カエルの王子様

三国一のエエ男

「えひゃひゃひゃ! オレは夜の帝王じゃ! ほれほれ、寄ってこんかい!」

「きゃ~、いや~ん」

…むかーしむかし、関西地方のとある所に、それはそれは放蕩な王子様が住んでおりました。

タッパは187センチ、眉毛のところよりも少し長く伸ばした髪は茶色に染めて、右手の長い中指にはちょっと気取った銀色の細い指輪と、いかにもな「チャラ男」で、

「ほーれほれ、生娘コマ踊りじゃあ~」

「あーれぇ~」

今日も今日とて、まだ十八歳だというのにキャバレーやバーを梯子して、毎日お金を湯水のように使っています。

おまけに、

「三国一のエエ男、っちゅーたらオレのことや」

自惚れも大層強かったのでした。


そしてある日。

「く、苦しい…そこの若いお方、どうかお水を…」

王子が珍しく早起きしてお城の周りを散歩していると、苦しげな声が聞こえてきました。王子がふとそちらへ目をやると、

「げっ! きったないばーさんやなあ。あっちゃいけ、しっ、しっ!」

「よくも言うたな…」

王子がつい、いつもの癖でそんな風に言うと、なんとそのお婆さんはむくむくと起き上がり、それはそれは綺麗な魔女へと変わったのです。

「あ、あいやー! そんな綺麗なねーちゃんやったとは露知らず。どうか許したってー!」

「もはや遅いわ! お前のような傲慢な男には、鉄槌を食らわしてくれる!」

「あ~れぇ~!」

ばりばりと雷が響き渡り、思わず王子は気を失いました。そして次に気づいた時には、

『な、なんやこれ~!』

城のお堀に映る自分の姿が、哀れ醜いヒキガエルに変わっていたのでした。

「ほーほほほ。お前のことを本当に好きになってくれる女が現れるまで、その姿のままでいるがいい。締め切り(←?)は5年後のクリスマスだよ。それまでに戻れなければ、ずーっとお前はその姿のまま。もっとも、そんな姿のお前を気に入る女がいるとは思えないけどね、ほーほほほほ!」

そして魔女の高笑いが辺りに響き…。


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