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る