⑥
「すまん、また調子に乗って中出ししちまって…」
「いーよ、その方が気持ち良いんでしょ?」
オレもちょー良かったし~と、行為を振り返りながら顔が熱くなる。
初めて以降は、そゆとこ真面目な智久さんだったから。ちゃんとゴム着けてすんのが基本だったけど…。こんな風に火が点いちゃうと、男だからやっぱり止まんないもんだよね?
「んなこと言って…なんかあったらマズイだろ。」
それに、と智久さんは口ごもる。
なに?と目で問えば、バツが悪そうに答えた。
「中出しシた後、風呂で処理してんのがなぁ…ヤバイんだよ。」
「あ~…結局その後でまた襲われちゃったしねぇ。」
お腹の中の智久さんのを掻き出す行為が、エロいと訴えられても。智久さんに指突っ込まれてるかと思うと、どうしても感じちゃうから仕方ないじゃんね?
だからって自分で処理しても、なんかヤラシイ!って智久さんまた元気になっちゃうし。
オレもヤじゃないから、さぁ…
「俺はお前を、大事にするって決めたんだから…」
次からはお前の誘惑にも耐えてみせるぞっ…て、
オレが誘惑したんだっけか?
けどそれってさ、今後はさっきみたいな流されエッチ無しってことなんだったら────…
「え~…オレ、智久さんに襲われんの好きなのになぁ…」
智久さんに借りたおっきなトレーナーだけ身に纏い、ギリギリラインで太股をちらつかせ擦り寄れば。
智久さんはあからさまに動揺して、目を泳がせる。
「オレならへーきだよ?智久さんになら、何回でもさ…」
中に出されるの気持ちいーし。
愛し合ってる感じして満たされるでしょ?
「はぁ…やっぱお前は、まんまだな…」
「え~、それってどういう意味~?」
抱き付いて問えば、困ったよう溜め息を吐く智久さんは。
「俺を狂わせるくらい、魔性だってことだよ…」
そんな可愛い顔とヤラシイ身体で誘惑しやがって、と。
答えて唇を奪う貴方も、大概質が悪いよって心の中で苦笑う。
「だって、好きなんだもん…」
口付けたまま上目遣いで見つめれば、智久さんも苦笑して。お返しだとばかりに、深く舌を絡めてくる。
「その顔、誰にも見せるなよ?」
「…智久さんこそ、カッコイイんだから気を付けてよ?」
「ははっ、俺はモテねぇから安心しろ。」
クリスマスに告られてたクセに、自覚ないんだもんなぁ~…。
知れば知るほど、貴方の魅力に気付かされてさ。
不安で仕方ないんだかんね?
それでも…
「俺は、お前だけだよ…」
だから離れるな、ずっと傍にいろって。
ちょっとでも不安そうな顔したら、智久さんはちゃんと言葉を与えてくれるから。
「ん…ずっといさせてよ…」
オレは安心して、貴方に甘えていられるんだ。
初めての失恋は辛かったけど。
そればっかりじゃなかった。
辛くても…いつかはこんな風に、幸せを掴む事が出来るんだって。
奇跡みたいな出会いに、運命を感じた。
貴方に会うためだったと思えば、それも良い経験かなってさ。
今じゃオレより智久さんのが、アイツの…元恋人の存在を気にしてたりするけど。
「引っ越し、するかな…」
「どしたの急に?」
イチャイチャしながら、独り言のように告げる智久さんを見上げたら…
「ワンルームじゃ、一緒に住むには狭いしな。ここユニットバスだし、窮屈だったろ?」
「え…」
…確かに、男ふたりでイチャコラするにはアレだったけど────…って。本題はそこじゃないっしょ!
「え、一緒…って…」
「俺とお前が住むんだよ。」
本音はこの場所に、元彼との思い出があるのが嫌だからと…。
後で渋々教えてくれたけど。
「いー…の?」
「微妙に遠距離だし、お前も大変だろ?それに、」
俺が一緒にいたいんだよって、照れ臭そうに言うから…。
オレも釣られて真っ赤になってしまった。
「嫌…じゃないよな?」
言葉に詰まり黙ってしまったオレを、不安げに見下ろす智久さん。
じっと見つめ返したら、離さないとばかりに捕らえられて。込み上げるものに、目頭が熱くなる。
「嫌なら、無理にとは…」
「んなわけないっしょ!」
むしろ大歓迎だよって、応えて胸に顔を埋める。
ずっとそうしてたら、よしよしされて…
「泣くなよ、雪緒…」
「だ、だって…」
バレバレにも慰められてたオレは、余りの嬉しさに感極まって。子どもみたくわーわー泣いてしまった。
オレと貴方が出会ったのはクリスマスで…
恋人になれたのもまた、聖なる夜だったけど。
「これからはずっと一緒だな…」
「うんっ…」
365日、全てがサプライズで記念日になるくらいに。
ふたりで大事に育んで…
毎日毎日、愛し合いましょ?
Happy new…
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