第10話 クラーク家のパーティー。その1。兄と俺とイーソン。

 クラーク家…とうとうやって来ました。


「リチャードソン家御子息様方がいらっしゃいました」


 兄と俺はクラーク家の執事にパーティー会場でも有る。大広間に案内された。


 以前…クラーク家の家紋が入った招待状には「細やかなパーティーを開きたく存じます」と書かれてはいたが。


 (これの何処が細やかななんだよっ!?)


 大広間には、何処からどう見てもお偉いさん達で埋め尽くされており。オバ様…ンンッ失礼っご婦人達に至ってはこれ見よがし等に全身を着飾っている。


(もはや歩く洋服タンスだな?)


 その中でも、数人俺達と然程、歳が違わない若い人達も混じっていた。

 この中に「将来の伴侶」になるかも知れ無いと思い。娘を連れて来ているんだな?

 息子が居る所は将来の出世絡みか?まあ…パーティーなんてそんなモンだろ?知らんけど。


 つっても、実際、俺自身がパーティーとやらは初めてだ。

 生前こんな世界なんて、無縁の世界だったし?映画か…テレビでたまにやる週末のサスペンスドラマでしか見た事が無かったからな。


 俺がもし令嬢だったらキラキラの綺麗なドレスを着ては「うふふっ私の運命の殿方は何処かしら?」なんて心弾ませるんだろうけど…。想像もしたくもねぇ。


 今はそれよりっどうにかあのベル嬢が兄に渡すであろう贈り物が無事に兄の懐に…いやいや、手元に渡る迄は生きた心地がしねぇ。


「…どうした?エースさっきから黙っているが…気分でも悪いのか?」


 俺が、この光景に圧倒されているのを兄は気分が優れ無いと勘違いしたのか、心配…?そうに声を掛けて来た。


「いいえっ大丈夫です。少しこの煌びやか光景に戸惑ってしまって」


「ふっ…可笑しな事を言う奴だな?家族の中で一番賑やかな事が好きなお前なのに、パーティーなぞはお前が手馴れているだろ」


(はっ?いやいやいやっ!知らねぇよっそんな細かいディテールなんてっ)


 姉貴のネーム最初の方、走り読みしたからなぁ…見落としていたのかも。


 俺と兄はボーイが持って来た、アルコール度が保々0に近いシャンパンを、貰っては呑んでいた。


(おっうんまっこれっ!酒なんて余り呑めない俺でも呑めるわ)


「ふむ…口の中に広がる程よい甘さの中に葡萄の甘みと酸味が良い感じに演出しているな。悪くは無い」


(グルメ評論家かよっしかも甘みを2回言っちゃってるし)


 自分のグルレポに満足しているのか、ドヤ顔の兄の顔が…少し可愛いと思っちまった自分がキモい。


「こんばんは。カリム殿にエース」


 俺と兄さんがシャンパンを堪能していると、イーソンがこちらに向かって来た。


「やあ…こんばんはイーソン殿」


 白いスーツに、クラーク家の紋章入りのタイピンを付けては爽やかな笑顔を見せるイーソン。


「こんばんは。イーソン」


「そう言えば、エース。結局あの事ベルには言ったのか?それとお土産のチーズケーキ皆で頂いたよ美味かった。ありがとうな」


「……ベル?土産?…あの事?」


「ばっっっ!?んななっ何言ってんだよっ!俺がベル嬢に用が有る訳ねぇだろっ?もしかしてもう酔ってんのか?」


 コイツッ…!!爽やかな笑顔で何言い出すんだっ!俺は慌ててイーソンの脛を蹴ってしまう。


「ってぇっ!!!」


 余りの痛さに床にしゃがみ込むイーソンを引っ張り上げてはその場から…兄から離れる。だって…兄のダークオーラが俺の背中に突き刺さっているんだもんよっ!


「にっ兄さんっこのイーソンは少し酔っているみたいなので彼方のソファーで休ませて来ますねっ?」


 えへっとダークオーラの兄に笑顔を向けた瞬間。俺が見たのは…魔王だった。


(恐い恐いっ殺されるっ殺されるっ殺される)


「……エースーー」


「じゃっ!」と片手を兄にビシッと向けもう片方にイーソンを抱える様にその場から逃げた。


 兄は何か…尋問をした…いや言いたそうだったが、俺は逃げるっひたすら兄の目の届か無い場所へ避難しなくてはっ!


 ドサッとイーソンをソファーに座らせ、ググッと彼に迫る。

 ソファーの真後ろに有る壁に手を押し当ててはイーソンの顔近くまで自分の顔を近づけイーソンを上から目線で問う。


「…お前なぁ…時と場所を選べやっ!俺が止めなきゃお前とんでも無い事を最後まで口走る所だったろ?」


「だって…てっきり知っているもんだとばかーー」


「シャラープッ!お黙んなさいっ!!」


「言える訳ねぇっつーのっお前とアリス嬢の話しを聞いた以上言えねぇわ」


「…じゃカリム殿には?」


「とっくに言えたら苦労しねぇつーの」


「だって…んな事まで俺知らないし?」


 と、俺に問い詰められている、イーソンは、ムウッと口を尖らしてはそっぽを向いた。


(女子かよっ腹立つわぁ…その顔!そん口もぎ取ってやろか)


「うっ…其れは確かにっイーソンの仰る通りで」


「其れに?いきなり脛蹴られて超痛かったし?」


「うっ…其れも…申し訳無い。俺も咄嗟とは言え…ごめん」


「其れに…」


「まだあんのかよっ!」


 イーソンは、俺の背後に目を向けては、耳打ちをする。


「…さっきから…お前…俺に迫っている光景にみえるぞ?周りの人達の痛い程の熱い視線を感じ無いのか?」


 はっ?俺が?お前に?迫って…?俺も幾ら咄嗟とは言え…自分がイーソンにしている光景に度肝を抜かれた。


 確かにっ!周りから見れば壁ドンをして至近距離での、俺とイーソンッ!


 その光景を目の当たりにしてはドン引きの人達&興味津々での視線。そしてそして顔面蒼白+滝の如く汗が全細胞から溢れ流れている俺。


「はぁあぁあっ!?もっと早く言えバカイーソンッ!」


 と、会場にイーソンへの腹パンの音が鳴り響いたのは言うまでも無い。




  ♦︎♢♦︎♢♦︎後書き♢♦︎♢♦︎♢


ごめんなさいっ!!ただ…パーチィの話しを書きたかっただけなんです(>人<;)

でもっ!性懲りも無くパーティー話し続きます_:(´ཀ`」 ∠):


ここ迄お付き合い頂き本当にありがとうございました(>人<;)

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