一話完結の短編にも関わらず、一話ごとに物語を読み終えたあとの、この爽快感は何だろう…!
異世界恋愛に数多見られる「婚約破棄」。
数多くの作品に触れてきたけれど、貴族社会の現実に置き換えてみれば理不尽極まりなく、不自然で「常軌を逸している」。
この三作を読むことで、それがいかに顕著であるかを思い知らされた。
まず、この作者様の力量は作品をただの「婚約破棄もの」にとどまらせない。
綿密に練られた設定と、読み手に違和感を一切感じさせない人物の心情推移の自然さ、そして確かな現実味がある。
こんなにも、自然な流れによって進められる婚約破棄があったろうか。
そして何よりも、結末に至るまでの数々の驚きに満ちている。
予想と想像を覆す文字通り「あっと驚く!」結末が読者を待ち受けているのだ。
他作品が書籍化されているという作者様の力量をここに感じていただきたい。
婚約破棄ものを書き始めた人はもちろん、書き慣れた人にも是非読んでもらいたいと思う。