キミはサンタの忘れ物

贈り物③

｢い…やに、決まってんじゃんかっ…」

ぽろりと本音が、涙と一緒に零れ落ちて。

俺はくしゃりと雪緒の頭を撫でる。

｢俺もだ。何より今日は…特別な日だったんだからな。」

きっと去年みたいに、お前がやってくるだろうと。

この日を楽しみにしてたんだと告げれば…雪緒は真意を探るよう、黙って俺を見つめてくる。

｢クリスマスだよ？男の、オレなんかとじゃっ…」

｢お前がいいんだよ。」

はっきり断言すると、やはり雪緒は真っ赤になって俯いてしまう。

｢…そんなこと言って…期待させられても、困るしっ…」

未だ過去のトラウマを抱える雪緒は。

ここまで来ても、疑心を捨てきれないようだったが…

｢雪緒…」

｢な、にっ…？」

おもむろに雪緒を抱き寄せ、耳元で囁く。

｢期待しろよ…俺に、」

昔の傷も他の男の苦い記憶も。

全部、忘れさせてやるから…

｢好きだ…雪緒。」

｢智っ……さ…」

欲しがってた言葉を、直球で与えてやれば。

雪緒は嗚咽を漏らしながらも、そろそろと俺の背に腕を回してきた。

｢雪緒…」

｢ん…」

そうなれば、俺の自制心などもう不要なわけで。

抱き付く雪緒の顎に指で掬い、キスを請う。

すると雪緒は恥じらう素振りを見せたが…。

応えるよう、すぐに目を伏せたので。

俺は遠慮なく、唇へとそれを重ねた。

｢んっ…ふぁ…」

久方ぶりの口付けは、思いの外快感で。

いや、相手が雪緒だから特別なのか…甘く俺を誘惑してくる。

昔は遊びまくってたって、話なのに。

目の前の派手な容姿の雪緒は、まるで初めてキスをするかのような初々しい表情をみせるものだから。

やっぱり、可愛いなあと思った。

｢なぁ、雪緒？」

するりと雪緒の腰回りに手を滑らせ、抱き寄せる。

｢今すぐ、お前が欲しいっていったら…」

どうする？と…下半身の熱をわざと知らしめ、問うと。

｢あ…でもっ、智久さんはノンケだから…」

根っからのゲイじゃない人間がいきなり男相手に、

そういう行為に及ぶのは抵抗があるだろうと。

雪緒は不安を露にする。

多分コイツは、俺が実際にコトへと及んで。

冷めたりしないかと心配してるんだろうけど…

｢平気だ、むしろ我慢出来ない…」

雪緒が欲しい────…そう耳元に口付けて求めれば。雪緒はビクンと肩を揺らし、熱っぽい声を漏らす。

｢絶対、に…？」

｢俺はそんな無責任な事、しねぇよ。」

なんなら一生かけて大事にするから。

そこまで言い切ったら、もう…

雪緒の目に迷いは無くなっていた。