恋する雪の前夜祭
①
⚠️性描写あり
side.Yukio(受け視点)
恋愛に特別な感情を抱く必要性なんて無かった。
だから多分それまでのオレは、本気のそれも知らなかったんだと思う。
大学で仲良くなったヤツがいた。
ソイツは男だったけど…常にふざけてたオレにも、
他のヤツみたく呆れないで向き合ってくれてさ。
オレの内面を、ちゃんと見てくれるようなヤツだった。
それから段々と女の子と遊ぶ頻度が減ってきて。
ソイツ…
いいなって思ってたら、和樹もオレの事を意識してるのが判っちゃって…。
したら和樹のアパートに泊まりに行った流れで、キスしてエッチして。互いに好きだと再確認し…晴れて恋人同士になった。
あの頃は若かったなぁって、数年前の話だけどさ。
初めて恋をして、盲目だったって自覚はあるよ。
正直オレ、相当重かっただろうなって…。
特に母ちゃん倒れて実家に戻ってた時期はさ。
毎日電話だメールだって、不安で仕方なかったからなぁ。
始めこそは和樹も親身になってくれてたけど。
段々とオレから離れてくのが判って…更に焦って追い詰めちゃってるとか、ホント最低だったなって…。
せめてアイツにちゃんと謝れたらと思ってんだけど。
だから今でもずっと、後悔してるんだよね…。
自虐的にその話をすると、智久さんは和樹の非を咎める。男の癖に情けないとか…黙って逃げるとかあり得ないとか。
まあ、それは智久さんがホント大人で男前な性格だから、言えることなんだろうけどね。
この人と出会った場所が、和樹が昔住んでた同じアパートの同じ部屋で…。
オレが同棲してた場所でもあったからか、つい和樹と比べちゃうのがダメなんだけど。
智久さんはさ、年上って言ってもオレより3つしか違わないのに。ホント包容力があって、男らしいく潔いというか…。
顔は普通な筈なんだけど、背が高くて逞しい体型だからか頼りがいがあって。
結構格好良いんじゃないかなって、思っちゃったんだ。
だから初めて会ったクリスマス以降も、軽いノリ装って頻繁に押し掛けたりして…。
まあ、下心はバレバレだったみたいだけど。
そんな迷惑極まりないオレを拒むことなく…
むしろ甘やかしてくれる智久さんを、意識しちゃうのは必然であって。
好きになるのなんて、あっという間だったんだ。
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