第11話 クラーク家のパーティー。その2。またもややっちまった感丸出しです。

 ザワザワと俺達の周りの来客の人達が、騒めき出した。


(まっまさかっこれは俺とイーソンが如何いかがわしい関係だったと言う噂話しではっ!?)


 俺は、これ以上誤解をされたく無い一心で慌ててイーソンから離れてはいい訳をするつもりだった…が。


「ご会場の皆様方。クラーク家御息女。アリス様・ベル様のご来場です。両扉の方をご覧下さい」


 会場が一瞬暗転したかと思うと、両扉の方に照明が照らされ、いつの間に入って来て居たのか…カーテシーをしたままの双子姉妹が会場の来客の人達に向かって。


『皆様っお忙しい中、ようこそお越し下さいました』


 そうまるで、二人で練習をしたかの様に、見事にハモっての挨拶を述べては入場する。


(…なんだろぅ。妙にツボるんだが?)


 決してあの二人は、笑いを取りにやっているのでは無いと分かっている。至って真剣なのも分かる。

 こらこらっ相手に失礼だろうがっ礼儀正しく挨拶をしている二人に対し「笑いを取りに来た」なんて思う程。俺は空気を読めない奴じゃ無いだろ?


 そんな俺の思いとは、正反対に会場は、本人達を見ては盛り上がり興奮気味だった。

 中には「綺麗だ」とか「可憐だ」とかの褒め言葉が飛び交っている。


 姉のアリス・クラーク嬢は、春の妖精をイメージしたかの様な淡いパステルピンクのドレスに。

 妹のベル・クラーク嬢は姉とは正反対の月の女神をイメージした濃いパープルドレス。


 正に妖精のお姫様に月の女神様って感じだな。


 俺の斜め後ろに立って居た、ジェントルマン風の爺さんでさえ。


「フォッフォっ本当にお美しくなられたわい。ワシが後、三十歳若かったら求婚を申し込んでいた…ッイタイッ!」


(イタ…?)


「…アナタァ」「はははっ冗談だよ…アイタタ」


 はは〜ん?成る程…隣の奥方に何処かつねられたんだな?


 と、思えば、俺の前にいる若い女性二人組がヒソヒソと何かを言っている。

 声のトーンからして、陰口だと直ぐに分かった。


「…何あれ。如何にも男性の注目を浴びに来てるじゃ無い」


「そうよね?特に妹の方なんかは…胸元強調し過ぎよっ何よりあの口元のホクロがいやらしく下品に見えわ」


「そうよっきっとあの下品なホクロで、他の男性達と同様にカリム様をたぶらかしたんだわっ!おおっいやらしい…っ」


「ねぇーっ」二人を自分達より蔑さげすむ言い方をしてはクスクス嫌やな笑い方をしている。流石にカチンと来るな。


「ウォホンッ」と二人の後ろで咳払いをすると、驚いたのか二人は同時に両肩をビクッと上げてはこちらを見る。


「あっああ貴方様はっエース・リチャードソン様っ」


(ん?なんだ?俺の事知ってんのか?俺はあんた達の事知らないけど)


 若い女性二人組は、俺がリチャードソンだと分かった途端に、急に罰が悪くなったのか黙ってしまった。


「折角の楽しいパーティーを綺麗な淑女様達で台無しにされたくはありません。ですからその様なお話しは…場所を弁えて下さいませんか?」


 ニッコリと二人の女性に笑顔を見せると、頬を赤らめては、そそくさと人混みに消えて行った。


(フンッ言われて恥ずかしくなるんだったら、最初から言うなつーの)


 でも…案外俺もちょっとは名が知れていたんだな?

