贈り物⑥





「へへへ…」


「まだ見てんのか…」


「だって嬉しいんだもん~。」



あれから許す限り何度も身体を重ね…迎えた夜明け。


最後に果てたまま意識を手放した雪緒に、

俺はサプライズを施した。




それはベタにもクリスマスプレゼントを、寝てる隙に与えておくと言うもので…。


目覚めた雪緒は首元の違和感に気付いた瞬間、

嬉しくて泣き出してしまったもんだから────…



とりあえずは大成功ってとこだろうか?







「ホントは指輪が、良かったんだがな…」


段々と雪緒への想いを自覚していた俺は、ちょうどクリスマスという節目にけじめを着けようと発起して。


プロポーズならばと、密かにプレゼントを用意したんだが…。さすがに指のサイズは判らなかった為…やむなくネックレスを購入したってわけだ。



それはシンプルな、シルバーチェーンのクロスで。

今は雪緒とペアで、俺の首にも同じ物がぶら下がっていた。





「こういうのって、重いもんだと思ってたけど…」


良いもんだねと告げる雪緒は、指でクロスを弄りながら飽きることなくそれを眺めている。





「…元彼とも、あったのか?」


つい気になって口走ってしまったら…。

雪緒は目を見開き、俺を見上げた。





「ふはっ…気になるんだ~、ヤキモチ?」


からかわれてるのは解っていたが…




「そりゃあ…ソイツありきの出会いだったからな…」


切っても切れないというか、色々思うところもあったので。敢えて正直に答えてみせた。


雪緒は驚いたよう、暫く黙っていたが…






「お互い苦学生だったしね~、実際同棲してた期間も短かったから…」


そういった恋人らしい事は何もしてなかったよ、と。雪緒は答えると俺の胸元へと擦り寄ってきた。





「はぁ…幸せ過ぎて、怖いや…」


ぽそりと漏らした雪緒を、俺はぎゅっと抱き締めてやる。




「俺はもう、離すつもりないんだがな…」


付き合う時は、常に一生掛けて大事にするのがモットーで。

結局はそれが重いだのなんだのと言われ、今までの恋愛は上手くいかなかったんだが…。


雪緒にはむしろ、このくらい言ってもいいんじゃねえかなと思う。





「オレ軽そうに見えて、結構面倒くさいよ?」


意外とヤキモチ妬きだし、すぐネガティブになるし。それこそ毎日好きだって言ってくれなきゃ、不安になっちゃうかも…。


そんな弱気な雪緒に、俺はつい苦笑を漏らす。





「なら相性ぴったりだな。」


俺だって負けず劣らずというか…雪緒で初めて気が付いたけど。

束縛したいなんて告げたら、雪緒は笑いながら抱き付く腕に力を込めてくる。





「いーよ…智久さんになら、」


縛られたい───…なんだかエロい声で囁かれたなら。

勘違いした俺の中心は、散々吐き出したってのに…

バカみたく疼き出してしまった。





「せっかくクリスマスなんだから、さ…」


今年もふたりでお祝いしよう?

ケーキにシャンパン、チキンにクラッカーも買ってきてさ…キスの愛撫に身体を跳ねさせながら、雪緒が上擦った声でそう告げてくる。


けど、その前に…





「もっと愛し合おうな…」


「ん…メリークリスマス…」




メリークリスマス…───愛してるよ。



Happy X'mas🤍


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る