第3話
さすがに苦しい。今回の失恋で、私の心はバラバラに砕け散った。「これで何回目?」なんて、友だちが言う未来が見える。……何回目なんだろう。こうして、いらない人間だと思い知らされるのは。俺の人生には必要ないですって、線を引かれるのは。
あと1歩、どうして踏み込めないんだろう。たった1人の特別になるのに、何が足りないんだろう。どうして、どうして私じゃないんだろう。私じゃダメなんだろう。顔が可愛くないから? スタイルが良くないから? 頭が悪いから? どこが良かったら選んでもらえたんだろう。この世に、私を必要としている人はいるんだろうか。次から次へとネガティブな感情が顔を出し、振り払えないほどになっていた。そしてそれは、周りの人へと飛び火する。最低だと分かっていても抑えきれない。
友だちの元へとがむしゃらに足を動かして、見えた背中に手を伸ばす。彼女のカーディガンをギュッとつかんで叫んだ。
「また叶わなかった!」
振り返った友だちの顔は、いつもと何ら変わらない。こんなことにいちいち動じたりしないんだ。……こんなことって。自分で考えていながら腹が立つ。
「稜華、だから言ったでしょ。無謀なことはしない。叶わない恋なんかに振り回されちゃダメなの」
私の両肩に手を置いて、言い聞かせるように口にする。叶わない恋なんて言わないでよ。
「でも、頑張ったね。偉いよ」
よしよしと頭を撫でられて、しっかり整えていた前髪がぐしゃぐしゃになる。普段なら怒っているところだ。だけど、今はその行動がありがたかった。潤んだ瞳を見られずに済むから。
あんなに昂っていた感情は、言葉ではなく涙に姿を変えた。友だちを責めちゃいけない。恋が叶わなかったことを、誰かのせいにして楽になっちゃいけない。言い聞かせて、私は顔を上げる。酷い顔をしていたと思う。だけど、精一杯の笑顔をつくる。
「また、叶わなかった」
さっきよりずっと弱々しく呟いて、友だちと別れる。叶わない恋の呪いが、じわじわと私を蝕んでいた。
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