恋する雪の前夜祭


⚠️性描写あり



side.Yukio(受け視点)




恋愛に特別な感情を抱く必要性なんて無かった。

だから多分それまでのオレは、本気のそれも知らなかったんだと思う。




大学で仲良くなったヤツがいた。

ソイツは男だったけど…常にふざけてたオレにも、

他のヤツみたく呆れないで向き合ってくれてさ。

オレの内面を、ちゃんと見てくれるようなヤツだった。


それから段々と女の子と遊ぶ頻度が減ってきて。

ソイツ…和樹かずきと毎日のように釣るんでたら、自然と男友達のが増えていった。




いいなって思ってたら、和樹もオレの事を意識してるのが判っちゃって…。

したら和樹のアパートに泊まりに行った流れで、キスしてエッチして。互いに好きだと再確認し…晴れて恋人同士になった。






あの頃は若かったなぁって、数年前の話だけどさ。

初めて恋をして、盲目だったって自覚はあるよ。


正直オレ、相当重かっただろうなって…。


特に母ちゃん倒れて実家に戻ってた時期はさ。

毎日電話だメールだって、不安で仕方なかったからなぁ。



始めこそは和樹も親身になってくれてたけど。

段々とオレから離れてくのが判って…更に焦って追い詰めちゃってるとか、ホント最低だったなって…。


せめてアイツにちゃんと謝れたらと思ってんだけど。

だから今でもずっと、後悔してるんだよね…。







自虐的にその話をすると、智久さんは和樹の非を咎める。男の癖に情けないとか…黙って逃げるとかあり得ないとか。


まあ、それは智久さんがホント大人で男前な性格だから、言えることなんだろうけどね。


この人と出会った場所が、和樹が昔住んでた同じアパートの同じ部屋で…。

オレが同棲してた場所でもあったからか、つい和樹と比べちゃうのがダメなんだけど。




智久さんはさ、年上って言ってもオレより3つしか違わないのに。ホント包容力があって、男らしいく潔いというか…。


顔は普通な筈なんだけど、背が高くて逞しい体型だからか頼りがいがあって。

結構格好良いんじゃないかなって、思っちゃったんだ。






だから初めて会ったクリスマス以降も、軽いノリ装って頻繁に押し掛けたりして…。


まあ、下心はバレバレだったみたいだけど。


そんな迷惑極まりないオレを拒むことなく…

むしろ甘やかしてくれる智久さんを、意識しちゃうのは必然であって。


好きになるのなんて、あっという間だったんだ。

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