 …まあ。兄の弟だし?名前位は知れ渡っているんだろうと呑気な事を考えていた。


「流石はエース様々だな?イケメンって良いよな?微笑むだけで相手の女性達を黙らされるんだから」


 先程からソファーに座っていた、イーソンが一部始終見ていたのか。

 ニヤニヤしながら俺に対してお褒めの言葉を掛けて来た。


「俺がイケメン?なアホな。お前や兄さんなら分かるがな?それにあの人達だって…自分達の言動を指摘されたから恥ずかしくなっんだろ」


 イーソンはキョトンとした顔をしたかと思うと後頭部をかいては、はあー…分かって無いねぇっと溜め息を吐いた。


「そりゃカリム殿はイケメンなのは認めるけど…正直弟のお前の方がイケメンだと思うぞ」


 ニヤッと口角を上げては、他の来客の人達に挨拶して来るわ。と、片手を上げて行ってしまった。


「…んだよ。あいつ」


 俺がイケメン?確かに…自分の部屋の鏡を良く見た事が無い、髪を整える位しかな。

 だって…確かに顔は洋風だけど、中身は「如月 尊」生粋の日本人だもん。

 違和感しか無かったから、余り必要以上に見た事が無かった。だからイケメンとは無縁だとも思っていた位だ。


 そう言えば、以前にあの兄さんからこんな事言われた事も有ったっけ?


「お前は…黙っていたら良い男なのにもったいない」


 あれは俺を、からかっているのだとばかり思っていた。

 いやっ兄に対しては絶対からかっているとしか思えねぇっしかも黙っていたらってなんだよ。


「おっと!そんな事よりっベル嬢だっ!」


 そうだっ今日はベル嬢が兄に贈り物を渡す大事な日!


 実は兄は甘い物が苦手とは知らずに!


 兄とベル嬢を、人混みの中を掻き分けながら探していたら、目の前に両扉のバルコニーの前に出た。


 そのバルコニーの扉は白いバラの飾りで囲っていては今宵の美しい銀光を放つ満月の夜にピッタリだった。


「…兄さん達は…」


 居たっ!二人の影を見つけた瞬間俺は、バルコニーに有る大きな白い柱のかげに隠れた。

 丁度、良い感じに人が入る位の隙間に、大の大人が余裕で隠れる位の太さだ。


 ここからは、二人からは少し離れて、何を言っているのかは良く聞こえ無いが…。

 この満天の星空に銀光の月明かりが良い雰囲気を作って居るのは確かだ。


「クゥッここじゃ何を言っているか分かんねぇ」


 暫く、二人の様子を盗み見…観さ…見守っていたら。ベル嬢が何やら小さな小包を兄に渡しているのが分かった。


(とうとう、ベル嬢勝負に出たかっ!)


 ベル嬢に贈り物を貰った兄は、まさかのサプライズに戸惑ってはいたが、直ぐに笑顔になりベル嬢に何かを言っている風にも見えた。


(良かったぁ!うんうんっ取り敢えず兄が受け取ってくれただけでも安心したわ)


 俺が何故ここ迄、兄とベル嬢の事を気に掛けたと言うと…そもそも俺の軽はずみな言動でベル嬢に誤解を生じ。

 兄が苦手な甘い物へのプレゼントを渡す事によって、兄が不機嫌にならないか心配だったんだよな。


 兄の事だから、ベル嬢にキツイ言い方をした上に贈り物を突き返す様な事をし無い。とは思ってはいが。万が一ってのがあった。


 だか、今のあの二人の雰囲気を見た所。俺の取り越し苦労だったみたいだな。


「良かった…」


 俺は安堵から柱に背中をもたれては、そのままズルズルと滑り床に座った。


「……何が良かったんだ?」


「何がって?そりゃ兄さんとベル…」


 ハッ!と我に帰り恐る恐る声のする方に振り向くと、そこにはダークオーラを纏った兄が静かに俺を見下ろしていた。




  ♦︎♢♦︎♢♦︎後書き♢♦︎♢♦︎♢


長々と中身の無いパーティー話しにお付き合い頂きありがとうございました(>人<;)


まだまだ、中身の無いお話しは続くよ何処までも…_:(´ཀ`」 ∠):チーン。


ここ迄お付き合い頂き本当にありがとうございました(*´꒳`*)b

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