五月病

かえで

第1話

たった今明確にわかった。これは五月病である。間違いがない。この人たちとノリが合わないのは、この飲み会が全く楽しくないのは、五月病のせいである。一時的なものだ。根本的に嫌っているわけではない。気分が落ち込んでいるからそう感じるだけなのである。来月になれば、あるいは再来月になればまた笑って楽しく接することができる。間違いがない。いまは我慢である。いまこのグループラインを抜けたいのは一時的な衝動である。抜けたら後悔する。絶対にする。明日ともだちにあったとき楽しかったと言おう。1次会で帰ったけれどとても楽しかったと言おう。だって楽しかったはずだから。私だけ楽しくないのは私が悪いからである。決して彼らに非があるわけではない。反省しなければならない。次は笑顔で3次会まで参加しなくては。後輩を巻き込んで大声で騒いでお酒をたくさん飲まなくては。スマホをいじってはいけないし飲めと言われたら飲まなくてはいけない。だってそう言う流れだから。空気だから。空気を読めない人は悪者である。私は悪者だったのだ。それに反省した。間違っていた。更生する。自我を強調することなく、凪のようにいなければならない。私が私であることは許されない。そういうことだ。次こそは。疲れたから眠ろう。眠って忘れよう。明日の授業、正確には今日の授業は2限からだから寝よう。行きたくないけど絶対に行こう。おやすみ。おやすみ。

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五月病 かえで @hitokakera-no-cake

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