第3話 我が家族はパーフェクト過ぎます。
姉貴のネームによると元々、俺と兄のリチャードソン公爵家つーの?は、王宮を護る騎士団長を勤めて来た代々由緒正しいお家柄みたいで?
公爵家の中でも、指折りに入る名家だった。
その中でも、これも又由緒正しいお家柄のベル嬢達のクラーク公爵家とは、爺さん同士が仲が良かった為。
「フォッフォッお互い男女の孫が出来たら結婚させよう」などなど。
まるで居酒屋で出来上がった酔っ払いの会話みたいな嘘の様な本当の話しが、今もなお継続中である。
…姉貴。居酒屋で他所の親父達の会話を盗み聞きしたな?
其れで、これはっネタになるっ!とでも思ったのか。
(…まあ。あの姉貴の考えそうな事だな)
どうせ生ビールを片手にガハハ笑いをしながら、このネタ頂きぃ〜なんてメモ用紙に書いていたのが想像できるぜ。
おっと…これは補足だけど、確か俺は、学校に通っているはず。
立派な公爵になる為、大学に通ってるんだったよな。
なんだよっ…こっちに来てもまだ学校に通うのか。
この憑依したエースの記憶と、姉貴のネームを読んでいたお掛けで、ある程度の生活には何の問題無く過ごせそうだけど。
なんせ「未完成」なままの作品だから、当然、未来なんて物は分からない。
どっちにしても、バッドになるかハッピーになるかは俺次第って事で良いんだよな?
そんな一人回想シーン含めアレやコレやと考えていたら、俺の部屋をノックもままら無いで入って来る。
「カ…カリム兄さんっ一体どうしたんですか?」
「ん?なんだ?俺が部屋に入って来たら不味いのか?」
「いっいえ!そんな事は…急に入って来たから少し驚いただけです」
「驚く?変な事言う奴だな?ちゃんとノックしただろ?」
(あれがした内に入るのかよっ!しかも人の返事も聞かずにっ)
「……なんだっ俺が入って来て迷惑ならそう言えば良いだろ?」
(うっ…不味い…兄さんの機嫌が悪くなって来ている)
この人はっ!自分の言動と行動は別なのか、また何処から出したのか分からない木刀らしき物を俺に向かって構える。
「にっ兄さんっ!待った待ったっ!ちょっとっ何故っ物騒な物を持ち構えているんですっ!!」
「…お前に食事だと言う事をわざわざ呼びに来てやった兄を邪険にするから」
「ふつーにっっ!!普通に教えて下さいっ!しかもっ邪険になんてして無いしっ!」
「…そうか」
と、兄は何処と無く少し残念そうに木刀を締まった。
(てか、何故っ残念がるっ?めちゃくちゃ危ない奴じゃんっコイツッ!)
危険な兄に呼ばれて、食堂に入るとそこには両親が既に席に着いていた。
「おおっエース来たか、さっ早く席に着いて食事にしょう」
「本当にカリムはエースの事が大好きなのねぇ。わざわざ自ら呼びに行くなんてっお母さんは嬉しいわ」
ニコニコと爽やかな笑顔の父親に、兄の弟への気遣いにホロホロハンカチを目に充てては目頭を拭く母親。
「そんな…大した事では有りません」
そして、両親の前で少し顔を赤らめる…やはり危ない兄。
(おぃいぃいっ両親の前だと、ネコ被ってんの?ありえないわぁ)
こんな変わっ…いやっおかしな…此れも違う…兎に角っ良い家族だと言う事が分かった。
父親は、現役バリバリの騎士団を務めている、確か…騎士団長だっけ?
普通に凄ぇわっ!団長って言ったらアレでしょ?
