②
「オレ、
春と冬をごちゃ混ぜにしたようなソイツ…ユキオが、へらりと笑う。
派手な顔立ちをしてはいるものの、悪そうなヤツではなさそうだが…内心、家なんか入れてどうすんのって。自分でも持て余していたのが現状だった。
「お兄さん、恋人いないんだよね?」
「……見りゃ判んだろ。」
「あはは!なら、オレとおんなじじゃんね~。」
からかうよう見上げてきた雪緒に対し、ムスッとして返す。
おんなじと言っても、ただデカイだけが取り柄の俺とコイツとじゃ、雲泥の差があるってもんだろう。
顔とかアイドル並みに綺麗だし。今から街に繰り出せば、何人でも女が釣れそうじゃねーか。
なのになんで、俺ん家の前に…
「お兄さんさ~、ここいつから住んでんの?」
「あ?あ────…確か1年近くは住んでっけど…」
聞かれて答えたら、そっかとまた笑う雪緒。
パッと見じゃあ判りにくいけど…やっぱりなんか引っかかんだよなぁ。
「実はさ~、前ここに住んでたんだよね…オレ。」
「そーなのか?」
「ん~…まあ、ひとりじゃなかったんだけどねぇ。」
聞いてくれる~?と…軽い口調とは裏腹に、縋るみたく問う雪緒。
やけに綺麗な目に圧倒された俺は…
考えもなしに、何故かウンと頷いてしまった。
「2年前にさ、恋人と一緒に住んでたんだけどね…」
あ、恋人って言っても相手男だから~とか…さらっと言われると、意外と違和感ないから不思議。
コイツの顔がムダに整ってっから、抵抗がないってのが強いんだろうけど。
雪緒は構わず続ける。
「んで…ラブラブ同棲してたとこで、うちの母ちゃんがぶっ倒れちゃってさ…」
母子家庭で、まだ中学生の弟がいたため雪緒は、
やむなく大学を中退。
恋人を残し、ひとり故郷へと帰ったのだという。
「そっから母ちゃんが入院して、弟の世話もしてさ。家計まで賄わなきゃなんなくなって、夜はバイトって毎日大変だったんだ~。」
それでも折れずに頑張れたのは、恋人がいたから。
「アイツがさ、言ってくれたんだ~…」
待ってるから、何かあったら支えてやるからって…
真面目で一途で、バカみたいにお人好しだった恋人。それだけを支えに、自分は頑張ってきた。
漸く母親も元気になり、生活も安定して。
会いに行くからと彼に連絡したのだけど…
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