隊長クラスのトップでしょ?いやっすげぇよ。兄が隊長って事だけでも、すげぇのに。
母親は、母親でお菓子作りの趣味が高じて、今や街に「メルシエ」と言う超人気スイーツのお店を出している位だ。
「メルシエ」の名前の由来は、母親の旧姓だそう。母親はそこのオーナー。
そう思えば…俺以外の家族って凄え。
其れに引き換え、俺は何が得意なんだろ?姉貴のネームには、エースの事を余り書いていなかった気がする。
(ハッ!!まさかっ!語り部だけの存在なのかっ?あはは…いやいやっそんな馬鹿なっ…でも)
俺は、自分でも気付かない内に、ブツブツと独り言を言っていた様で、その独り言に一早く気付いたのは、他でも無い兄だった。
「…どうかしたか?エース。何かに取り憑かれでもしたのか?」
兄の言葉に、口に含んでいたステーキを噛まずに飲み込んでしまった。
飲み込んだ瞬間、某国民的アニメのEDみたいに「フンガックック」って声が出ちまったよっ!!
「グフッゲホッ…」
「まあっっ大変っ大丈夫っ!ほらっエースお茶を飲みなさい」
「あっ…ゲホッゲホッありがとう…ゲホッございますお母さん」
一瞬焦ったっ!確かに兄の言葉は間違いでは無いっ。
エースがっじゃ無く…俺がエースに憑依したのには間違い無いからな!
兄もまさか俺が喉を詰まらすとは思わなかったんだろう、焦った顔を見せた物の。
俺が、大事に至らなかったのを安心したのか、いつものポーカーフェスに戻ったっと言うより「無」の顔に戻った。いやっ早すぎんだろっ!!
…ただ、少し違うのは…さっきの俺の喉に詰まった時あの「フンガックック」の声にハマったのか。
口の口角を上げては、笑いたいのを我慢しているのが…分かるっ!
だってさ?兄の顔真っ赤なんだもんよ?
其れに、両肩が震えているし?笑いたきゃ笑えよっ!逆にこえーわっ!
それは両親も同じだったみたいで、兄の挙動不審と言ってもおかしく無い位の表情に、戸惑っていたのだが…普段から見せない表情に両親は嬉しくなったのか、二人して声を出して笑い出した。
兄も我慢しきれなくなり、とうとう声を出しては爆笑する始末。
(コイツもしかして笑い上戸なんじゃね?)
一家団欒と言って良いのか分かんないけど、なんとか、食事を終えた食後のティータイムへと移った。
食後のデザートは、母親自ら作ったイチゴ果汁が、惜しみなく贅沢にも使われている。
イチゴのモンブランとダージリンティ。
テーブルに用意されただけなのに、部屋中に広がる甘酸っぱい香りがなんとも良い演出をしてくれている。
母親曰く「次のお店に出そう思っている新作なの!是非食べて感想を聞かせて頂戴?」
早速、モンブランのクリームの部分に、スプーンを入れてみると中からイチゴのソースが流れて来た。
(こっこれはっ!中々どうしてっ…すげぇ美味そうっ)
次は、クリームの受け皿の役割をしている、クッキーも一口…うっ美味い。
俺が生きていた所なら、絶対にバズるだろな!女子達が喜びそうな可愛いフォルム。
俺だって…スマホでTwitterに上げていたかも知れねぇ。
一口食べると、まんまのイチゴじゃんっクリームも、全然くどく無くどちらかと言うと見た目よりあっさりしていて…って何独り言グルレポしてんだ…俺。
「…どう?」
母親以外、俺含め黙々と食べる、誰一人何も言わない。と言うより良く見たら父親も兄も目を瞑りながらケーキを堪能してる?
父親に至っては、薄ら涙を浮かべているよ。
多分…各々、俺と一緒で、頭の中でグルレポしているに違い無い。
「…不味いのね?」
そのしゅんっとした母親の言葉に、父親も兄も我に帰ったのか、慌ててフォローする。
「まさかっすっごく美味しく出来ているよ!ビアンカまた腕を上げたんじゃ無いか?」
「そうですよっお母さん此れなら大ヒット間違い無いです。ねっ?兄さん」
俺の問い掛けに、兄も静かに親指を立てては、母親にグッチョブのサインを送っていた。
いや…たがら何か一言言ってやりなよ。
♢♦︎♢♦︎♢後書き♦︎♢♦︎♢♦︎
ここまでお付き合い下さりありがとうございました(*´꒳`*)
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